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黒井 克昌 院長の独自取材記事

荏原病院

(大田区/洗足池駅)

最終更新日:2019/08/28

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明治時代から続く、長い歴史を誇る「荏原病院」。現在は城南地区の中核を担う「地域医療支援病院」として、地域のニーズに幅広く応えている。治療の柱は脳血管疾患治療、集学的がん治療と救急医療。特に脳血管疾患に対しては「総合脳卒中センター」を持ち、時間との戦いになる急性期の集中治療から、回復期のリハビリテーション、在宅復帰後までトータルな治療を行い、地域の信頼を得ている。また地域の連携医登録制度を取り、紹介・逆紹介をはじめ、さまざまな面で連携を密にしようとしている。さらに黒井克昌院長は「これからは病院の方から地域に入っていくべき」と講演会や栄養指導などでより地域住民と密接な関係を築こうとしている。診療の特徴や新たな試みから、院長の考える病院の機能についてまで幅広く話を聞いた。
(取材日2018年7月5日)

地域のニーズに応える城南地区の中核病院

明治時代から続く病院だそうですね。

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1898年、明治31年に世田谷で感染症の隔離病舎として開設された歴史ある病院です。現在の場所に移転したのは1934年で、以降、市立病院、都立病院として発展してきました。1994〜1996年にかけて今の形に改修され、新たなスタートを切りました。1階待合室の大きなステンドグラスをはじめ都立病院の中でもモダンな造りで、病室も廊下も広々としているのが特徴です。2006年には東京都保健医療公社に移管され、「医療で地域を支える」をモットーに、地域連携を大事にするという性格を持ちました。さらに2009年には地域医療支援病院として承認され、かかりつけ医からの紹介、あるいはかかりつけ医への逆紹介を行う体制を強化しています。創立120周年の2018年7月には「えばら120周年祭」を行い、脳卒中の公開講座や医師の立場からの内視鏡体験、コンサート、縁日など多くのイベントを催しました。

脳卒中やがんの治療に力を注いでいらっしゃいます。

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総合脳卒中センター、集学的がん治療、そして救急医療がわれわれの診療の3本柱となっています。中でも総合脳卒中センターでは脳外科、神経内科を中心に多くの診療科が緊密に連携を取りながら、専門病床SCUを使い、急性期から回復期のリハビリテーション、在宅復帰後の再発予防まで,脳卒中の患者さんを総合的に治療しています。最近脳外科の体制がさらに充実し、患者さんの負担の少ない血管内治療ができるようになりました。脳卒中の治療は時間との勝負ですから、近隣の開業医の先生方、救急隊とも連携を取るよう努めています。がん治療においては5大がんを中心に薬物療法、手術、放射線治療、そして免疫療法を行っています。救急医療では基本的には患者さんを断らずに、まず診るという姿勢を大事にしています。ただ我々は2次救急ですので、難しいケースは大学病院にお願いする。その判断をすることも大切かと思っています。

高気圧酸素治療室や認知症疾患医療センターもあります。

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高気圧酸素治療装置は高い圧力環境で酸素を吸入し、体内の酸素濃度を上げて病態改善を図っていく療法ですが、当院のような大規模な装置は珍しく、力を入れている診療の1つです。突発性難聴、骨折の治癒の促進、脳血管障害の治療などに役立てている他、褥瘡や治りにくい傷の治癒にも活用しています。認知症疾患医療センターは超高齢化社会の到来を見据え、2012年に開設されました。「認知症(物忘れ)」の診療を行ったり「認知症相談窓口」を設け、神経内科が中心になって運営しています。認知症の患者さんは肺炎、脳卒中などの合併症を起こすことも多く、入院が必要になった場合は院全体で対応できるところも私たちの強みかなと思っています。また地域医療支援病院として、紹介で訪れた患者さんに診断がついてある程度落ち着いたら、また地域のクリニックの先生にお願いするという紹介、逆紹介にも力を入れています。

地域との連携をどのようにお考えですか。

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当院には連携医登録制度があり、登録していただいた開業医の先生方への紹介、逆紹介を行い、共同診療やCT、MRIの共同利用も実施しています。当院の放射線科のドクターの読影は近隣のクリニックから信頼を得ています。将来的にはこちらで撮影した画像をクリニックで即見られるようなシステム作りも進めて行きたいと考えています。これからの時代は病院の方から地域に入っていくことも求められています。そのためには人材や体制の整備が必要になりますが、まずはできるところから始めたいと、現在は院内からの利用が圧倒的に多い「地域包括ケア病棟」に地域の皆さんを受け入れていこうとしています。また「えばら120周年祭」のようなイベント、講演会をさらに増やしていきたい。栄養士による栄養指導を行うシステム作りも地域と連携して動き出しています。新たな送迎車の運行などでアクセスの改善も図っていきたいですね。

スタッフに徹底していることはありますか。

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常に言っているのは、ここで診てほしいと患者さんに選ばれる病院にならなければならないということです。そのためにはたとえ自分の専門領域ではなくても、当院を受診された患者さんはとにかく診ること。その上で自分の病院で対応できない場合は対応できる病院に紹介することが重要です。病院というのはゼンマイで動く機械式の時計のようなものです。一見離れていて関係のないように見える部署と部署がじつはつながって動いているから機能します。いろいろな職種に分かれていると、わかりにくくなるかもしれませんが、自分の仕事が思いもかけない遠いところに影響を及ぼしていることをイメージしてほしい。正しい時を刻むためにゼンマイを巻き上げ、定期的にメインテナンスをすることや、スタッフに自分のやっていることがどういう意味があるのかを認識してもらい、整理してつなげてあげるのがわれわれ幹部の仕事かもしれませんね。

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