別れが原因となり発症した
うつ病への対処・治療方法
品川メンタルクリニック 品川本院
(港区/品川駅)
最終更新日:2023/08/03
- 保険診療
夫婦・恋人間の別れ、肉親との別れ、友人との別れ、ペットとの別れなど、私たちの人生に「別れ」はつきもの。頭ではわかっていても、別れを受け入れられずいつまでも引きずってしまうことは少なくないだろう。また、感情の整理がうまくできず、落ち込みが続いたり涙が止まらなくなったりするなど、精神に不調を来してしまう場合も。「品川メンタルクリニック 品川本院」の渡邊真也院長は、「別れがきっかけとなり、うつ病を発症してしまう方もいらっしゃいます。ご自身で抱え込まず、時には医療機関へ頼ることもご検討ください」と話す。インタビューでは、別れが原因で気持ちが不安定になってしまうときの対処法や、うつ病を発症した場合の治療法などについて、渡邊院長に専門家の視点から話してもらった。
(取材日2023年6月21日)
目次
別れがきっかけとなり生じた精神的不調には、医療の介入が必要な場合も
- Q別れを経験し、苦痛や不安が続く場合はどうしたらいいですか?
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A
どんな種類の別れであっても、うまく受け入れることができなければ精神が不安定になりやすいもの。自身での対処が困難な場合には、一人で抱え込まず誰かに相談することが大切です。身近に相談できる人がいない場合は、心療内科・精神科を受診されてください。誰かに話したところで別れた人やペットが戻ってくるわけではなく、相談は無駄だと思われる方もいるかもしれません。しかし、一人で悩み続けると、ネガティブな出来事を繰り返し思い出して悩んでしまうぐるぐる思考(反すう思考)になり、不安・緊張状態に陥りやすいものです。問題が解決しなくても、誰かに話すことでほんの少しでも安心できれば、心の安定につながっていくでしょう。
- Q時間がたってから精神的な不調が生じることもありますか?
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A
はい。別れの後ある程度時間が経過してから、じわじわと精神不安定になることはよくあります。目前のしなければいけないことの処理が済んで落ち着いた後、忙しさで隠れていた症状を感じやすくなることが多いためです。しかし大切な人との別れを無理に忘れようとする必要はなく、またすぐに受け入れなければならないということでもありません。別れについてあまり深く考えず、仮に選択が必要なことがあっても、とりあえず結論は保留にするという選択肢も時には重要です。ご自身のペースで大丈夫ですので、時間をかけてゆっくりと受け止められるようにすることを考えてみましょう。
- Q別れがきっかけとなりうつ病になることもあるのでしょうか。
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A
死別を含め、恋人などとの望まない別れでうつ病になる患者さんは多くいらっしゃいます。うつ病とは、一言で言えば興味や関心、意欲が薄れる病気。発症すると睡眠のバランスが崩れたり、食欲に異常が生じたりすることがあります。別れで精神的に不安定となっている状態に加えて、さらに仕事などで別のストレスが加わった場合には、より発症しやすくなるといえるでしょう。別れは突然訪れることもありますが、例えば愛犬が悪性腫瘍を患ったときなど、じわじわと近づいてくることもあります。愛犬の苦しみや愛犬との未来を思うと耐えられない気持ちになり、うつ病を発症することもあるのです。
- Q別れが原因となり生じた、うつ病の治療について教えてください。
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A
別れをきっかけにうつ病を発症した場合、時間の経過が患者さんの心を癒やすこともあると思いますが、まずは専門家によるカウンセリングを受けることが大切です。加えて、必要に応じてそれ以外の治療も必要になります。代表的なものが抗うつ薬を用いた薬物治療です。これによりある程度の効果は期待できますが、治療期間が長期に及び、吐き気やめまいなどの副作用が生じることもあります。そういった中でうつ病の新しい治療法として登場したのが、磁気により脳の活性化や血流改善をめざすTMS治療です。副作用も少ないとされているため、選択肢の一つとして注目されています。いずれにせよ、その方に合わせたきめ細かな治療が必要です。
- Q周りに別れで悩んでいる人がいたらどのようにすればいいですか?
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A
皆さんの周りにも、別れを経験して悩み苦しんでいる人がいらっしゃるかもしれません。悲しみの渦中にいる本人にあまり干渉しないことも重要な一方で、時には誰かの助けが大切なこともあるでしょう。特別なことをする必要はなく、気持ちに寄り添って苦しい思いを聞いてあげるだけでも、本人は少し楽になることがあります。食事があまり食べられていなかったり、眠れない日が続いていたりする様子なら、私たち専門家への相談をご検討ください。