宮崎浩文院長の独自取材記事

ひろ歯科クリニック

(福岡市中央区／薬院駅)

最終更新日：2021/10/12

西鉄天神大牟田線・薬院駅から徒歩5分。平日は20時まで、土曜も17時まで診療し、地域住民やビジネスパーソンに頼りにされている「ひろ歯科クリニック」。2004年の開院以来、宮崎浩文院長が特に注力しているのが、噛み合わせを重視した審美歯科だ。「上物だけ白く美しく整えても意味がありません。土台となる歯茎が健康で、正しい噛み合わせができることが重要です」。患者の要望を丁寧に聞き取った上で、矯正歯科や、歯ぎしりの衝撃から歯を守る就寝時用のマウスピース型器具の作製、セラミック治療やインプラント治療など、口全体を考えた治療計画を提案しているのだそう。真摯に言葉を紡ぎ出していく姿が印象的な宮崎院長に、診療の特徴や審美歯科へのこだわり、今後の展望など話を聞いた。

（取材日2021年1月18日）

“噛み合わせからの審美”を追求する治療を提案
丁寧な説明と痛みに配慮した治療で、患者の不安を払拭
患者がなんでも話せるアットホームな雰囲気が魅力

“噛み合わせからの審美”を追求する治療を提案

この薬院エリアで、3台分の駐車場が歯科医院前にあるのはありがたいですね。

街中であっても気軽に通っていただけるような歯科医院でありたいと思い、駐車場完備にはこだわって場所を探し、2004年に開院しました。診療室はプライバシーに配慮して、すべて個室で3部屋。虫歯、歯周病治療などの一般歯科から矯正歯科、セラミック治療、インプラント治療、ホワイトニング、定期的なメンテナンスまでオールマイティーに対応していますが、特に開院当初から力を入れているのが、審美面に配慮した治療です。ただ見た目が美しくなれば良いというわけではなく、“噛み合わせからの審美”を重視しています。理想の形に近づくよう噛み合わせの再構築をめざし、歯一本一本の状態を把握した上で、口の中全体を考えた治療をご提案しています。

噛み合わせの美しさを追求されているのですね。

悪い噛み合わせのまま治療をしても、また同じところが悪くなることがあり、可能であれば矯正を視野に入れたいところ。当院でも積極的に取り組んでいて、月1回は矯正歯科医師に来てもらっています。開業医の先生なので、日程が合わない場合や緊急の場合などは直接そのクリニックを受診していただくなど、臨機応変に対応しています。しかし矯正は期間が長く、費用も高額ですからね、そこまでできないという方も多くいらっしゃいます。そのような場合、夜寝る間につけるマウスピース型の器具を積極的にご提案しています。歯ぎしりや食いしばりなどによって、歯がすり減ったり、銀歯と歯の境目が欠けて細菌が入り込み虫歯になったりするリスクを減らせますから。

セラミック治療やインプラント治療など、審美面に配慮した治療において特に何を重視されていますか？

噛み合わせ、そして歯茎と骨です。歯茎と骨は建物で言うと基礎部分。いくら優れた素材の高額な上物を入れても、基礎が悪いとすぐにダメになってしまい、もったいないです。当院では治療後の良い状態を長く保っていただけるように、基礎をしっかり整えた上で治療を行い、詰め物・かぶせ物を入れるようにしています。素材は、銀歯からセラミックまで幅広く取り扱っていて、患者さんの状態やご希望に合わせて選択。インプラントも同様の考え方で行っています。もちろん痛みがある場合は、即治療に入りますが。歯科医療も日進月歩ですから、私はいろいろな歯科勉強会で先端的な歯科医療の知識を得ながら研鑽を重ねてきましたので、それを患者さんに還元していきたいですね。

丁寧な説明と痛みに配慮した治療で、患者の不安を払拭

患者さんと接する際に、特に心がけていることはありますか？

患者さんは緊張して怖がって来られていることが多いので、不安を取り除けるよう、よくお話しすることを心がけています。診療チェアの前に設置したモニターで、患者さんの口の中の状態を写真でお見せしたり、アニメーションの説明ツールを使って症状や治療方法についてご説明したり。歯周病はどう進行していくのか、インプラント手術はどうやるのか、歯科衛生士は実際どのようなメンテナンスを行っているのかなど、患者さんがわかっているようで意外と知らないことも丁寧にご説明しています。保険診療内で済ませたい、自費診療も含めどんな治療の選択肢があるか聞いてみたいなど、患者さんのご要望を伺った上で治療計画やそれにかかる費用についてご説明し、十分納得いただいてから治療に入るようにしています。

ほかに気をつけていらっしゃることはありますか？

患者さんが歯科を怖がる最大の理由は痛みだと思いますので、なるべく痛くない治療をするよう細心の注意を払っています。治療では麻酔を使用しますが、その際は必ず表面麻酔をしたり、細い針を使ったり、電動注射器を用いたりして、苦痛を感じさせない工夫をしています。しかし、歯に痛みが出てから来院された場合は正直、麻酔の痛みを感じる方が多いです。そもそも痛みがあって腫れているところに、麻酔で圧をかけるわけですから。痛いので治療が嫌になる、放置してますます悪化する、という悪循環に陥ってしまいますので、やはり大事なのが定期検診です。特別な機材を使った歯のクリーニング「PMTC」を定期的に受け、早期に虫歯などのトラブルを発見し、麻酔の必要もない簡単な治療で終わることが、患者さんにとって一番楽で費用もかからない歯科との付き合い方ではないでしょうか。

印象に残っている患者さんとのエピソードがあれば聞かせてください。

以前、歯周病で口の中がボロボロだった50代くらいの女性の患者さんに、歯周病治療と併せて歯列矯正、インプラント治療を行い、時間をかけてしっかりした噛み合わせを作っていったことがありました。初めてお会いした時は、笑う時に口元を隠し、視線もあまり合わせない感じの方でしたが、徐々に思い切り笑顔を見せてくださるようになり、その笑顔がとても印象に残っています。入れ歯を入れている年配の方が、口元がくちゃっとしわになっていることがありますが、それは入れ歯がすり減っている場合があり、この場合も噛み合わせの高さや前歯の位置を正しく整えることで、お顔の印象は変わります。噛み合わせも審美面に大きな影響を持っているんです。

患者がなんでも話せるアットホームな雰囲気が魅力

子どもさんの治療で、特に配慮されていることはありますか？

当院は診療室が個室ということもあり、親子一緒に来院される方がたいへん多いです。お子さんが終わったら、次はお母さん、というように交代で検診や治療を受けられるご家族もいらっしゃいます。初めて歯科を受診するお子さんには、痛みがなければ、その日は話すだけ、遊ぶだけ、簡単な予防処置だけにして、歯科に慣れて自分から口を開けてくれるように導いて治療に入るようにしています。押さえたりなど、動きを抑制しての治療は行っていないので、どうしても治療が難しい場合は小児歯科をご紹介しています。

そもそも歯科医師をめざした経緯を教えていただけますか？

実は小学生の頃からずっと野球に打ち込んでいて、夢はプロ野球選手になることでした。高校は福岡大学附属大濠高等学校へ進み、3年の時には甲子園に行き、ベンチ入り。でもプロは無理だとわかり、気持ちを切り替えた時に思い浮かんだのが、歯科医師の親戚を訪ねた時に見た、患者さんが笑顔で「ありがとう」と言って帰っていく風景でした。「ありがとう」と言っていただけるような歯科医師になろうと勉強を始め、北海道医療大学へ。各地の歯科医院で修行を重ねた後、このクリニックを開院しました。野球は40歳を過ぎて再開し、歯科医師会のチームで遊んでいます。ですが最近膝を痛めてしまい、ゴルフ、野球、スノーボードなど運動がまだしたいので、右膝の手術を受けて現在リハビリテーション中です。

最後に、今後の展望を聞かせてください。

このコロナ禍の中でも、患者さんが安心して歯科治療を受けられるように、衛生管理にはさらに重点を置いていきたいと考えています。診療器具や機器はすべて患者さんごとに滅菌。診療基本セットである歯科用ミラー、探針、ピンセット、タービン類は高圧蒸気滅菌器で滅菌を行い、ユニットは一つごと消毒液で拭きあげるなどの基本を丁寧に、着実に行うよう徹底しています。そしてこれからも、患者さんがなんでも話せるような、このアットホームな雰囲気を大事にしながら、スタッフとともに笑顔で患者さんをお迎えできればと思っています。