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三枝 直樹 院長の独自取材記事

中野なおクリニック

(中野区/中野新橋駅)

最終更新日:2021/10/20

三枝直樹院長 中野なおクリニック main

中野新橋にある「中野なおクリニック」は訪問診療に特化したクリニックだ。心臓血管外科を専門とする三枝直樹院長が2006年に開業して以来、中野区を中心とした近隣住民の健康を守り続けている。「在宅医療であっても、医療の質は極力落としたくない」との思いから検査設備や機器の整備に力を入れており、訪問診療での採血でも数時間後には結果がわかるという。また麻酔科の医師が在籍しているので、末期がんなど痛みの強い患者に対しても専門的な疼痛管理が可能だ。「在宅医療に必要なものは医師の長年の経験。日にち単位で治療方法を考え、時にはシビアな判断もします」と語る三枝院長に、迅速な検査のための院内設備や、診療にあたってのポリシーについて話を聞いた。

(取材日2021年1月7日)

通院が困難な患者にも適切な医療提供を

こちらではどのような診療が受けられるのでしょうか?

三枝直樹院長 中野なおクリニック1

訪問診療に特化しており、ほとんどの時間を訪問診療に費やしています。慢性心不全や認知症といった慢性疾患をお持ちの患者さんが多く、平均年齢は90歳前後です。外来は金曜の午前中のみで予約制です。私が心臓血管の手術を施した患者さん、また高血圧をお持ちの患者さんもいらっしゃいます。医師は心臓血管外科の医師である私ともう1人、痛みのコントロールが得意な麻酔科の医師が在籍しています。慢性疾患をお持ちの方が多いため、患者さんやご家族とのお付き合いが長年にわたります。何年もご自宅にお伺いするのは、いうなれば家族の一員にしていただくようなもの。近況や悩み事も気軽に相談できるような、お互いの顔が見える医療を提供しています。

訪問診療の対象について教えてください。

足腰が悪くなった、家族の通院介助が難しくなったなど、さまざまな理由で通院が困難となった患者さんが対象です。在宅での看取りを希望される方にも対応しています。在宅での医療行為に限界があるのは事実ですが、当院のコンセプトは「通院が困難な患者さんにも適切な医療提供を」です。血液検査や検査機器にも力を入れ、軽度から重度の症状すべてに対応できるようにしています。

血液検査の結果も当日にわかると伺いました。

三枝直樹院長 中野なおクリニック2

基本的な検査は院内で迅速に行えるよう、設備を整えています。エックス線や心電図、血液検査では血中のガス濃度や糖尿病や心不全に関連する数値もすぐにチェックできます。在宅の場合は血液をいったん院内に持ち帰りますが、それでも数時間後には結果がわかります。体の不自由な方や認知症の方はご本人から話を聞きにくいこともありますし、在宅ですとエックス線検査をするのも難しい。ですが血液検査から病気の兆候がわかれば、ご家族に生活習慣のチェックをお願いして、改善策を見つけることもできるんです。

在宅医療に不可欠なのは、医師の長年の経験

末期がんの患者を対象とした医療保険制度があるそうですね。

三枝直樹院長 中野なおクリニック3

外部の医療機関と連携し、医師と看護師が週に4日訪問しています。こちらは末期がんの患者さんが対象です。医療保険制度を利用できますので、医療従事者のケアによる安心面に加え、ご家族の金銭的な負担も軽減されます。患者さんが「自宅で最期を迎えたい」と希望されても、ご家族がすべて対応するのは大変なことです。摘便など体のケアや疼痛コントロールなど、医療面からサポートしています。麻酔科の医師がいますので、痛みが強い患者さんには医療用麻薬の飲み薬・坐薬・点滴・持続皮下注射、いずれも対応可能です。麻薬で疼痛管理が困難なケースには、硬膜外麻酔の実績もあります。医師と看護師が同行することで医療の幅も広がりますし、医師がパフォーマンスを発揮できるのは看護師の活躍があってこそだと思っています。

在宅医療に必要なものは何でしょうか?

医師の長年の経験が不可欠だと思っています。ご家族との会話の中から、医療でフォローすべき点が何かはすぐにわかります。その内容をもとに介護士さんと相談をし、ご家族に負担をかけず患者さんの生活を守っていく方法を考えます。患者さんとご家族の生活をいかに両立させていけるかが、私たちの腕の見せどころです。初診時から100%の力で臨み、適切な治療や制度をご家族に提案できるのは、長年医療現場に関わってきたからこそといえるでしょう。在宅医療では生と死が隣り合わせです。時にはシビアな判断をしなくてはなりません。医師としてあらゆる経験を積み、初めて向き合える分野だと思っています。

診療にあたってのポリシーをお聞かせください。

三枝直樹院長 中野なおクリニック4

迷っているなら実行する、ということです。ご家族が処置に迷ったら、積極的に行うことを勧めています。結果的に効果の出ないこともあるかもしれませんが、後で後悔しないためです。胃ろうも点滴も迷うことなく処置します。ご家族の思いから、100歳を超えても毎日点滴をする患者さんもいらっしゃるんですよ。ご本人やご家族の意向に向き合い、私もとことん付き合う診療スタイルです。在宅であっても医療の質を落とさぬよう、ご家族の希望に応えられるよう医療機器をそろえたり、緩和ケアに精通した麻酔科の医師が常勤していたりと、病院レベルとまではいかないまでも、訪問診療でもここまではできるんだということを、患者さんやご家族に示しているつもりです。

患者と家族の「普通の生活」を取り戻す手伝いをしたい

先生は介護や最期についてどのようにお考えでしょうか?

三枝直樹院長 中野なおクリニック5

私は自宅で最期を迎えるのが最良だとは思っていないんです。ライフスタイルが多様化した現代では、日中に患者さんが一人で留守番されるご家庭も多いでしょう。離れて暮らすご家族が介護のために仕事まで休み、無理をすることも少なくありません。特に東京にはたくさんの病院や医療機関が存在します。医療や介護は第三者に任せ、ご家族は触れ合うくらいがちょうど良いのだと、長年在宅医療に携わってきた今はそう思います。患者さんの症状やご家族の状況を総合的に考え、無理のない選択をしてほしいですね。その結論が「自宅で最期を迎えたい」ならばもちろん尊重し、私のできる限りの力を尽くして患者さんをお看取りします。

今後の展望をお聞かせください。

地域医療に貢献し続けたい、この思いに尽きますね。2006年の開業以来、中野区を中心とした近隣の皆さんの健康管理に携わってきました。これからも「なおクリがあるから安心だね」と思ってもらえる存在でありたいですね。そして訪問診療に力を入れるこのようなクリニックがあること、そして医療制度についても多くの方に知ってほしいと思います。また病院の負担を軽減し、病院で治療を受けるべき人が病院で治療を受けられるようにしたいです。そのためにも、当院でも行える治療は積極的に当院内で行っていきたいと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

三枝直樹院長 中野なおクリニック6

医療機器や検査体制を整え、検査結果をすぐに治療に反映できるのも当院の強みです。在宅診療におけるさまざまな判断にも、長年の経験を生かして対応します。「介護保険の申請方法がわからない」「介助のたびに家族が仕事を休むしかない」などお困りの方も多いでしょう。おむつなどのケアの方法を知らなかったがために、失禁するたびに家中を拭いておられた方もいました。こうした状態から普通の生活に戻るために、当院にご相談ください。人生100年時代、患者さんもご家族も穏やかに過ごせるようなお手伝いをいたします。

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