森田明子院長の独自取材記事

栗原医院歯科室

(品川区／戸越銀座駅)

最終更新日：2022/09/06

戸越銀座駅から続く戸越銀座商店街を抜けた大通り沿いにある「栗原医院歯科室」。2013年に開院して今年で9年目を迎えた。2021年には医院の建て替えを行い、ガラス張りの明るい院内とバリアフリー機能を重視した空間に生まれ変わった同院。一般歯科をはじめ、小児歯科、予防歯科、審美面に配慮した治療など幅広い診療を行う森田明子院長は、隣接する医科との連携で歯と全身の健康にも注目した歯科医療を提供。正しい噛み合わせを大切にしたオールマイティーな診療で、「生涯おいしく食事をしてほしい」と願う。3人の子を持つ母としての顔も持つ森田院長に話を聞いた。

（取材日2022年8月1日）

生涯おいしく食事ができる正しい「噛み合わせ」が大切
年代ごとの問題に対応した治療とアドバイスを提供
患者の意見を尊重し納得のいく治療を心がけて

生涯おいしく食事ができる正しい「噛み合わせ」が大切

とても明るい院内ですね。最近建て替えられたと伺っています。

2021年の10月に建て替えました。当院にはご高齢の方や車いすで通われている方が多いため、院内はバリアフリー仕様になっています。診察室までそのまま入っていただくことができ、2台あるユニットのうち1台はユニットごと移動できたり、手すりがついている高齢者用になっています。また、車いすに座っていただいたまま治療ができるスペースも確保しました。もう1台は小児用にして、壁紙やユニットの周辺をかわいらしいデザインにしています。小児歯科では、週に1度、日本小児歯科学会小児歯科専門医による診療を行っています。虫歯の怖さや治療の必要性をわかりやすくお話ししてたり、治療自体が怖いと怯えるお子さんには、お口の中に鏡を入れてみたり、一緒に歯磨きをしてみたりして徐々に慣れていただきながら、ゆっくりと治療を進めています。診療後のご褒美のおもちゃを楽しみにされているお子さんも多いですね。

お子さんの治療は、やはり虫歯が中心ですか？

主に虫歯治療や検診、フッ素塗布などですね。保育園や幼稚園へ歯科検診に行く際、講話をする機会があるのですが、そこではビデオを観ながらや虫歯予防の話をします。それをきっかけに来院される患者さんもいらっしゃいます。0歳のお子さんを連れて来られるケースもありますよ。上下2本づつ歯が生えてきて、お父さんとお母さんが一緒に来られて「気になることはないのですが、聞きたいことがあります」とおっしゃる。初めてのお子さんで、歯が生えてきたけれど大丈夫だろうかと心配なのだと思いますね。全部説明して、「心配ないですよ」という一言で安心されるようです。もちろん、何か問題があれば対処しますし、心配事があれば相談に乗ります。来院される患者さんからの質問が増えているということから、歯に対する意識が高い人が増えていると感じますね。

患者さんの年齢層が幅広いですね。

最近は、お子さんの付き添いで来られて「私も診てください」とおっしゃるお母さんやお父さんも多いですね。小さい頃から長く通っているお子さんも多く、お母さん方が安心してくださっているところはあると思います。私も成長するお子さんの姿を見ることができるのは楽しみです。それまで治療中に泣いていた子が、ある瞬間から泣かなくなるんですよ。一人でできるようになったお子さんを見てお母さんが涙ぐんだりする。そういう姿を見られることも歯科医師としてのやりがいの一つですね。また、当院は隣に医科があるので通院が便利ではないかと思っています。その患者さんがどのような薬を処方されているかも確認できますし、治療後の治りが悪かったり、すぐに腫れてしまう場合、歯周病との関係がいわれる糖尿病や高血圧などを合併していることも多いので、医科と協力して治療していくことも可能です。

年代ごとの問題に対応した治療とアドバイスを提供

こちらの歯科医院の特徴を教えてください。

幅広い治療がご提供できることでしょうか。当院では、虫歯治療から歯周病治療、小児歯科、予防歯科、審美歯科、入れ歯治療、親知らずの抜歯など、どんな症状や年齢の患者さんにも対応できるような診療内容をそろえています。それは、健康な歯を保つために欠かせない「噛み合わせ」にこだわった治療を行っているからです。私は何より、患者さんに生涯、おいしくお食事をしていただきたい。いつまでも噛める喜びを味わっていただきたいと考えています。そのためには、正しい噛み合わせの実現が必要不可欠だと思っています。本来あるべき位置からズレてしまった噛み合わせを正すためには、幅広い治療ができなければいけません。そんな想いから、どんなお悩みでもご相談いただけるような歯科医院をめざしています。正しい噛み合わせのために矯正治療が必要な場合には、信頼のおける専門の先生のご紹介もしています。

地域の高齢者検診もされているそうですね。

高齢者のフレイル（虚弱状態）予防を目的とした品川区の後期高齢者検診を行っています。そこでは、会話をしているか、運動をしているか、食事をきちんと取っているかなどの項目をチェックします。今は一人暮らしの老人が多く、会話がない、運動をしないという人が増えていることは気がかりですね。ですから、1ヵ月に1回でも定期検診に来てくだされば、そこでお話しますよ、というスタンスを高齢者の方には伝えています。それも地域の皆さんの健康を支える一助になるのかなと思います。

医療を通して地域の高齢者を支えていらっしゃる印象です。

高齢者の方の中には、手が不自由になって磨けなくなっている方もいらっしゃいます。そういう方には電動歯ブラシを使いましょうと提案しています。また、入れ歯の手入れがおっくうになる人もいますが、一人暮らしの場合誰かにお願いするということができません。例えば、車いすを利用している方であれば介護1あるいは2が想定されるので、ヘルパーさんが来てくれるはずです。ご本人からの要望があれば、ヘルパーさんに入れ歯の手入れを担っていただくことも可能です。何かお口のことで不便を感じているのであれば、それに対してどのような対処方法があるかをアドバイスさせていただきたいですね。

患者の意見を尊重し納得のいく治療を心がけて

開業される前は勤務医をされていたのですか？

大学卒業後は大学病院には残らず、すぐに開業医の下で勉強をはじめました。勤務していたのは、ユニット台数も在籍している歯科医師の人数も多い、大きな歯科医院でした。そこでは、さまざまな先生方の高い技術を間近で学ぶことができました。外科手術なども数多く手がけていましたから、レベルの高い治療を幅広く勉強させていただきました。その中で、ある先生に「患者さんに、自分のファンになってもらいなさい」と言われました。私自身のファンとなって頼ってくださる患者さんを増やしていくために、日々の診療を行っていきなさいと教えられたのです。その言葉は、今でも私のモットーとなっています。

若い年代の方はどのようなきっかけで受診されますか？

痛みで受診される以外では、成人歯科健診をきっかけに来院される方が多いですね。そこを起点に歯石がついていたらクリーニングしましょう、虫歯があれば引き続き治療をしましょうという形です。年齢を重ねることで歯茎が下がるなど、口腔内の環境も変化しますから、定期的に健診を受けることはとても大切です。検診もそうですが、治療後のメンテナンスも大切です。虫歯が再発しないように、あるいは歯周病にならないように、歯茎を健康に保つことが重要です。歯周病予防で何よりも大切なのは、歯の磨き方ですね。つい歯ばかり磨いてしまいがちですが、歯と歯茎の境目が一番磨いてもらいたい箇所です。

最後に、診療の際に心がけていることを教えてください。

全顎的な治療の場合、奥歯から治していくことを心がけています。見た目が気になるからと言って前歯から先に治療していくと、奥歯が安定せずに噛み合わせがガタガタになってしまう可能性もあります。特にセラミックの補綴物や入れ歯、ブリッジなどを装着する際には、奥歯から噛み合わせを整えながら治していくことが大切です。また、抜かなくてはいけない歯であっても、患者さんが残したいとご希望されればなるべく長く残せるようにしています。その場合、ただ残してしまっては噛んだときに痛みが伴いますので、いかに痛みなく噛める歯を残すかを考えながら治療を進めています。当院では、患者さんの意見を尊重し、一方的な治療をしないことを大事にしています。患者さんにはこちらの意見も話し、納得して治療に臨んでもらいたいですね。