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咲山 豊 院長の独自取材記事

咲山眼科クリニック

(堺市中区/深井駅)

最終更新日:2021/10/12

咲山豊院長 咲山眼科クリニック main

泉北高速鉄道深井駅の改札を出て右に進むとすぐの所に「咲山眼科クリニック」の文字が見える。駅舎内の便利な立地。広々とした待合室へ続く扉の前で、院長の咲山豊先生が笑顔で出迎えてくれる。クリニックの開業は2013年。咲山先生は近畿大学医学部を卒業後、20年以上にわたって同大学の医学部付属病院で経験を積んだベテラン医師だ。角膜・結膜疾患やアレルギー疾患、小児眼科や加齢性疾患など幅広く対応している咲山先生のもとには、幼児や小中学生から高齢者まで、さまざまな患者が訪れる。「何でも話せる町の目医者さん、と患者に思ってもらいたい」と話す咲山先生。その穏やかで少しはにかんだ話し方に、咲山先生の患者思いの人柄が表れている。

(取材日2019年4月4日)

とことん患者と向き合う姿勢で地域密着の診療を行う

なぜ深井で開業なさったのですか?

咲山豊院長 咲山眼科クリニック1

もともと私は堺の出身なんです。一駅手前の中百舌鳥駅から南海高野線に乗り換えて一駅目の白鷺駅前で父が眼科医院を開業しており、自宅もそのそばでした。通っていた高校もこの隣の泉ケ丘駅にありましたので、私にとってこの辺りは昔から慣れ親しんだ場所なんです。父の後を継ぐつもりで眼科の医師になることをめざしましたが、大学にいる間に気持ちに変化があり、自分自身で開業しようと思うようになりました。開業にあたって場所のリサーチをしたところ、このエリアはクリニックは多いのですが眼科は少なかったんです。良いタイミングで見つかった物件がこちらで、駅構内というアクセスの良さも決め手の一つでした。

どのような患者さんが来られますか?

この辺りはお子さんの数も多いんですよ。周りには大規模な小学校もあります。昔から住んでおられる地元の方も大勢いらっしゃいますので、高齢者も多いですね。クリニックに来られるのは、そういったお子さんとご年配の方々が中心です。働き盛りの世代の方は少ないですね。お子さんの場合は学校の眼科検診で要受診と診断されたり、今の季節だとアレルギーで来られたりします。今年は特にアレルギーの患者さんが多いですね。また、堺市では3歳半のタイミングで眼科検診を行っていますので、そこで何かあればクリニックに来られます。ご高齢の方に多いのは白内障と緑内障です。患者さんには地元の方もいらっしゃれば、転勤でこちらに住まれるようになった方もおられ、さまざまです。車や自転車で通院される近隣の方がほとんどですが、勤務先がこの界隈の方や大学病院時代の患者さんで奈良から通ってくださる方もいらっしゃいます。

診療時に心がけておられることを教えてください。

咲山豊院長 咲山眼科クリニック2

患者さんが何を一番に望んでおられるのか、ということをしっかりお聞きしています。患者さんが間違った思い込みをしていることもありますので、その場合はきちんと正すようにします。中には思いが強く、治療を進めるのが難しい患者さんもおられます。そんな方にはご理解いただけるまでとことん話をすることもあります。わかりやすい説明のために電子カルテを含む画像ファイリングシステムを採用しており、患者さんと一緒に実際に検査した内容をモニターで見ながら話をします。治療による変化を見れば、モチベーションも上がるかもしれませんよね。開業して6年ほどになりますが、さまざまな患者さんに接することで私自身、開業医らしくなってきました。大学病院では治療すれば関係性は終わりですが、開業医はそうではありません。患者さん一人ひとりに真摯に向き合い、信頼関係が築けるようになったと思います。

スマホなど、子どもを取り巻く目の環境に配慮

小児眼科に力を入れていらっしゃるとお聞きしました。

咲山豊院長 咲山眼科クリニック3

今どきの子どもは早い時期から視力が下がります。スマートフォンやタブレット端末を長時間見続けることが原因ですので控えるように指導しますが、「やめなさい」と言うお母さん自身がスマートフォンをやめられないのが現状です。視力低下を防ぐためには、見る時間を減らすことや間に休憩を入れることが大切ですし、適切に眼鏡を処方することも必要です。また、当院では3歳半検診で見つかる弱視の治療にも力を入れています。弱視というのは眼鏡をかけても見えない状態を言います。視力が成長していく過程である3歳半から視力の成長が止まる6歳までの間に治療をしなければ、成長してから眼鏡をかけても見えないということもあります。ですから3歳半検診で目の異常を発見し、そこから治療を始めて6歳までに間に合わせることが大切なんです。

カラーコンタクトレンズのトラブルも多いと聞きます。

カラーコンタクトレンズには、レンズの中に色素が入っているタイプと、レンズの表面に色素を塗っているだけのタイプがあります。外国製の安価なレンズの中には少し指でこすっただけで色がとれてしまう粗悪品もあります。こちらに来られたある患者さんは、眼球に触れる側に色がついているレンズを装用して色素が目に染み込んでしまい、眼球に色がついていました。最近では中学生でも処方箋なしで買える度数の入っていないカラーコンタクトレンズを使っていることも。レンズのカーブも目に合っていませんし、手入れの仕方も知らないため、障害を起こしかねません。大変な感染症の危険性もあるんです。

現在クリニックには6人のスタッフがいらっしゃるそうですね。

咲山豊院長 咲山眼科クリニック4

パート勤務のスタッフも含めて現在6人体制で、基本的に医師は私一人です。視能訓練士とは診察後に毎日ミーティングを行っており、その日の診療内容についての指導やアドバイスをします。その他のスタッフとは必要に応じて申し送りをし、患者さんの情報は皆で共有するようにしています。女性スタッフの場合は家事や子育てとの両立など時間に制約がありますので、できるだけ本人の希望通りに働いてもらえる環境づくりに配慮しています。採用面接の段階で希望を聞いて、無理をせず、長く勤めてもらいたいと思っています。

大学病院や基幹病院と連携し、地域の眼科医療に貢献

心に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

咲山豊院長 咲山眼科クリニック5

勤務医時代の私の専門は神経眼科と目の腫瘍でした。その頃に担当したのが、まだ3歳にもならない目に悪性腫瘍を患ったお子さんでした。今では治療も進歩して眼球を取らずに治療できることも多いのですが、その頃は眼球を取ってしまうことがほとんどでした。その子も3歳になる前に眼球の摘出手術をしましたが、結局再発し、最終的にはがんが全身に転移しました。抗がん剤治療をしなければなりませんでしたが、親御さんがそんな治療はさせたくないと、看取るだけということで他の病院に転院されたんです。転院されてから連絡があり、その子が「先生に会いたい」と言っていると聞きました。会いに行ったら、とても喜んでいました。そのすぐ後にその子は亡くなりました。5歳になる前でした。20年前、医師として歩み始めた時のその出来事は今でも忘れられません。3歳半健診の子どもたちを見ると思い出すんです。今でもその子に対する思いは消えません。

医師をめざしたきっかけを教えてください。

実は子どもの頃は医師にはなりたくなかったんです。それが特に理由があったわけではありませんが、高校2年生の時に「眼科医になろう」と思い立ったんです。大学卒業後に入局した医局の恩師が素晴らしい方で、大学病院ではその先生の専門であった神経眼科と目の腫瘍について自分も学びました。最初は父の後を継ぐつもりだったんですが、開業するにあたってゼロから自分でスタートしたいという考えに変わり、ここをオープンしました。ここは、自分が通いたいと思えるクリニックにしたいですね。診療内容の明確な説明、スタッフの患者さんへの配慮ある対応など、患者さん主体のクリニックであることが理想です。

最後に読者にメッセージをお願いします。

咲山豊院長 咲山眼科クリニック6

目に関することで何か気になることがあれば、ご自身のことでも、ご家族やお子さんのことでも、気軽に相談にいらしてください。わかりやすい説明を心がけ、患者さんのご希望に沿った医療を提供したいと思っています。手術などが必要とされる場合には、疾患の種類や通いやすさを考慮した上で、大阪労災病院、堺市立総合医療センターなど連携している地域の基幹病院や大学病院を紹介いたします。「何でも話せる町の目医者さん」として今後も地域医療に貢献し、患者さんにとって頼りがいのあるクリニックでありたいと思っています。

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