芝山 幸久 院長の独自取材記事
芝山内科
(横浜市鶴見区/鶴見市場駅)
最終更新日:2022/05/26

京浜急行線・鶴見市場駅から徒歩で約3分。アクセス至便な地のビル1階に位置する「芝山内科」は、地域密着型の医療を提供する内科・心療内科のクリニックだ。祖父の代から3代続く長い歴史を持ち、幅広い年齢層の地域住民から厚い信頼を得ている。院内には四季をテーマに描かれた水彩画やパステル画が飾られ、「気持ちがやすらぐ」と患者からも好評だそう。3代目の芝山幸久院長は、内科はもちろん心療内科を専門とし、生活習慣病をはじめとする内科疾患に加え、うつ、不安障害、パニック障害、過敏性腸症候群などにも対応する。2019年より鶴見区医師会会長に就任し、新型コロナウイルス感染症対策の陣頭指揮も執る芝山院長に、クリニックの特徴などさまざまな話を聞いた。
(取材日2020年12月11日/更新日2022年5月20日)
内科と心療内科に対応し、患者の声に耳を傾ける
歴史のあるクリニックなのですね。

当院は、祖父がこの地に開業し、父が継ぎ、僕は1999年に副院長、2003年に院長に就任しました。2代目院長の父は内科を専門としていましたので、僕もまずは内科を志したのですが、もう少し特徴を出していきたいという思いもあり、大学卒業後、東邦大学の大学院に進み心療内科の勉強を始めました。そこで心身医学を学んだ後に消化器などの内科を学び、東邦大学医局のスタッフとして17年の勤務を経て当院を継ぎました。1階のクリニックを含むビル全体を所有しているのですが、老朽化も進んできたため、外装工事を行い2021年1月に完成しました。ビルの目の前は、お正月の箱根駅伝のコースにもなっているんですよ(笑)。歴史のある建物としても、地域の皆さんに認知され続ける場所で在りたいと思っています。
どのような患者さんがいらっしゃいますか?
地域の患者さんが多いですが、心療内科は遠方から通ってくださる方もいらっしゃいます。心療内科は他の科目と時間を分けるクリニックも多いですが、当院では特に心療内科専用の時間を設けていないため、心療内科特有の雰囲気はないと思います。患者さんは心理的なハードルが下がり、足を運びやすいのではないでしょうか。以前は、午前中は内科診療を希望するご高齢の患者さん、午後は心療内科の患者さんがおみえになることが多かったのですが、新型コロナウイルス感染症予防のため、内科の診療で混み合う午前中の時間帯を避け、午後に内科を受診される方もみえるなど、時間帯を問わず、さまざまな患者さんがいらっしゃるようになりました。内科の患者さんは高齢の方が多く、心療内科の患者さんは20〜40代くらい。内科と心療内科、4:6くらいの割合でいらっしゃいます。
診療の際に心がけていることを教えてください。

とにかく患者さんの話に耳を傾けることです。当院に毎日足を運び、「先生の顔を見に来ました」とういう患者さん、不安で電話をしてくる患者さんなどもいらっしゃいますが、しっかり受けとめ、「もっと来ていいよ」と声をかけたりしています。患者さんに安心してもらうのが一番ですからね。また、当院では、心療内科で受診される患者さんについても血圧や脈を診ています。心療内科と内科の疾患が重なるケースも少なくありませんので、血圧や脈を診ることで患者さんのさまざまな情報がわかりますし、内科疾患の早期発見にも役立ちます。診療には直接関係ありませんが、院内には春夏秋冬のテーマで描かれた水彩画やパステル画を飾っています。画家の方に、年に4回、季節に合わせて描いてもらっているのですが、絵のファンの患者さんが多く、「気分転換になる」とたいへん好評です。待ち時間に、絵を見ながらリラックスしていただけたらうれしいですね。
鶴見区医師会会長としての活動にも尽力
鶴見区医師会の会長として、新型コロナウイルス感染症対策に尽力されたそうですね。

2019年6月から、鶴見区医師会の会長に就任しました。新型コロナウイルス感染症が流行し始めた当初は、ドライブスルー方式のPCR検査を近くの寺院の駐車場を借りて行うなど、これまで経験したことのない試みばかりで苦労も多かったのですが、地域の中で新たなつながりが生まれたことは今後に生かされると思っています。現在は、当院を含め区内の10以上の病院で、唾液によるPCR検査に対応しています。PCR検査を受けられる医療機関は今後も増えていくと思いますので、区をあげてしっかり取り組んでいけるよう、陣頭指揮を執っていきたいですね。
こちらのクリニックでの感染症対策について、教えてください。
入り口で、待合室に入る前の場所に自動体温測定器、自動消毒器を設置しています。また、院内の床は抗菌作用がある材質のものを取り入れています。当院では新型コロナウイルス感染症のPCR検査に対応していますが、発熱、感染者との濃厚接触などでPCR検査を受ける患者さんは、通常の入り口ではなく建物裏の入り口から入って検査を受けていただくよう、動線を完全に分けています。また、診療前にウェブ上で記入いただくウェブ問診を導入しました。受診したい診療科目、現在の体温、既往歴、食欲、就寝時間、寝る時間、喫煙やアルコール摂取の有無などを事前に入力し送信いただくことで、診察時間・待ち時間が短縮され、結果的に感染予防にもつながると考えています。
コロナ禍の影響で、心身の不調を訴える患者さんは増えたのでしょうか?

そうですね。外出ができず、リモートワークでずっと家にいて知らず知らずのうちにストレスがたまり、不安になったり気持ちがふさいでいる方がいらっしゃいます。感染を過剰に恐れ、手洗いをむやみに繰り返してしまうような強迫神経症気味になるケースもありますね。飲食店をやっていて売り上げが下がり、うつ状態になってしまうこともあります。そんな中、うつ状態で、もともと自宅で過ごしていた方が、周りの人もリモートワークになったことでご自身も自宅仕事ができるようになったという話も聞きます。いずれにしても、心療内科の患者さんは、うつ状態であるか、心身症であるか、不安障害であるかなどによりケアの仕方が異なってきますので、的確に診断し、患者さんにほっとしてもらいたいですね。当院の女性スタッフも心療内科の患者さんに慣れていますので、スタッフと会話をして「癒された」と言ってお帰りになる患者さんもいます。
地域密着の開業医として次代につなげていく
スタッフの方にも恵まれているのですね。

そうですね。当院のスタッフは、僕以外全員女性で皆さん近所の方なんです。やりがいをもって長く働いてくれていまして、地域の人たちのことを良く知ってくれているので本当にありがたいですね。この当院を支えてくれているスタッフにの皆さんには、とても感謝しています。
院長ご自身の健康管理法は?
朝と夕方の2回、愛犬との散歩ですね。トイプードルとコーギー、2匹とも老犬なので、散歩時間は15分くらいですが、一緒に歩くだけでも運動になります。あとはゴルフに出かけたり、週に1回スポーツマッサージを施してもらったりして健康管理に役立てています。体力は、生きていく上でとても大切です。心療内科の患者さんは、気力が停滞していることが多いのですが、体力をつければ気力はついてくるものだと思います。ある程度回復してきたら、家の周りを歩くなど、少しずつ体を動かす習慣をつけることをお勧めしています。体力をアップさせる薬は、ないんですよ。リモートワークが続いている方は、体力低下による気力低下のリスクもありますので、意識して体を動かしてほしいですね。
今後の展望について教えてください。

地域に根差したホームドクターにずっと興味がありました。ホームドクターとして患者さんに信頼されるためにはコミュニケーションを積み重ねていくことが大切ですが、僕自身、心療内科出身で、患者さんとのコミュニケーションがやりがいにつながっているようなものです。スタッフにも恵まれ、日々本当に良い環境の中で診療ができていると思います。外観のリニューアルやウェブ問診の導入など新しいことに取り組みながらも、地域密着型の開業医として皆さんの健康をしっかりバックアップしながら、次代につなげていきたいですね。