原因や治療法は人それぞれ
現状を把握した上で行う歯周病治療
小森歯科クリニック
(鹿児島市/鹿児島中央駅)
最終更新日:2021/11/25
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成人が歯を失う主な理由の一つである歯周病。高齢者をはじめ幅広い年代にとって身近な疾患であり、全身疾患との関係性も深い。その原因は多岐にわたり、進行レベルや悪化のリスクも一人ひとり異なるという。「歯には人それぞれ個性があり、口腔環境も日常生活の中で少しずつ変わります」と話すのは、「小森歯科クリニック」の小森政直理事長。同院ではまず口腔内の現状把握に努め、患者本人に改善の意識を持ってもらうことを大切にする。その上で、歯周病の原因をきちんと取り除くために、オーダーメイドの治療に取り組んでいるそうだ。アプローチが難しい歯周病の特徴や同院で実施している検査・治療内容、さらに治療後のメンテナンスの重要性について、小森理事長に詳しく聞いた。
(取材日2021年11月11日)
目次
原因の除去からメンテナンスの頻度まで、歯周病治療はオーダーメイド。現状を知ることが改善への第一歩に
- Q歯周病とはどのような疾患なのでしょうか?
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A
歯周病は、さまざまな原因によって歯周組織が破壊されてしまう疾患です。重症化するほど「歯周ポケット」という歯と歯茎の溝が深くなるため歯茎に問題が起きていると思われがちですが、実際は歯を支えている骨も失われます。歯全体のうち、歯茎に埋まっている根元部分の割合が小さい人や、歯そのものが短い人ほど歯の動揺が早期に現れます。歯周組織を数ミリ失った時、個人によって深刻さが異なるのです。その他の症状には歯茎からの出血、ものを噛む際の痛み、口臭などがあり、自覚症状がない場合も少なくありません。罹患リスクは高齢になるほど相対的に高まる一方、まれに若年性のケースもありますので、20代くらいの方でも注意が必要です。
- Q主な原因について教えてください。
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A
一般的には口腔内の清掃不良、喫煙、噛み合わせ、遺伝、糖尿病といった要因が複合的に絡んでいるとされています。噛み合わせはもともと歯並びが悪いだけでなく、かぶせ物の設計に問題がある、歯の形の経年変化などのケースでも悪化します。また、歯磨きが不十分な場合は全体的に発症するのに対し、悪い噛み合わせが原因の場合は、歯同士が強く当たっている部分のみ症状が進行するのが特徴です。とはいえ、これらの原因は万人にあてはまるわけではなく、リスクが高くても罹患しない人もいますので、一概にはいえません。だからこそ歯周病の治療法は多岐にわたり、患者さん一人ひとりに適した方法によって原因を取り除くことが大切になります。
- Q歯周病は全身に影響を及ぼすと聞きました。
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A
歯周病は全身疾患と相互関係にあり、中でも糖尿病を悪化させやすい疾患です。糖尿病治療を受けても数値が安定しない人に歯周病治療を行った後、症状が改善に向かったという話は珍しくありません。ほかにも、歯周病菌が血管内に侵入すると動脈硬化を引き起こす可能性があり、それに伴って心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。ある疾患が別の疾患の引き金となり、次々発症していく様子をドミノ倒しに例えると、歯周病は割と早い段階のピースなのです。多様な疾患の因子にはなりますが、歯周病は内臓と違って目に見える予防ができます。そのため当院では「まずはご自身の現在の口腔状態を把握しましょう」と患者さんにお話ししています。
- Qどのような検査や治療が必要になりますか?
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A
骨の吸収の程度や歯の長さを調べるため、最初にエックス線検査と、歯周ポケットの深さを測るポケット診査を実施します。歯周病の進行度や口腔環境の良しあしには段階があり、検査結果から個人のリスクに応じた治療を行うことが大切です。そして当院では、検査写真を40インチの大画面モニターに映しながら患者さんに結果をご説明します。これはわかりやすさのためだけでなく、患者さんが歯周病を自分事として認識し、前向きに通院していただくための工夫でもあります。治療法は原因ごとに異なり、歯の状態を一本一本診た上で、歯石除去や噛み合わせの調整、歯周組織再生療法などを実施。歯磨き指導で患者さん自身のブラッシング技術も高めます。
- Q治療後のケアやメンテナンスも大切だそうですね。
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A
車に長く乗り続けるには車検が必要であるのと同様に、治療後の口腔環境も、定期的にチェックを受けて状態を維持する必要があります。そのためにあるのがメンテナンスで、最大の目的は単なる歯の掃除ではなく、前回から変わったところがないかの確認です。特に「抜歯したくない」などのご希望で原因を完全に除去しなかったケースでは、症状が進行しないよう状態をこまめに把握しなければなりません。ある程度悪くなってから気づくより、軽度なうちに解決しておいたほうが、どなたにとっても都合が良いでしょう。メンテナンスの頻度も患者さんによって違い、治療後に適切な受診ペースをお伝えしています。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯周組織再生療法/5万5000円~
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