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山口 喜移 院長の独自取材記事

やまぐち内科クリニック

(越谷市/越谷駅)

最終更新日:2021/10/12

山口喜移院長 やまぐち内科クリニック main

越谷駅から車で10分ほど、静かな住宅街にある「やまぐち内科クリニック」。高齢者や車いすを使う人にも配慮したバリアフリーの設計、吹き抜けの天井と大きな窓で開放感のある待合室にはセルフサービスのコーヒーやお茶を用意するなど、クリニックには訪れる患者への心配りが感じられる。穏やかで落ち着いた語り口で安心感を与えてくれる雰囲気の山口喜移院長は、生まれ育ったこの町で2010年に開業。地域の「かかりつけ医」として、丁寧で温かみのある診療を行っている。認知症など脳神経に起因する症状を診る神経内科の医師として、これからの高齢化時代にどう取り組んでいくかを考え、患者だけでなく家族も含めケアしていけたらという山口院長。「地域の皆さんの健康のため努力していく」というその思いを聞いた。

(取材日2016年9月16日)

認知症などの症状を神経内科の目で丁寧に診ていく

神経内科を標榜しているクリニックは珍しいのではないでしょうか。

山口喜移院長 やまぐち内科クリニック1

そうですね。開業医では越谷でも数件しかないと思います。神経内科というと心療内科や精神科と勘違いされる場合もありますが、脳や脊髄、神経、筋肉に病気があって起こる症状を診る科です。具体的には慢性の頭痛やめまい、手足のしびれ、神経難症、パーキンソン病、認知症、そのほかに脳梗塞や脳出血などの脳血管障害も対象になります。私は東京医科大学卒業後、母校の老年科に入局して高齢者の診療にあたり、そこで認知症や脳変性疾患のほかに血液や循環器の疾患などさまざまな高齢者の疾患について診てきました。最初は血液内科を専門にしようと思っていたのですが、研修医の時にお世話になった先生が神経内科の専門で、その先生のもとで学ぶうちに神経内科に興味を持ちました。最近では認知症の患者さんを診る機会が増えてきましたね。

認知症の患者さんは、やはり増えていますか。

糖尿病をはじめとする生活習慣病が、脳卒中などの危険因子だけでなく、認知症の発症にも深く関与していることが明らかになっています。まずはそこをきちんとコントロールすることが大切。治療することで認知症を防ぐことにつながります。神経内科だからといって認知症の症状だけを診るのではなく、持病や生活習慣までトータルで考えることが重要です。当院ではCT検査は行っていますが、それだけで診断することが難しい場合もあるので、必要があれば大学病院などを紹介してより詳しい検査ができるようにしています。認知症も初期のうちに来院していただけるといいのですが、受診していただくまでが大変で、実際は症状が進んでから診察に来る方が多い。ですからある程度の年齢になったら、患者さんだけでなくご家族の話も丁寧に聞く姿勢は大切になってくると思います。

ほかにはどんな患者さんが多いですか。

山口喜移院長 やまぐち内科クリニック2

生活習慣病の方が7割くらい。頭痛やしびれ、めまいで来院される方も多いですね。しびれの原因はさまざまで、脳に原因がある場合もありますし、脊髄・神経根や末梢神経に原因がある場合もあるので、診察してから疾患に合わせて他の病院を紹介する体制も整えています。あとはパーキンソン病など神経疾患の方。特殊な例では「むずむず脚症候群」の方もいらっしゃいました。夕方や夜になると足にむずむず感、痛みなどの症状が出て眠れなくなり、日常生活にも支障が出る場合があります。内科だけでなく、いろいろな科を回っても原因がわからずに何年も苦しんできた方が、私たちのような神経内科でやっと診断がついて薬で症状が改善されたというケースもあります。神経が原因になっている症状の中には、一般内科では診断が難しいものもありますので、気になることがあれば一度受診していただければと思います。

生まれ育った町の役に立ちたいという思いを大切に

地元で開業された時の思いというのは。

山口喜移院長 やまぐち内科クリニック3

中学生の頃に医師になることを決意したのですが、思えば医師になる前から「地元で開業するんだ」という夢を持っていましたね(笑)。越谷で育ってきたので、大学病院時代も、いずれは帰ってきてここで開業したいという思いが常にありました。地元の方が気軽に立ち寄って、ついでに体の相談をしていく場所、そんな町医者になりたかったんです。病気のことだけでなく「何でも相談できる町のお医者さん」をめざしています。そのためにも、気軽に話をしに来ていただけるような雰囲気づくりを大切にしていますね。

「町医者」としての役割をどのようにお考えでしょうか。

地域の人にとって身近なクリニックの存在は重要だと思います。特に最近は、患者さんの中にも高齢のため通院が困難になる方もいらっしゃって、そういう方には訪問診療を行う場合もあります。限られた時間の中で行いますからたくさんの患者さんを診ることは難しいのですが、訪問診療を必要としている方も増えていますので可能な限り対応していきたいですね。やはり育ててもらった町なので、地元の皆さんの役に立ちたい、恩返しをしたいという気持ちで、日々診療にあたっています。

検査機器など、設備がとても充実している印象を受けます。

検査のためだけに他の病院に行ってもらうのは大変なので、ここである程度の検査・診断ができるよう設備をそろえました。急な頭痛が、脳梗塞や硬膜下血腫など重大な疾患の場合もあるので、CTについては最優先で導入しました。そのほかに血液検査、心電図、超音波検査も可能ですし、骨密度を計測する機器もありますので、骨粗しょう症が気になる方も相談してください。また、動脈硬化の程度を測定する脈波計測機器(CAVI)や頸動脈エコーも取り入れています。糖尿病や高血圧、高脂血症などの持病がある患者さんも多いので、動脈硬化の状態がより判断しやすい頸動脈エコーなどの専門的な検査も積極的に取り入れて、動脈硬化の早期発見や脳梗塞の予防にも生かしていければと思います。患者さんも自身の状態を視覚的に知ることができますので、治療に対する意識も向上されるようですよ。

リハビリ機器もそろっていますね。

山口喜移院長 やまぐち内科クリニック4

開業当初は痛みを訴える患者さんが多かったので、痛みを少しでも和らげるように導入しました。腰痛など整形外科領域と重なるところもあるんですよ。水圧で刺激を与えるウォーターベッドや腰椎のけん引機器、低周波治療器なども設置して、希望する方には使っていただくようにしています。

気軽に相談できる「町のお医者さん」でありたい

診療するうえで、大切にしていることは。

山口喜移院長 やまぐち内科クリニック5

できるだけ患者さんの話を聞くことを第一に考えています。こちらから一方的に話すのではなく、まずは患者さんが訴えたいことを聞く姿勢。きちんと聞いてから、わかりやすく説明することを心がけています。その分時間はかかりますが、そういうスタンスでこれまでも診療してきましたし、お互いに納得してよりよい治療をしていくためには大切なことだと思っていますから。話をして、場合によっては検査を行って、何も問題がなければ安心してそれだけで症状が軽くなる方もいらっしゃいます。ですから、まずは話を聞くこと。患者さんが気になっていること、悩んでいることを気軽に話せる場所でありたいと思っているんです。

今後の展望についてお聞かせください。

最近は「かかりつけ医」という存在が重要視されています。私も地域のかかりつけ医として、内科に限らずさまざまな疾患についてもっと勉強しなければと思いますね。絶えず最新の医学、治療について学びながら、今後対応できることを増やしていきたい。また、これからは超高齢化時代で認知症の患者さんも増える可能性が高くなるので、地域のクリニックの役割はより重要になってきます。独り暮らし、老老介護、在宅で介護する家族の方、それぞれに難しい面や悩みがあるので、病気のことだけでなく患者さんを取り巻く環境やご家族についても留意しながら、トータルで手助けしていくことができればと考えています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

山口喜移院長 やまぐち内科クリニック6

体調で気になることがあったら、ささいなことでも構わないので気軽に受診していただきたいですね。病院に行くのが嫌い、診察されるのが苦手という方も多いとは思うのですが、健康相談に行くような感覚で来ていただければと思います。万一病気が見つかっても早期に発見できれば治る場合も多いですから。そして患者さんに「この病院に来てよかった」と安心していただける存在でありたいですね。地元のかかりつけ医となって、温かく頼りになる医療で皆さんの健康を守っていくために、これからも力を注いでいきたいですね。

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