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山田尚士院長
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風邪には効かない!?
抗生物質の適切な使い方とは

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発熱や咳、鼻水などの症状で病院を受診すると、解熱剤や咳止めのほかに抗生物質を処方されることもあるだろう。「抗生物質=効き目が強い」という印象から、抗生物質を処方されると安心感を覚える一方で、「子どもに強い薬を飲ませて大丈夫?」と心配になる人もいるのではないだろうか。「抗生物質は決して万能薬ではなく、ほとんどの風邪には効果がありません」と話すのは、川崎市幸区にある「山田小児科医院」の山田尚士院長だ。「抗生物質を希望する親御さんも多いのですが、抗生物質の不適切な使用がお子さんにとってデメリットとなることもあります」と、山田院長は警鐘を鳴らす。そこで今回、抗生物質の適切な使い方について話を聞いた。(取材日2016年9月29日)

抗生物質の使い過ぎが、耐性菌増殖の原因に。 血液検査で抗生物質の安易な使用を防ぐ

抗生物質とはどのような薬ですか?

1 ▲採血の量は毛細管1本で検査可能なので、乳児でも負担が少ない 感染症は大きく、細菌性の感染症とウイルス性の感染症の二つに分けられますが、このうち細菌性感染症に有効なのが抗生物質です。病気の原因である細菌を殺したり、増殖を抑える作用を持っています。ただし、ウイルス性感染症など細菌感染以外の病気には効き目はありません。発熱や鼻水、のどの痛みなどが生じる、いわゆる「風邪」は、ウイルスによるものがほとんどですから、理屈では抗生物質ではなく抗ウイルス薬が処方されるべきです。しかしながら、抗ウイルス薬の効果が期待できるのは、インフルエンザや水ぼうそうなど一部のウイルス感染症に限られているため、風邪の場合は解熱剤や鼻水、咳などの症状を和らげる対症療法が中心となります。

抗生物質はどのようなときに使用されるのでしょうか。

2 ▲抗生物質の投与を最小限にとどめるには、正確な診断が重要になる 抗生物質は細菌性感染症以外の病気には効かないわけですから、まずはその発熱が細菌によるものなのか、ウイルスによるものなのかを見極めます。全身状態や喉の所見からおおよそ判断できますが、当院ではより確実に診断するために、血液検査で白血球数やCRPの値を調べています。CRPは体内で炎症や組織の破壊、細胞の壊死が起こったときに血液中に増える物質で、細菌性感染症では数値が高く、ウイルス性感染症では高熱でもCRPはあまり上がりません。検査に必要な血液は少量で、院内に測定機器があれば7~8分で結果が出ます。検査をして細菌性肺炎や溶連菌感染症など細菌による病気だとわかれば、抗生物質による治療を開始します。

抗生物質を不適切に使用することによるリスクとは?

3 ▲多くの人が座れるようにとこだわった待合室 使用される薬剤は臨床試験を経て安全性が確認されていますから、あまり神経質になる必要はありません。しかし、抗生物質は病気の原因になっている悪い細菌を駆逐すると同時に、もともと人間の体内に存在している常在菌(善玉菌)も攻撃してしまいます。そのため体にとって良い働きをする常在菌の数が減り、下痢や便秘、おむつかぶれなどが起こりやすくなります。また近年、耐性菌(抗生物質の効かない細菌)の増加が問題となっています。これは抗生物質の使い過ぎが原因とされ、耐性菌による細菌感染症では抗生物質が効きにくく治療も難しくなります。お子さんを耐性菌から守るためにも、抗生物質の不適切な使用は避けるべきです。

適切な抗生物質の使用のために、保護者が気をつけることは?

4 ▲長年近隣住民のかかりつけクリニックとして活躍している 例外もありますが、ウイルス性感染症の場合、熱は3日で下がることがほとんどです。発熱して2日目までは解熱剤や咳、鼻水を抑える薬で様子を見て、3日目に熱が下がらない場合に、血算、CRP検査を行い、その結果初めて抗生物質の出番がやってきます。抗生物質を使い始めるのが2日遅れたとしても、その後の回復に影響しないことがほとんどです。保護者の方から「抗生物質は出してもらえないのですか」と聞かれることもありますが、ほとんどの風邪には抗生物質は効かないこと、お子さん自身に備わっている免疫力を信じて、水分や栄養の摂取に気をつけながら回復を待つことも大切だとお話ししています。

抗生物質の正しい飲み方について教えてください。

5 ▲院長は病気の早期発見にも力を入れる 抗生物質は1週間前後内服することが多いのですが、劇的に症状が改善した場合は長く飲む必要はなく、4日でやめる場合もあります。ただ、熱が下がったからと自己判断で中止するのは絶対にやめてください。抗生物質の服用をやめるかどうかを判断する際には、必ず処方した医師の診察を受け、お子さんの状態を確認してもらいましょう。また、決められた服用方法を守ることも大切です。抗生物質は1日3回服用のものが多く、熱が下がって保育園に行くと昼の分が飲めないこともあります。その場合は朝は普通に飲み、お迎えに行ったらその場で昼の分を、夜寝る前にもう1回など、タイミングがずれても構いませんので、必ず1日3回で飲んでください。

ドクターからのメッセージ

山田尚士院長

お子さんに早く元気になってもらいたいという思いは、保護者の方も医師も同じです。だからといって安易に抗生物質に頼っていると耐性菌が現れて、本当に必要なときに抗生物質が効かなくなってしまいます。以前はウイルス性の感染症から細菌性の感染症への二次感染を予防するために処方されることもありましたが、現在では抗生物質に予防効果はないとされています。風邪だと診断されたにもかかわらず抗生物質が処方されたときは、処方した医師になぜ抗生物質を処方するのか確認してみましょう。そこできちんと説明してくれる医師をかかりつけ医に選ぶことも、親の役目だと思います。

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