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長田 夏哉 院長の独自取材記事

田園調布 長田整形外科

(大田区/田園調布駅)

最終更新日:2021/10/12

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田園調布駅東口から徒歩1分、駅前通り沿いでアクセス至便な「田園調布 長田整形外科」。大きな窓から差し込む自然光が心地良い待合室には、治療のヒントとなるような書籍や雑誌に加え、全身の健康維持に向けた多種多様な医療情報が貼り出されるなど、来院する患者の意識を高めたいと願う院長の長田夏哉先生の熱意が垣間見える。日本整形外科学会認定の整形外科専門医であると同時に、スポーツ整形に関する臨床経験も多く積み、患者の痛みや不調に向き合い続けてきた長田院長。近年注力しているセルフケア指導と、その先に思い描く医療の姿などについてじっくりと話を聞いた。

(取材日2020年9月24日)

セルフケア指導など、患者に応じた多様なアプローチを

近年、力を入れられている取り組みはありますか?

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整形外科医院にとって重要なMRIやエックス線といった検査装置、骨密度測定装置などを随時更新し、精密な診断に役立てることは当然として、近年は全身の健康維持を念頭に、特に患者さんに向けたセルフケア指導に力を注いできました。手だけを使って行う「指ヨガ」、頭皮を伸ばすことで首や背中の筋肉の緊張をほぐしていく「頭皮のばし」など、ご高齢で体を動かすのがつらかったり、体に痛みがあったりしても、座りながらご自宅で簡単に取り組めるセルフケアとして取り入れています。

腰痛や肩こりに対しては、脳へのアプローチも取り入れられているそうですね。

整形外科の患者さんの主訴として、「痛み」がたいへん多いですが、長く続く痛みの中には脳が少なからず関与しているものもあるということが、脳の画像診断技術の高まりなどによって医学的にも徐々に解明されてきました。かつてはメンタル、心因性のものとされてきた痛みが、脳の中枢機能的な部分の障害によって引き起こされていて、体の痛みを増幅させたり軽減させたりといった現象に結びついているのだという報告があります。その点に着目して、当院でも痛みのケアを目的に、肉体的なアプローチに加え、音声を活用したり、ゲーム感覚で行えるトレーニングを行ったりして、脳に働きかける取り組みも行っています。

そうした幅広いアプローチをされているのはなぜですか?

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私自身ずっと、西洋医学的な視点から医学を学び、診療にあたってきました。その中で感じたのは、病気や不具合を対症療法的に治療していくだけでは長く機能せず、患者さんが再び同様の不具合を感じることになりかねないということでした。例えば「体調が悪くて人間ドックを受けたが、何の異常もなかった」という方がいらっしゃいますが、検査で異常がないということは、検査機器や担当の医師の所見によって異常と評価されなかったというだけのこと。人間の体はどこまでが健康で、どこからが病気といった境界線では区切れないことも多いですから、その時自覚している痛みや違和感、「体が重く感じる」といった感覚こそが一番重要だと思うんです。検査結果には表れにくいものとして、生物にはそれぞれ「個体のゆらぎ」といったものがあると考えています。これを無視することなく、個々の患者さんに合うアプローチを実践していきたいと思っているんです。

肩こりや腰痛は不調を知らせる生体アラーム

そうしたスタイルは先生が整形外科を選ばれた理由ともつながっているそうですね。

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内科系の、例えばがんのような大きな病気を患うと、人は自分の体とじっくり向き合うようになるものですが、整形外科で多い肩こりや腰痛くらいでは、体と向き合うといった発想にはなかなか至らないものだと思います。しかし肩こりや腰痛は自律神経系の乱れから来ることもあり、これを例えれば生体アラームが鳴っている状態。こうしたアラームの段階で自分の体をよく知り、乱れがちな生活習慣を改めたり、自分に合ったセルフケアを覚えていけば、がんや脳梗塞、生活習慣病といった命にかかわる病気を予防することにもつながっていきますよね。そうした意味で、整形外科は最も予防医療に取り組みやすい診療科だと思っています。

セルフケアによる予防の意識を、多くの患者さんに定着させていきたいというお考えなのですね。

医師を頼ることが悪いと言っているのではありません。何か少し不調があったらまず病院へというのでなく、必要な通院をする中で医師による検査結果の説明やアドバイスをもとにご自身の体についてもっとよく知っていけば、ふと感じる痛みや疲労感を「体から来る信号」と捉えてセルフケアなどで自己調整し、バランスを整えていくことができると思っているのです。ご高齢になると「寝たきりになったらどうしよう」「歩けなくなったら困る」といった不安から医師に頼りすぎてしまったり、氾濫する健康情報に右往左往させられたりして、結果的に自分の力をどんどん信頼できなくなっていってしまいがち。患者さんが自分を知り、自分でケアする。その後押しをして行ける医療機関でありたいと思っています。

スタッフ体制についても教えてください。

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整形外科医師の私とリハビリテーション科医師、看護師、放射線技師、理学療法士、医療事務スタッフのほか、非常勤の内科医師、鍼灸師、柔道整復師、管理栄養士、そして各種セラピストなど総勢約20人のチームで対応できることも当院の強みです。スタッフには常にニュートラルに患者さんと向き合ってほしいと話しています。例えば患者さんと同じ病気を経験したことがあった場合、ついエモーショナル(感情)に寄り添いすぎてしまいそうですが、それでは患者さんにとっての一時的な止まり木にはなれても、患者さん自身がその先に進んでいくことはできませんよね。医療従事者は命を扱う以上、患者さんが「治してもらう」という受け身の姿勢でなく、自分自身を信頼し能動的に治療に取り組むことができるよう、背中を押せる存在でなくてはならない。私自身もスタッフも、常にそう肝に銘じているところです。

「この治療を最後にする」というモチベーションが大事

患者さんと接する中で、最近の傾向として感じることは何かありますか?

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やはり、無理をして頑張りすぎてしまう方が多いように感じます。ひどい肩こりを訴えているのに、疲労について尋ねると「疲れはないです」と答える方がいらっしゃることからもわかるように、脳がいわゆる「ランナーズハイ」のような状態になっている。痛みがあっても肉体を酷使してしまい、それによって不調が長引いてしまうといったケースですね。もう一つは「順応力」の衰え。熱中症患者の増加を例に挙げると、年々夏の猛暑が厳しさを増していることは事実ですが、空調によって室内が一定の温度に保たれることに慣れ、体温調整能力が弱まっているというのも一因だと思います。基本的に生命や自然環境というのは一定ではなく、常に変化に富み不確実なもの。そうした自然のゆらぎから遠ざかることは、自分自身の体のゆらぎを感じにくくなることにも直結しますから、少し心配です。

これまでの取り組みを通じて、患者さんに変化はありましたか?

ただ単に薬が欲しいということでなく、何が自分の体の中で起きていて、この不調が自分に何を訴えかけているのか知りたいというスタンスで考える患者さんも増えてきました。肉体や健康、病気といったものの捉え方はそれぞれに違っていいと思いますが、0か100かというのでなく、自分に必要、あるいは有用と思われる治療の選択肢は何か、医師から得られる情報と見識を参考に、自ら貪欲に選び、上手に使っていただければいいのではないかと思っています。そのためにも、患者さんにはやはりご自身の体をよく知り、ご自身の感覚を信じて、自ら医療を選び取る力を養っていただきたいと願っています。そのためのアドバイス、サポートは全力でさせていただきます。

最後に、読者へ向けてメッセージをお願いします。

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2020年、日本をはじめ世界中が新型コロナウイルス感染症の流行に見舞われ、これまでに経験したことのない深刻な事態に直面したわけですが、外出自粛などの制限を機に、「毎週通院していた病院になかなか行けなかったが、何とか暮らしてこられた」というような気づきを得た方も多いのではないでしょうか。それこそが、ご自身の体が無意識ではありますが自己調整し、バランスを保つ力を発揮した証拠だと思います。このタイミングをぜひチャンスと捉え、「今回の治療を最後にしよう」というモチベーションで来院していただき、自分の体の陥りやすい傾向を知ってライフスタイルを変えるなど、大きな意味でのセルフケアに取り組んでいただきたいですね。

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