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渡邉賢治 院長の独自取材記事

わたなべ糖内科クリニック

(市川市/行徳駅)

最終更新日:2021/10/12

渡邉賢治院長 わたなべ糖内科クリニック main

穏やかな語り口からは、患者に対するやさしい接し方が容易に想像できる。その印象通り、自らも「私はメスを使うような外科ではなく、長い時間かけて一緒に患者と寄り添う内科が向いているんです」と語るのは、行徳駅徒歩2分の至便な場所にある糖尿病専門クリニック「わたなべ糖内科クリニック」の渡邉賢治院長。身内に糖尿病を患う人が居たことから疾患に自然と興味を持つようになり糖尿病学を志したという。気さくな人柄のほかに強く感じたのは、先生を取り巻く充実したネットワーク。各病院での豊富な勤務経験から、糖尿病の際に併発する腎臓・心臓疾患の専門医への紹介体制も万全だ。2013年に開業したばかりだが、管理栄養士による食生活に対する食事栄養相談なども充実しており、新患も日々増えている。治療の話から趣味のバンド活動まで、幅広く語っていただいた。

(取材日2015年12月5日)

糖尿病の主治医は「患者自身」 

先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。

渡邉賢治院長 わたなべ糖内科クリニック1

まずは家族や親族に、がんや心臓病といった重篤な病気を抱える方が多かったということが挙げられます。悩み、苦しむ彼らを見て、医師になればこうした病気を自分の手で治せるのではないかと思ったのです。また、かつてある有名な医療ドラマがありました。最初にドラマ化される前に原作小説を読み、医師に憧れたことも理由の1つでしょうね。糖尿病治療に進んだのは、信州大学の在学中、父親が糖尿病を患ったことが大きいですね。父はその後、狭心症と心筋梗塞を併発しましたが、心臓バイパス手術を受けて最終的には80歳まで生きました。私はそんな父を間近に見たり、また主治医の先生と話す中で糖尿病への関心を深めていったんです。大学卒業後は、そのまま研究主体の国立大学で研修を行うよりも、臨床が充実している順天堂大学医学部附属順天堂医院での研修を選び、その後、代謝内分泌内科へ入局。糖尿病や内分泌疾患を中心に専門的な診療・研究を行いました。

その順天堂での研修時代、どんな糖尿病患者を診ておられたのでしょうか。

比較的若い年齢層、特に20〜30代が多かったですね。仕事熱心なサラリーマンの方で休みも取らずに働いていた中、会社の健康診断で糖尿病と診断されたものの、忙しさのあまり病院に足を運べず、症状が悪化してから緊急入院された、というケースもありました。重症の患者さんを目の当たりにする機会が多かった研修時代でしたが、その間に素晴らしい恩師にもめぐりあえました。糖尿病学の大家で元順天堂大学医学部教授(現在同大学特任教授)の河盛隆造(かわもり・りゅうぞう)先生です。「一生インスリンを使わなくてもすむように、出来るだけ早期からインスリンを使うべき。」という先生のお考えには、とりわけ大きな影響を受け、今も私の診療スタイルの核になっています。その後、浦安・行徳近辺の病院に診療の場を移しましたが、やがて色々と制約の多い病院での糖尿病診療に限界を感じるようになり、また糖尿病診療の大半は外来だけで可能であることも考え合わせ、理想の糖尿病診療を追求するために地の利があるこの地に2013年に開業しました。

先生の考える糖尿病治療のポイントは何でしょうか。

渡邉賢治院長 わたなべ糖内科クリニック2

「糖尿病の主治医は患者さん自身」ということでしょうか。糖尿病は一度かかると基本治るものではない、つまり一生付き合っていく病気です。そして血糖をはじめ高血圧、脂質異常症などの種々の代謝異常や喫煙習慣など全身的な管理が悪いと、網膜症や末梢神経障害、脳梗塞、心筋梗塞などさまざまな合併症が生じます。そのような糖尿病を出来る限り正常に近づけ、将来の生活の質(QOL)を落とさずに過ごすためには、医師の力量や診療技術はもちろんですが、それ以上に患者さん自身の根気や、やる気にかかっています。日常生活も服薬管理も、さらにはインスリンなどの注射も、我々が常にそばについているわけにはいかない。ですから、我々は彼らの「サポーター」であり、「アドバイザー」だと思っています。もちろん、全体的な治療計画を決めるのは仕事ですし、そうした療養や食事のプログラムを無理なく続けられるための技術的、心理的サポートは最大限惜しみません。

初診・初期治療が糖尿病患者のその後の人生を左右する

先生は来院してくる糖尿病の患者さんにどんなふうに接していますか?

渡邉賢治院長 わたなべ糖内科クリニック3

大学卒業を控えて専門分野を決めるとき、私は自分がメスを握るような外科ではなく、内科に向いているということでそちらを志望しました。というのも自分の性格として、長い期間をかけて、一緒に寄り添いながら治していくタイプだと思っていたからです。ですから、患者さんに声をかける際も「あなたの人生なんですからね」などと、見放したような、きつい言い方はしません。ただ信念を持って、繰り返し糖尿病の怖さを切々と説いていきます。すると、最初はやる気のなかった方も何度も顔を合わせているうちに徐々に自分の病気ときちんと向き合っていただけるようになっていきますね。また、日頃患者さんに言っている言葉としては、「痩せれば全て良くなる」ということ。もちろん痩せている糖尿病患者さんの場合には当てはまりませんが。太っている方の場合には痩せれば血圧も下がるし、脂質異常症も改善され、脂肪肝も改善し、寿命にかかわる心筋梗塞、脳梗塞のリスクを減らすこともできますからね。

糖尿病は栄養や健康管理が大事になってくるということですね。その点のフォローはどうしていますか。

当院には管理栄養士がおりますので、患者さんが日頃の食生活を書き留めた記録を見ながら、栄養の偏りなどを指摘・アドバイスする「栄養相談」を行っています。“(栄養)指導”というと、上から目線な気がしておこがましいですから。ちなみに、この相談だけの目的で来られる患者さんもいらっしゃいます。さらに看護師や臨床検査技師もおりますので、食生活に限らず生活指導やその他の悩みの相談も受けつけています。こうして医師、スタッフが一体となったチームで指導・管理を行います。さらに近隣には大学病院時代の知り合いのドクターも多数おりますから連携体制も万全と自負しています。心臓や腎臓の専門医のもとへ紹介したり、また糖尿病網膜症のチェック、フォローに関しても近隣の眼科の先生との密な連携を心がけています。

考えてみれば、糖尿病なのかどうか、患者自身の最初の気づき、見極めが大事なのではないでしょうか?

渡邉賢治院長 わたなべ糖内科クリニック4

そうですね。研修医時代から、患者教育といいますか、糖尿病の怖さに対する啓発が大事だと感じています。ちなみに糖尿病の典型的な症状は「口渇・多飲・多尿」。つまり、口が渇いて、たくさん飲むようになる、(特に夜中など)おしっこに行く回数が増える、というこれら3つです。しかし、それにも慣れてしまって「無症状」になっていることが実は一番多い。ですから検査をしないと、糖尿病だとわからないことも多いのです。自分で太ってきたな、運動しなくなったな、と思った場合には、企業や自治体で行っている健康診断を半年おきや1年おきでもいいので受診してほしいと思います。また、こちらに来院された場合、私が大切にしているのが「初診」です。糖尿病は新患をいかにきっちり診てあげられるかが重要だと思っています。我々がどこまで診て、どんな細かいところまで聞くかが正しい治療計画の立案につながりますし、なにより患者さんに糖尿病のことをよく知ってもらいその怖さも自覚していただくことが、その後の治療へのモチベーションも変えていくと思うからです。どの病気もそうですが、特に糖尿病は初期教育がその後の治療経過を大きく左右すると考えています。

日常生活で治していくのが糖尿病 気負わず気長に

日常の中で糖尿病患者の方が留意しなければならないことは何でしょうか?

渡邉賢治院長 わたなべ糖内科クリニック5

まずは食事ですね。肥満気味の方は摂取カロリーを減らして目標体重に近づける必要があります。そして運動。定期的な運動により新陳代謝が改善しインスリンという血糖を下げるホルモンの効きがよくなります。車で言うとガソリンの燃費が良くなるようなものです。インスリンは身体を太らせますから、より少ない量で血糖が下がるのは望ましいわけです。日常生活では、じっとするよりなるべく体を動かすこと。例えばテレビを座ったまま見るのではなく、15〜30分に1回程度立つだけでも違ってくると思います。散歩に関して言うと、一番良いのは歩数計をつけて1日1万歩をめざすことです。もちろんそこまで歩けない方もいらっしゃいますから、その場合は例えば5千歩でも歩けたらかなり良いのではないでしょうか。時間でいったら速歩きで20〜30分ですね。ウォーキングを最低でも週3回やると、運動で高まった代謝機能が落ちないと言われています。ただし、天候が悪く歩けなかったとしても焦らないこと。雨の日に転んでけがでもしてしまったら本末転倒ですので。一生の付き合いですから気長に、気負わずに自分の病気と向き合うことが一番良いですね。

ちなみに先生はどんな食生活などを送っていますか?

まず食生活ですが、最初に野菜から口にする、いわゆる「ベジファースト」を実践しています。それは野菜に限らず汁物や肉・魚でも良いのですが、ご飯などの主食を最後にすることで食後の血糖が上がりにくくなります。一口に20〜30回よく噛むことも大事です。太っている方は咀嚼回数も少ない傾向があります。また運動ですが、駅などでもなるべく階段を使ったり、日頃から長時間歩くように心がけています。またリフレッシュしていることとしてバンド活動があります。若い頃からクラシックやロック、ジャズなど音楽全般は好きでしたが、特に好きなのがイギリスの某有名バンド。10年ほど前からそのバンドのコピーバンドを結成し、都内のライブハウスのステージに年に数回立っています。メンバーは知り合いのドクターが多いですね。キーボードは皮膚科の女医さん、ベースに循環器の先生がいたこともありました。2年前にはその有名バンドの故郷、イギリスのリバプールで毎年開催されるファン最大のフェスティバルのステージに出演することができたのですが、それを最後に少し燃えつきてしまいまして(笑)、最近は年に数回しか顔を合わせていませんね。

最後に患者さんにメッセージをお願いします。

渡邉賢治院長 わたなべ糖内科クリニック6

冒頭で私が医師をめざしたきっかけをお話しましたが、実は正直申しますと、当初は医療に対する漠然とした憧れだけで、そこまで高邁なヒューマニズムにあふれたものではありませんでした。どんな医師になるのか、そしてそもそも人生とどう向き合うべきなのかすら、明確なビジョンが描けないまま医学部に進んでも模索していたのです。しかしその後、多くの師から学び、多くの患者さんと関わりを持つことで、この糖尿病治療専門の医師人生が間違いではなかったし、また今では天職と思うようになりました。今後のクリニックの展望としては、患者さんへの療養指導体制をより充実させていきたいと考えています。患者さんが増えてくると、一人一人の患者さんにかけられる時間はどうしても短くなりますので、医師だけの指導では不十分になりがち。療養指導チームとしてのスタッフ全体で指導する体制が必要になります。このような体制がうまく機能することで、患者さん一人ひとりに、よりきめの細かいフォローアップが可能になると考えています。最後になりますが、当院は完全予約制を取っていますので、ご来院の際は一言お電話をいただけましたら幸いです。

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