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認知症とはどのような病なのか
本質を知り早期治療につなげる

名古屋フォレストクリニック

(名古屋市緑区/南大高駅)

最終更新日:2021/10/12

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  • 保険診療

「認知症」を単に物忘れのひどい状態、と考える人は決して少なくないだろう。しかし、その本質は少し異なり、記憶だけでなく性格や行動にも大きな変化が伴う。また加齢との関係も深いとはいえ、必ずしも年齢によって発症するわけでもなく、いつ誰にでも発症する可能性がある病気といえる。症状が進行しないためには早期発見と早期治療が求められ、患者とともに生活する家族など介護者の協力も不可欠であり、患者の治療だけでなく、介護者のケアも重要だと考えられる。長年、認知症の治療に携わってきた「名古屋フォレストクリニック」の河野和彦院長に、認知症とはどのような病気なのかを中心に、河野院長が提言し実践する「コウノメソッド」について話を聞いた。

(取材日2016年8月6日)

患者の症状に合わせて柔軟に薬の量を調整、治療を通して患者だけでなく介護者の健やかな生活をも支える

Q認知症とはどんな病気なのでしょうか?
A
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▲30年にわたり、認知症の診療に心血を注いできた河野院長

老化による物忘れと認知症を混同される方が多いですが、本質的には全く異なるもの。例えば複数の単語を覚えてもらう記憶テストを行った時、高齢になると単語のいくつかを覚えていないのは物忘れ。単語を覚えたこと自体を忘れてしまうことが認知症です。認知症は主にアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症に分けられ、それぞれ症状に特徴があります。これらは単独で発症すると思われがちですが、複合的に病変を持つ場合もあり、見極めが肝心となります。発症する年齢にも注意が必要で若い方ほど進行が速く、目安としては74歳以下に兆候が見られる場合、早期に治療を開始すべきと考えられます。

Qどのようなタイミングで来院すればよろしいのでしょうか?
A
Tp2

▲同院では全国から認知症の悩みを抱えた人々が来院する

家族が患者に異変、例えば急に性格に変化が出たり、物事を忘れてしまったりする症状を見つけたら診察を受けるべきだと思います。初期の認知症だと症状が出るのはとても限定的で、まさに氷山の一角。ですので、気に留めない方が多いですが、症状が出た段階で認知症が発症している可能性が高いと考えられます。ただ初期段階の場合、診察を受けても認知症と診断できる医師は多くはありません。1人の医師が「問題なし」と診断したとしても複数の医院で診察を受けることをお勧めします。患者さんの異変に最も気付けるのは、医師ではなく家族です。家族が見つけた異変ほど信用に値するものはありません。その異変を見過ごさないことが大切ですね。

Q検査、診断、治療の流れを教えてください。
A

▲CTなどの機器も迅速な診療のために、精選されている

まずは簡単なチェックシート付きの問診票を使い、どんな症状があるのか、該当する項目にチェックを入れてもらいます。このチェックシートの内容を踏まえ、診察では症状の具体的な特徴について確認していきます。例えば「怒りっぽい」という特徴も、どう怒りっぽいのかまで確認しないと、症状の特徴を正確につかむことはできません。自覚症状だけでなく、姿勢などにも特徴があるので必ずチェックするポイントですね。先述した通り、認知症は複合的に症状の出る病気です。正確に「これだ」と断定する診断ではなく、「どの種類に近いのか」「どの種類の特徴を持っているのか」という観点から診療し、治療を始めることが求められると考えています。

Q「コウノメソッド」とはどのようなものなのでしょうか?
A

▲家族や介護者のことを第一に考えられた「コウノメソッド」

「コウノメソッド」は投薬量の細かな調整や漢方やサプリメントの併用によって症状を緩和させる療法です。初期の認知症治療では進行した認知症と同じ量の薬を投薬すると副作用が出てしまいます。つまり診断ありきで投薬を行うのではなく、患者の症状を見て薬の量や内容を調整することが重要なのです。医師は「病を完治させねば」と思いがちですが、患者や介護者にとっては必ずしもそうではなく、多くの方が「以前のように穏やかに過ごしたい」と考えています。そのため、診察では求める生活スタイルに耳を傾けることも重要ですね。基本的に医師の指導のもと介護者が医師に代わり家庭で投薬量を調整するため、介護者の協力も不可欠です。

Q「コウノメソッド」は全国に実践医がいると伺いました。
A

▲全国でコウノメソッドが提供できるよう実践医の拡大をめざす

現在約350名の医師がコウノメソッドを実践しています。全国から来院する患者さんがいらっしゃいますが、私一人で診るのには限界があります。各地に実践医がいれば受け皿も増え、より治療に取り組みやすくなると思うのです。初診は当院で行い、以降は患者さんの地元で開院する医師にバトンタッチすることも多いですよ。医師がすべきことは患者の“目に見えない部分まで診る”こと。数値や画像といった情報だけでなく、患者さんそのものを総合的に診ることで、より良い治療へつなげる。これができれば、患者だけでなく介護者もより良い生活を送ることができますし、それが「コウノメソッド」のめざす治療の形だと考えます。

ドクターからのメッセージ

河野 和彦院長

認知症の治療はまだまだ発展途上。治療に目を向けすぎるあまり介護者のケアまで意識が向かない医師も少なくありません。しかし認知症は社会的な疾患であり、患者の介護に苦しむ人をも含めたケアが重要なのです。視野を広く持って治療にあたる「コウノメソッド」は患者と介護者のケアの一助となると考えています。中には漢方やサプリメントを用いることに不安を覚える方もいるかもしれませんが、これらは従来の西洋医学で用いるだけでは目に見えてよくならないところをしっかり改善させるために用いるものです。今後も患者さんや介護者の方から「ここへ来ると元気になれる」と言ってもらえるクリニックをめざしていきたいですね。

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