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岸田 勝 院長の独自取材記事

岸田こどもクリニック

(世田谷区/池尻大橋駅)

最終更新日:2024/03/26

岸田勝院長 岸田こどもクリニック main

池尻大橋駅から徒歩約5分の場所にある「岸田こどもクリニック」。穏やかな口調が印象的な院長の岸田勝先生は小児科、小児アレルギーの専門家として長年大学病院で研鑽を積んできたその道のスペシャリストだ。「子どもの意思を尊重した治療」をクリニックのコンセプトに掲げ、患者にじっくり向き合う姿勢を忘れない。先生のひたむきな治療への思いが子どもたちにもしっかりと伝わり、日々多くの患者が岸田院長のもとを訪れる。取材ではアレルギー治療におけるこだわりや子どもとの向き合い方、今後の展望などについて聞いた。

(取材日2024年2月14日)

子どもの意思を尊重した治療方法の提案

先生が小児科の医師をめざしたきっかけを教えてください。

岸田勝院長 岸田こどもクリニック1

毎年大学から選抜された何人かが行くことのできる、結核予防会の発展途上国支援に行かせてもらったことが大きく影響しているのではないかと思います。学生なので、医師としてネパールの方々の治療にあたることはなかったのですが、ドクターが治療しているところを見学したり、サポートできることはしたりして2週間を過ごしました。現地では、診療場所に子どもたちが自然に集まっていて、まるで学校のようになっていたのですが、その時に見た子どもたちの目が印象に残っているんです。とても輝いて見えましたね。その経験から、小児科の医師になりたいと自然に考えるようになりました。

クリニックにはどういった患者さんが多くいらっしゃいますか?

アレルギーの中でも特に、アトピー性皮膚炎や花粉症、食物アレルギーの相談が多いですね。子どもにアレルギーがあり、家族皆さんで受診されている方もいます。食物アレルギーの患者さんの中には、不必要に食物を制限している方がいらっしゃいます。例えば、卵を食べてじんましんが出てしまい、検査を受けてアレルギーがあることがわかると、当初は食べることを制限されるのですが、成長するにつれてだいたいの方は制限されていた食べ物も食べられるようになります。けれど、何年も制限をかけたままの状態になってしまっている方が多く、そのままでは栄養バランスが心配になることがあります。診療の際には、食物を制限する時は解除のことまで考えて、解除が見込める年齢についてもしっかり説明するようにしています。

クリニックのコンセプトとして掲げていることはありますか?

岸田勝院長 岸田こどもクリニック2

日本小児科学会から「医療における子ども憲章」という宣言が出ているのですが、それにのっとり、子どもの人権をしっかり守って治療するということを掲げています。病気や障害があったとしても、年齢に関係なく、すべての子どもが自分を大切にして、楽しく過ごせるお手伝いをわれわれはしなくてはなりません。例えば、子どもがどうしても受けたくない検査を無理に勧めることはありません。ただし、少し嫌がっただけで検査を諦めてしまうようですと、正確な診断ができないこともあります。ですので、きちんと子どもの意見を聞いて意思を尊重し、納得のいく説明をもって診療するようにしています。一方的に親と子どもどちらかの意見で治療を進めることはしないようにしています。

アレルギーの原因を追究し早期治療をめざす

検査・治療が苦手なお子さんにはどういった対応を行っていますか?

岸田勝院長 岸田こどもクリニック3

そうですね。誰でも検査や治療には不安があります。子どもであれば尚更かと思います。ですので、なぜ検査が必要なのか? この治療をすることでめざすことは何なのか? を時間をかけてコミュニケーションを重ねながら、納得して臨んでもらえるように努めています。診察室だけで完結することはなく、一度家に帰って考えてきてもらう場合もあり得ます。クリニックと家庭が連携し、そのお子さんにとって、一番良い進め方を考えるようにしてきました。開業して14年。さまざまなお子さんといろいろな会話をしてきましたので、躊躇せずに何でもお話しいただければと思います。

アレルギー治療をする際に心がけていることはありますか?

アレルゲンを早く見つけて、コントロールを図ることですね。まずは原因を見つけ対処方法、その後に薬物療法がきます。例えば喘息は、ハウスダストやダニ、カビに反応する方が多いのですが、埃がたまらないような生活をすると発作の頻度も減りますし、薬は使わなくて済む場合もあります。ただ、やみくもに掃除をすればいいいというわけではありません。例えば、じゅうたんを敷いていれば剥がす、ぬいぐるみは布団乾燥機にかけてダニを一掃するなど、工夫次第でだいぶ変わります。アレルギーというのは、特定のウイルスで起こるような病気ではなく、その方の生活に密着したところで、発症したりしなかったりするため、治療もそこに踏み込まなければうまくいきません。アレルゲンや悪化因子というのは一人ひとり違いますので、症状の背景にあるものをよく教えてもらい、原因がわかればライフスタイルを変えていただくように指導していきます。

長年のキャリアを通じて小児科医のやりがいはどのあたりにあると感じますか。

岸田勝院長 岸田こどもクリニック4

やはり子どもって、将来や未来につながっているわけですよね。その子どもたちを直接手助けできるということに、とてもやりがいを感じています。そのあたりは、学校の先生などの職業の方と、同じ考えなのではないでしょうか。幼少期から診ていた子が、大学生になっても変わらず来てくれることもあります。「今度留学するので、先生お薬はどうしたらいいですか?」とかね。そういう時に、この仕事をしていて良かったなとうれしくなります。アレルギーはなかなか完治が難しい疾患でもありますので、長い付き合いになることも多いです。直接子どもを助けることが、ひいては人類を守ることにつながるとも思っています。

予防医療に注力しこれからも患者の健康を守りたい

先生が診療する上で大事にされていることがあれば教えてください。

岸田勝院長 岸田こどもクリニック5

「自分の子どもや親ならどうするか」ということを考えて日々診療にあたっています。自分の子どもだったらやらないなということをやるのは、やっぱりおかしいですよね。自分の子どもだったらどうするかと考えると、当然ベストと思われることをやりますから、その方法で対処すれば、必ず自分の力のベストを尽くせると思っています。あとは、どんな病気でもいえることですが、とりわけアレルギー疾患というのは精神的要素が症状に関与している割合が高いです。例えば皮膚のかゆみや咳など、アレルギーの症状にストレスが影響している場合もあります。そういった精神的要素の関与が明らかな方で、その面からも治療していく必要がある場合には、納得いくまでしっかりと向き合う時間を取るようにしています。

クリニックの今後の展望について伺います。

アレルギーの予防には引き続き力を入れていきたいです。食物アレルギーから発症する方が多いので、妊娠される2〜3ヵ月前から、食べ物をバランス良く食べるようにしていただければ、アレルギーを防げるのではないかと思っています。両親どちらかにアレルギーがあれば、子どももアレルギー体質だと思ったほうがいいかもしれません。その場合、赤ちゃんが生まれたらなるべく早めにご相談にいらしてください。1歳未満の乳児の発症が圧倒的に多いですが、仮に食物アレルギーと診断されても、成長とともに消化能力や免疫機能が高まり、改善に向かうことも多いです。事前にわかっていれば、離乳食にも安心して進めますよね。今の世の中80%くらいの方が何かしらのアレルギーを持っているといわれています。体質をすべて変えることは難しいですが、うまく付き合っていく方法をわれわれが提案できたらと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

岸田勝院長 岸田こどもクリニック6

気になる症状があれば自己判断せずに早めに専門の医療機関にかかりましょうということはお伝えしたいですね。アレルギー発症予防や子どもの急な発熱時にクリニックを受診するタイミング、通常生活への復帰の目安などはクリニックのホームページにも記載しています。どんな病気でもそうですが、早期発見・早期治療が非常に重要です。些細なことでも結構ですので、何かあればお気軽にお越しください。予防に勝る治療はなく、これからも予防接種による感染症の克服や日々の生活の工夫によるアレルギー発症予防に貢献していきたいと思っています。

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