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谷合 信彦 院長の独自取材記事

日本医科大学武蔵小杉病院

(川崎市中原区/武蔵小杉駅)

最終更新日:2020/06/30

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1937年の開設以来、川崎市の地域医療に貢献し続けてきた「日本医科大学武蔵小杉病院」。「日本医科大学付属丸子病院」として開設され、1963年以降は「日本医科大学付属第二病院」として親しまれてきたが、2006年にはより地域とのつながりを感じさせる現在の名称に改名した。救命救急センター、ICUやCCU、NICUなどの集中治療室、GCUと呼ばれる新生児回復治療室を備え、認知症疾患医療センターを設置するほか、周産期母子医療センターの役割も担う。専門性の高い医療を提供する大学病院としての立場を守りつつ、歯科以外の全身を診る32の診療科をそろえた中核病院として、幅広く地域のニーズに応えている。2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大のさなかに同院院長に就任した谷合信彦院長は、未曾有の状況下で同院が果たすべき責務を即座に整理し、今後長く続くであろうウイルスとの戦いに抗し得るような体制を整備。安心して働き、安心して受診できる病院づくりに尽力するとともに、自らPCR検査の最前線に立って現場を鼓舞してきた。地域医療の維持に力を尽くす、頼れるリーダーに話を聞いた。
(取材日2020年5月13日)

専門性と総合性を備えた地域密着型総合病院

地域に根差した病院という印象です。

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1937年6月に日本医科大学付属丸子病院として開設されて以来、長く地域の皆さまとともに歩んできました。何度かの改名を経て、2006年からはより地域との距離の近さが感じられる現在の名称となっています。私たちの使命は、高度かつ先進的な医療を提供する大学病院としての高い専門性と、32の診療科がそろう総合病院だからこそできるジェネラルな医療を車の両輪として、地域医療を支えること。各診療科がそれぞれの分野で力を発揮するだけでなく、各科の力を結集して、患者さんにとって最善と考えられる治療を提供できるのが強みですね。中央手術室では、消化器外科、脳神経外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科、婦人科、泌尿器科など幅広い領域で全身麻酔を用いた数多くの手術が行われており、広範囲に及ぶがん手術など、必要であれば速やかに診療科をまたいだ手術を選択しています。

力を入れておられる分野について教えてください。

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女性診療科・産科、新生児内科、小児科、小児外科で構成された周産期・小児医療センターのほか、NICUやGCUを有する高度急性期病棟、小児急病部門を備えていることは当院の特長の一つです。比較的高齢の方にも安心してお産に臨んでいただき、産後もしっかりとサポートできる体制づくりは以前から進めてきました。とはいえ、それだけに依存していては病院の経営は成り立ちません。川崎市は現在も人口が増加傾向にありますが、そうはいっても少子高齢化は着実に進行しているからです。柱となるのは、消化器系、循環器系といった、疾患も患者数も多く、さらには救急搬送も多い診療科でしょう。救急医療については、「断らない医療」を掲げて精力的に取り組み、救急の最後の砦となる三次救急の応需率も高い水準を維持し、受け入れ後の緊急手術まで含めてしっかり対応していくことが重要だと思っています。

感染症問題の渦中のご就任でした。取り組みをお聞かせください。

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まずは院内感染による医療崩壊を防ぐため、スタッフが安心して働ける環境を整えることが急務だと考えました。最初に着手したのは、中等症以上の患者さんを決められた病院に集約するという神奈川県の感染症対策の医療提供体制に基づいて、診療方針をはっきりと示すことです。当院は感染症指定医療機関ではありませんから、新型コロナウイルス感染症を疑う症例には即日PCR検査を実施し、陽性判明後は転院加療していただくことを基本としました。同時に、感染症指定医療機関の負荷を減らすため、救急の受け入れは積極的に行うよう指示しています。ある時には、一晩で10人ほど疑い症例の方が搬送されてきました。こうした方については、専用病床を確保することでゾーニングし、院内感染予防を徹底。緊急事態宣言発令後には、別館に発熱の外来を設置したほか、正面入口のサーモグラフィーでもスクリーニングを行い、一般の方との接触をできる限り回避しました。

感染収束後は、「アフターコロナ」の体制が問われますね。

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平時と有事では、求められるリーダーシップが異なります。新型コロナウイルスの感染拡大というかつてない状況の中では、多少独断専行になろうとも責任を持ってスピーディーに決断し、現場で率先して旗を振る必要がありました。しかし、平時においては、組織を構成する一人ひとりを尊重し、民主主義に基づいて全体をけん引していかなくてはなりません。まずはこの切り替えをしっかりして、活発に意見交換できる組織をつくっていきたいと思っています。また、もともと就任後に取り組む予定だったことの一つに、地域の開業医の先生方との関係強化があります。武蔵小杉というエリアで地域包括ケアをより充実させていくには、地域の他の病院・クリニックや介護施設との連携が欠かせません。これまでも消化器外科部長、副院長として信頼関係を構築してきましたが、院長として改めてごあいさつに伺い、互いの得意分野を生かした医療連携についてご相談するつもりです。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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新型コロナウイルスへの対応に追われる中でも、粛々と進めてきたのが2021年秋頃のオープンを予定している新病院建設プロジェクトです。現在、9階建ての4階までが完成し、少しずつ全体像が見えてきました。新病院は、未来を見据えた設計で、三次救急施設として、災害時の医療に携わる病院としてより充実した医療提供が可能になると考えています。外来診療エリアと検査機能はそれぞれ2階と3階に集約できるよう設計し、患者さんの負担軽減も図りました。病室もオペ室も広くなるので、すみずみまで患者さんに優しい施設として、これまで以上に地域の皆さんに愛される病院になればうれしいですね。今回の感染症対策では、マスクや防護服の在庫管理の方法など、今後に役立つ改善点もいくつかありました。培った知見を生かして、長く続くであろうウイルスとの戦いにも盤石の体制で臨んでいきたいと思っています。

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