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湯田 厚司 院長の独自取材記事

ゆたクリニック

(津市/阿漕駅)

最終更新日:2023/10/23

湯田厚司院長 ゆたクリニック main

近鉄名古屋線の津新町駅から車で5分とかからない津市修成町で、2011年の開業以来診療を続ける耳鼻咽喉科の「ゆたクリニック」。花粉症患者が遠方からも数多く訪れるというこのクリニックの院長を務めるのは、湯田厚司(ゆた・あつし)先生。舌下免疫療法の開発にも携わった免疫療法のスペシャリストで、舌下免疫療法をはじめとする花粉症治療を得意としている。このほか、三重大学医学部附属病院の耳鼻咽喉科で10年以上にわたり、頭頸部がんや甲状腺疾患の治療を行ってきた経験を生かし、頭頸部に関するがんのセカンドオピニオンにも対応。白を基調とする清潔感あふれる同院で、全国でセミナーも行う湯田院長に舌下免疫療法や花粉症について詳しく聞いた。

(取材日2020年8月31日/情報更新日2023年8月30日)

豊富な経験を生かして、子どもから高齢者までサポート

耳鼻咽喉科の医師を志した理由は何だったのでしょう?

湯田厚司院長 ゆたクリニック1

憧れていた先生の影響が大きいですね。地元の三重大学医学部に進学し、野球部に入りましたが、当時の野球部顧問の先生が耳鼻咽喉科の教授で、どんなことに対しても一生懸命で、向上心がありトップをめざす先生でした。私もその先生のように物事に打ち込める医師になりたいと思い、耳鼻咽喉科を選択しました。また、耳鼻咽喉科の疾患は、すべて自分の目で見て判断して診断できる点にも魅力を感じました。

先生の開業されるまでのご経験を教えてください。

大学を卒業してからは、三重大学医学部附属病院で12年間にわたり、頭頸部がんなど難しい手術を担当してきました。今は手術は行っていませんが、甲状腺に関する診察やがんのセカンドオピニオン対応に生かされています。東京大学医学部形成外科に行っていたときは、がんを取り除くだけではなく機能回復をめざす手術も行っていました。この手術はかなり難しい手術が多く、12時間から長いときだと20時間ほどかかることもありましたね。

現在クリニックに来られるのは、どのような症状の患者さんが多いのでしょう?

湯田厚司院長 ゆたクリニック2

一番多いのは風邪で、その次が花粉症ですね。年齢層は子どもから高齢者まで幅広いですが、他の耳鼻咽喉科と比較すると患者の年齢は少し低めだと思います。ここ20年くらいで花粉症の子どもが急増していて、最近では小中学生ともなると2~3人に1人は花粉症を患っているとされています。そのため当院では早い時期から、5歳以上の子どもの舌下免疫療法を行ってきました。舌下免疫療法を希望される患者さんは、遠方だと四日市や桑名市からいらっしゃる方もいます。たくさんの方が足を運んでくださるので、患者さんが多い日などは補聴器の診療を得意としている小川由起子先生と分担したり、症状ごとに外来の受付時間を分けたりして患者さんを待たせないよう工夫をしています。

免疫療法のスペシャリストとして、舌下免疫療法に注力

先生は舌下免疫療法の開発に携わってこられたそうですね。

湯田厚司院長 ゆたクリニック3

舌下免疫療法は手探り状態の時から発案者とともに研究を行い、開発に携わってきました。通常、薬の開発には10年以上かかることがほとんどなのですが、舌下免疫療法は需要が高かったこともあり認可までの期間がその半分くらいだったんです。始めた時は保険対象外にもかかわらず、名古屋や兵庫、東京など遠方からも患者さんがたくさん来られました。その当時から週に1回は全国各地に飛び回ってセミナーを行い、その県の耳鼻咽喉科の先生たちの前で舌下免疫療法の話をしていました。新型コロナウイルス感染症流行の影響で、一時は出張してセミナーなどを行う機会がほとんどありませんでしたが、最近はまたオンラインなどで舌下免疫療法や花粉症に関する知識を広め続けています。

舌下免疫療法はどのように行われるのですか?

舌下免疫療法は長期にわたる治療となりますが、受ける前にまず血液検査を受けていただきます。例えば患者さん自身が「私はスギ花粉のアレルギーだ」と言っていても、血液検査で陽性にならないと舌下免疫療法を行うことができません。治療自体は薬を1分間舌の下に入れてもらうというシンプルなもので、通院は月に1回だけです。1~2年で治療をやめてしまうと再発するリスクが高くなるので、4~5年続けてもらうことをお勧めしています。

長期にわたる舌下免疫療法を続けてもらうために行っていることはありますか?

湯田厚司院長 ゆたクリニック4

患者さんに治療の経過をしっかりフィードバックすることです。去年のご自身の状況と今年はどう変わったか、また、舌下免疫療法を行っているほかの患者さんとの比較などを紙に印刷してお渡しするようにしています。体感だけではわかりにくいこともあるので、きちんと目に見えるかたちで残し伝えることを大切にしています。ほかには、患者さんには予約なしで好きな時間に来ていただいています。予約制にするよりも月曜から土曜まで、都合がついた時に気軽に来ていただくほうが通いやすいのではないかと考えています。こういった工夫をすることで、舌下免疫療法を途中でやめてしまう人が少なくなるよう努めています。

大学の研究もサポートしているそうですね。

現在は5つの大学や専門病院に協力し、当院で得た花粉症や舌下免疫療法に関する情報提供をしています。私自身10年以上にわたりさまざまな研究を行ってきたので、同じような方たちの力になりたいと考えています。まだまだ診療だけでなく、論文とか研究など学問的な部分にも関わっていきたいですね。

花粉症に苦しむ人たちのための努力は惜しまない

先生の専門である花粉症の治療についてお聞かせください。

湯田厚司院長 ゆたクリニック5

花粉症に苦しむ方が少しでも減るように、ただ薬を処方するだけではなく生活改善もアドバイスするようにしています。例えば洗濯物や布団は外に干さないとか、花粉情報をチェックして飛散が多くなりそうな日には可能な限り外出を控えるとかですね。アレルギーの患者さんにとって抗原を回避するというのは、とても重要なことです。そのため私は花粉症研究の長年の経験を生かして花粉の飛散予測を行い、サイトを作って情報発信したり、その情報を日本気象協会やテレビ局に提供したりしています。メディアと協力することで「今年は花粉の飛散が多い」という情報をより多くの方に届けられるので、花粉症に苦しむ方を少しでも減らすことができると考えています。

診察するときのこだわりを教えてください。

患者さんと目線を合わせることを大切にしています。子どもの患者さんも多いのですが、親御さんではなく、お子さん本人に話すように心がけています。また当院では、「お大事に」という言葉を使いません。本当に体調を崩している方には使ってもいいのですが、良くしようと努力している方たちにかけるにはアンマッチな言葉だと感じますので、スタッフにも言わないように指導しています。あとは私を含めスタッフ全員、患者さん一人ひとりをよく見るようにしています。些細なことでも何か診断や治療のヒントを得られるかもしれないからです。患者さんに説明するときに、見やすさを考えてカラー印刷の資料をお渡しするのもこだわりの一つです。患者さんがご自宅に帰ってから一人で読んでもわかりやすいように、私が自分で手作りしたものなんですよ。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

湯田厚司院長 ゆたクリニック6

現在多くの方が花粉症でお悩みかと思います。花粉症は、生活習慣の見直しで軽快していくこともありますが、今は舌下免疫療法という体質にアプローチする根本治療があります。私は花粉症の方たちに自分に合った治療を受けてほしいと考えています。適切に治療をしていければ、症状に悩まされずに生活していくことは不可能ではありませんし、そういう方が1人でも多くなればいいと考えていますので、まずはお気軽にご相談いただければうれしいです。舌下免疫療法は長期にわたる治療ですが、途中でやめることなく続けていただけるよう、全力でサポートいたします。

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