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やまでらクリニック

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山寺博史院長

医療トピックス

新しい治療法として注目
睡眠障害における漢方治療と認知行動療法

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睡眠障害には夜寝ようとするのに眠れない不眠症だけでなく、朝起きられず夜眠れない「睡眠覚醒リズム障害」、日中起きていることが困難になる「過眠症」など多くの症状がある。患者は年々増え続けているが、西洋薬を中心とした薬物療法では、依存性や副作用の問題が懸念されているのが現状だ。そんな中「日本人にあう西洋薬だけに頼らない治療」を研究し続けている「やまでらクリニック」の山寺博史院長は、睡眠障害の治療に漢方薬を積極的に取り入れ注目を集めている。「患者さんの体と心の自然治癒力=レジリアンスを引き出したい」と、漢方治療に加え認知行動療法(カウンセリング)も合わせた形で睡眠障害に悩む患者と向き合う山寺院長に、漢方の有用性や処方に至るまでの診療の流れ、認知行動療法について聞いた。(取材日2016年12月14日)

患者の自然治癒力=レジリエンスを引き出す

睡眠障害の定義について教えてください。

1 ▲日本睡眠学会の評議員を務める山寺院長 睡眠障害には不眠症をはじめ、眠るべき時間に眠れず起きるべき時間に起きられない「睡眠覚醒リズム障害」、日中に強い眠気が生じる「過眠症」、夜寝ようとするとふくらはぎのあたりがむずむずして寝付けない「レストレスレッグス症候群」「睡眠時無呼吸症候群」等さまざまな疾患があります。症状や原因は患者さんにより多様ですが、原因がはっきりわからなくても治療法は確立されているので、ある程度は症状が改善されるものです。当院には睡眠不足の方が多くいらっしゃいます。睡眠不足は「朝早く起きられない」など生活リズムの乱れだけでなく、判断力が低下したり気分が憂鬱になったりなど精神症状を引き起こすこともあるため注意が必要です。

睡眠障害の治療になぜ漢方を取り入れるようになったのですか?

 ▲同院は日本ではまだ少ない、睡眠障害の漢方治療に取り組む 以前うつ病の患者さんに漢方薬を処方したところ、てきめんの効果があったのです。それを機に漢方を学び始め、さまざまな機関で研究や臨床を積み重ねてきました。睡眠薬の中でも、西洋薬のベンゾジアゼピン系の薬は依存症になりやすく、一度使い始めるとなかなかやめられなくなります。しかし漢方は、その方の体質を東洋医学の見地で分類し、根本から時間をかけて治していくものです。日本人は西洋人に比べると体格も体質も気質も、大きな違いがあります。不眠症を含めた睡眠障害は日本人独自の治療が必要であり、漢方は日本人に合うと確信しています。患者さんに合う治療を行うことで、自然治癒力=レジリエンスを引き出したいと考えています。

こちらではどのように治療を行うのでしょうか?

3 ▲当院での治療を求め、遠方から来院する患者も少なくないという 睡眠の不安を訴える患者さんに対しては、まず最初に「睡眠とはこういうものである」など睡眠の構造についてお話し、「規則正しい生活を心がける」「寝る時間を決める」といった「睡眠衛生」についてお教えします。何時に起きて何時に寝たかを記録する「睡眠覚醒リズム表」をつけてもらうと、この段階で症状が改善する方もいらっしゃいます。改善されない場合は、患者さんの症状や希望に応じて薬を処方していきます。症状が軽い方は、ファーストチョイスとして漢方薬をお勧めすることが多いですが、患者さんによっては漢方薬だけでなく西洋薬と合わせて治療を行うこともあります。服用期間も、一過性の疾患かそうでないかで異なってきます。

漢方薬には副作用はあるのでしょうか?

 ▲漢方にも少なからず副作用があることは意外と知られていない 生薬を組み合わせた自然素材の薬である漢方薬は、西洋薬に比べると、副作用ははるかに少ないのは事実です。しかし、漢方薬にも副作用はあります。例えば甘草という生薬は、低カリウム血症や高血圧、むくみなどの症状が出ることがありますし、肝機能が悪化したり、間質性肺炎を引き起こす場合もあります。また、複数の医療機関から異なる漢方薬を処方されるままに服用していると、その方にとっての適量をオーバーしてしまうことで何らかの悪影響が及ぶこともあります。

睡眠障害の認知行動療法とは、どのようなものなのですか?

 ▲睡眠障害のよりよい治療の探求の為、現在も北里大学で研鑽を積む 同じ事を考えたり行動することで生活に支障をきたすことを改善する精神療法の一種である認知行動療法は、うつ病の治療法の一つとして知られていますが、不眠症の認知行動療法も確立されつつあります。当クリニックでは、大体2週間に1度くらいのペースで足を運んでいただき、原則として50分のカウンセリングを6回行い、生活習慣、思考パターン、体の状態の3つを整えて眠れる習慣を身につけていきます。認知行動療法は自費診療になりますが、当院の臨床心理士が行い効果を上げています。不眠症の治療というと薬物療法というイメージが強いかもしれませんが、それ以外の選択肢として認知行動療法が選べることも知っていただきたいですね。

ドクターからのメッセージ

山寺博史院長

当クリニックでは、東洋医学の見地から患者さんを診察し、漢方処方を中心に体全体のバランスをとることによって不眠症を含めた睡眠障害を改善させていきます。睡眠障害専門の精神科医の中で、漢方による治療を積極的に取り入れているドクターはまだまだ少ないですが、それでも少しずつ増えてきています。精神科は治療に時間がかかることが多いため、漢方療法や認知行動療法が睡眠障害の確固たる治療法として確立するには至っていません。これまで積み上げてきた勉強や研究の成果を臨床面でも漢方薬や認知行動療法や西洋薬のよい所を用いながら、日本人に合う治療方法を生み出していきたいと思います。

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