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森本 博 院長、中山 かおり さんの独自取材記事

博多祇園メンタルクリニック

(福岡市博多区/祇園駅)

最終更新日:2022/01/24

森本博院長、中山かおりさん 博多祇園メンタルクリニック main

祇園駅から徒歩で約5分のところにある「博多祇園メンタルクリニック」。福岡市西区の「今宿病院」の分院として開院し、精神科・心療内科の専門性を生かした診療で多くの患者の健康を支えている。2011年の開院より院長を務めるのは、「私たちの役目は特定の精神疾患に特化するのではなく、身近なかかりつけ医院としてどんな些細な悩みでも受け入れ、幅広い患者さんに対応していくこと」と優しく話す森本博先生。病気の重症度に応じてカウンセラーの中山かおりさんと密に連携を図り、患者がより良い人生を送っていくための適切な治療や手厚いサポートに力を尽くしている。日々、一人ひとりの心に寄り添う地域医療に取り組む二人に、医院の特徴や診療において大切にしていることなどについて聞いた。

(取材日2021年12月16日)

一人ひとりに親身に寄り添い、心の通った診療を

地域における医院の役割をどうお考えですか?

森本博院長、中山かおりさん 博多祇園メンタルクリニック1

【森本院長】当院は、九州の玄関口である博多と流行の発信地である天神の中間に位置しています。多くのオフィスビルや商業施設が立ち並ぶ都心エリアですので、たくさんのビジネスパーソンの方が気軽に通える医院として機能させることを大切に考えています。診療においては、心の悩みを持つ方や精神的なつらさを感じる方を幅広く受け入れるよう注力。かっちりとした方針に則った治療というより、小回りの利く柔軟性のあるメンタルケアが当院の持ち味ではないでしょうか。何か日常生活で不安や困ったことがある時に、「ちょっと話しに行ってみよう」と気兼ねなく頼られる。そんな医院でありたいと思っています。

全体的な診療の方針についてお伺いします。

【森本院長】患者さんの悩みやそれを取り巻く状況は、実に多種多様です。過度なストレスを抱えている方や非常にナーバスになっている方も受診されるため、できるだけ丁寧に接するよう努めています。特に言葉は大切です。治療関係においても誤解が生じることは当然のことと認識し、丁寧なコミュニケーションを心がけています。診察室の配置も重要です。正面から向き合う緊張関係と、横並びの「寄り添う関係」の中間で、斜め45度の角度で話し合うことで、患者さんが自然に話せる雰囲気づくりを心がけています。話を伺う時には、腰を折らないように傾聴しますが、同じ話の繰り返しになってしまった時には、先を促したりしながら、かけ合いを続けます。患者さんが話しやすい環境づくりは、医院に入った瞬間から始まっていますから、スタッフみんなで一丸となって取り組んでいます。

患者層や気になる主訴を教えてください。

森本博院長、中山かおりさん 博多祇園メンタルクリニック2

【森本院長】患者さんとしては、周辺のビジネス街で働いておられる方が多いです。年齢層は20~40代の方が多く、主訴としては、「仕事がうまくいかない」「夜、眠れない」「頭が働かない」「涙が止まらない」などさまざまです。続いて、九州一の歓楽街「中州」で働く方も多く受診されます。疾患としては、うつ病、適応障害、不安障害が多く、ベースに発達の問題を抱える方が多くいらっしゃいます。現代はコンピューターに囲まれたストレス社会で、人間関係もSNSに頼っています。喜び、悲しみ、怒りなどの感情も、生身の人の痛みとして感じにくくなり、行動の歯止めが効きにくくもなっています。このような現代社会を生き抜く中で、心を病まない自信は、誰も持ちにくいのではないでしょうか。

その人らしい生き方を、じっくり一緒に考えていく

多いといううつ病の診療についてお尋ねします。

森本博院長、中山かおりさん 博多祇園メンタルクリニック3

【森本院長】常に気持ちが落ち込んで、何事もおっくうでやる気が出ない、楽しいことが何もない、頭が働かなくなってしまったというのが、うつ病の典型的症状です。本来、日本人のうつ病は、仕事熱心な方がかかりやすいとされてきましたが、働きすぎて、慢性疲労が蓄積する中で、回復の糸口を見失う方が多くいらっしゃいます。このようなうつ病の場合は、脳の疲労を軽減することの大切さを説明し、病気への理解を促した上で、休養をお勧めします。身体の不快な症状を軽減するためには、漢方薬が有用です。抗うつ薬が必要な場合も多くありますので、副作用に注意しながら投与します。仕事が嫌い、人付き合いが嫌いな方のうつ状態の場合は、違った対応が必要になります。

カウンセリングにも力を入れているとお聞きしました。

【中山さん】症状が重い方や難しいケースの場合は、院長の診療と並行して、カウンセリングを行っています。カウンセリングの目的は、その人らしく生きていくにはどうしたら良いかを患者さんと一緒に考え、導いていくこと。そのためには、一人ひとりに親身に寄り添い、じっくりとお話を聞くことが重要です。友達のように話せる心のよりどころになるような存在をめざしています。適応障害で仕事をお休みしている方の場合は、職場復帰の支援も行っています。勤めている会社と連携を図ったり、書類の提出や作成をサポートしたり、その方の病気の状態や生活の状況に合わせて、支援の内容はさまざまです。ただし、必ずしも在籍する職場に復帰することだけが最良の選択ではありません。時には転職を一緒に模索するなど、より良い生き方を見出せるよう取り組んでいます。

発達に偏りのある患者さんも多くいらっしゃるそうですね。

森本博院長、中山かおりさん 博多祇園メンタルクリニック4

【中山さん】心の病気を持つ方の中には、根底に発達の偏りがあって、二次障害として病気を発症しているケースがあります。当院は発達障害専門医院ではありませんが、さまざまな検査を行い、その結果と患者さんから伺った過去の状況を照らし合わせて、疑いのある方に対しては、発達臨床の観点からアドバイスを行っています。聞いた話を覚えることが難しかったり、物事の処理がうまくできなかったり、発達の偏り方や度合いは、実に千差万別。それだけに患者さんごとに寄り添い方が異なり、その都度、一緒により良い日常生活が送れるよう考え、支えていくことが重要となります。

入院治療にも対応し、総合的なメンタルケアを提供

本院との連携についてお話しください。

森本博院長、中山かおりさん 博多祇園メンタルクリニック5

【森本院長】本院の今宿病院は、心療内科、内科といった診療科目を設定し、140床の病床を備えています。そこで重度のうつ病などで、一人での日常生活が難しい患者さんや目が離せない方は、本院と連携して入院治療に対応しています。また、緊急性の高い症状の場合は、精神科救急を受け入れていただける病院と連携を図り、最善の治療が受けられるよう取り組んでいます。

医師を志したきっかけなど、先生のパーソナルな部分もお聞きします。

【森本院長】私の父は、精神科の医師で、子どもの頃から忙しそうに診療に奮闘している姿を目の当たりにしていました。「精神科医」という人生の、良い面もつらい面も見てきた身として、一時は別の道を模索していましたが、やはり気がつくと、私自身も精神科の医師として、40年間診療に従事してきました。私自身が、先もあまり長いとは言えない年代となり、他に何の取り柄もない人間ですが、患者さんが喜ぶ姿を拝見すると、医師になって良かったという実感と、私自身の生きる力を頂いていると感じ、感謝しております。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

森本博院長、中山かおりさん 博多祇園メンタルクリニック6

【森本院長】仕事や、家事、育児、人間関係など、現代社会では誰もがストレスを感じています。「何だか眠れない」「考え事ばかりして頭が重い」「頑張ろうとしてもやる気が出ない」など、不調のサインを無視して、自分はもっと頑張れるはずだと、自分を追い込まないでください。メンタルクリニックは、決して敷居の高い場所ではありません。ちょっとお話しするだけでも気分が楽になる場合もあります。困ったことがあればお気軽にご相談ください。スタッフ全員が親身になって丁寧に対応いたします。

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