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佐野 秀明 院長の独自取材記事

シャンティクリニック

(吹田市/江坂駅)

最終更新日:2024/02/05

佐野秀明院長 シャンティクリニック main

大阪市営地下鉄御堂筋線・江坂駅から徒歩5分、オフィス街のビル4階にある「シャンティ クリニック」。穏やかな雰囲気で患者を安心させてくれる印象の佐野秀明院長は、消化器内科の医師として勤務していた頃に、心の不調に悩んでいる患者があまりにも多いことに疑問を持ち、心療内科の道へ。患者自身が自分と向き合うことや元気になりたいという想いをサポートするという姿勢のもと、できるだけ薬は増やさないよう、一人ひとりに合った診療を行うのが特長だ。「患者さんが健康になるためのお手伝いをしたい」と話す佐野院長に、心の医療に対する想いや今後の展望などを聞いた。

(取材日2017年8月22日)

「困っている人の役に立ちたい」想いで医療の道へ

先生が医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

佐野秀明院長 シャンティクリニック1

中学生の頃に、百貨店の入口で扉が重くて開けられずに困っていたおばあちゃんがいたんです。僕が後ろから手を伸ばして開けてあげたらとても喜んでくれて、その印象が大きかったのだと思います。父が開業医ですので親が医師として働く姿を見てきたのですが、それまでは父から「お前将来何になるんだ」と聞かれても「医者にはならない」と答えていたんですよ(笑)。でも、この体験を機に人の役に立てる仕事って何だろうと考えていた時、父の診察を受け笑顔になる患者さんを見て、父の仕事姿がカッコ良く思えました。困っている人の役に立てる仕事に就きたいと思い、医師をめざしました。近畿大学医学部を卒業後は、大阪市立大学医学部附属病院の消化器内科に勤務しました。

最初は内科に勤務されたんですね。

経歴としてはちょっと変わっているかもしれませんね。もともと心を扱う医療には興味があったのですが、その頃は精神科よりも心の状態に起因した体の不調を診る心療内科の分野に行きたいと思っていて、それならまずは内科の勉強をしたほうがいいと思ったんです。ストレスで胃腸に症状が出るケースもあるように、消化器はメンタルとつながっている部分も多いですよね。ですから内科を経験しておくことは、いずれ心の不調を診るためにも役立つと思って、まずは消化器内科で経験を積むことにしました。

心療内科として開業したきっかけは何でしょうか。

佐野秀明院長 シャンティクリニック2

救急病院にも勤務していたのですが、救急の現場は意外に精神科や心療内科が関係しているケースも多いんです。特に、当時はまだ精神科で多くの種類、多数の薬を処方されている患者さんもいたので、オーバードーズ(過剰服薬)をしてしまい、救急で運ばれてくる患者さんを診る機会が多かったんです。そのたびに「どうして苦しんでいる人がこんなに多いんだろう」と疑問に思うようになりました。それまでは、このままずっと消化器内科の医師を続けるのかもしれないと思っていたのですが、あまりにも過剰服薬の患者さんが多くて、その人たちをきちんとケアすることはできないのかと考えるようになりました。そんな頃に父が引退を考えるようになりました。勤務医を辞めて実家の診療所に入り診療をしながら開業への道を探っていき、2007年に開業しました。自分で届け出をして看板も作ってという手作り開業でした。

心に「気づき」をテーマにできる医療を

先生の診療方針をお聞かせください。

佐野秀明院長 シャンティクリニック3

患者さんが健康に向かうためのサポートをすることが大切だと考えています。患者さん自身が症状と向き合って「気づき」を得られるようなサポート役になりたいですね。必要な薬を使って心と体のバランスを取ることはもちろん大切ですが、それで治ったものとしてしまうと、環境が変わり、バランスが崩れた時には薬を増やすことになる可能性もあります。この薬が効かなくなったから今度はこちらの薬と、それを繰り返す状態では、健康とは、ほど遠いかもしれません。その人自身が気づかなければならないこと、学ぶべき機会がどんどん後回しになってしまうと思うのです。ですから、まずは生活習慣の改善や必要に応じてサプリメントなども使いながら、患者さん自身も考えていただく。薬もできるだけナチュラルなものを取り入れたいと考えているので、症状によっては漢方なども取り入れて、体に負担の少ない診療を行っています。

どんな患者さんが多く来られますか。

僕は、いわゆる大学病院の精神科や心療内科というものを経験せずに開業しました。ですから逆に自分の思う診療ができていると感じることがあります。お薬で症状が改善されるなら、お薬だけもらえればそれでいいです。という患者さんもいらっしゃるのですが、当院では元気になりたい、良くなりたい、自分と向き合いたいという前向きな患者さんも多く、ありがたいことだと思っています。

診療の際に心がけていることは何でしょうか。

佐野秀明院長 シャンティクリニック4

同じ症状、同じ訴えで来院されても、患者さんによってバックグラウンドは違いますから、一人ひとりに対して接し方を考えるようにしています。僕の話を受け入れる余裕がない人にはオブラートに包んで伝えるようにしますし、逆に受け入れる器の大きな方など強く言った方が良い方向に行く方もおられます。実は僕自身が大学受験の時に気持ちのバランスを崩したことがあるので、健康を維持する事が困難な時のつらさを体験しています。うつやパニック障害などは、怠け病だとか気持ちの問題だなどと言われがちで、周囲に理解されずに苦しんでいる人もいます。まずは患者さんの苦しさを理解することが大切だと思っています。きちんと向き合い、丁寧にお話をして、どういう想いで来院したのか、どんなつらさを抱えているのかを慎重に見きわめ、患者さんと共に歩む診療を心がけています。

患者が心から健康になるためのサポート役に

心療内科は受診するタイミングが難しいと思います。

佐野秀明院長 シャンティクリニック5

そうですね。症状がはっきりしていないと受診しにくいという方もいらっしゃると思います。でも、ご自身が苦しくて、どうにかしたいと思っているなら一度相談だけでも来てください。「こんなことで病院にかかっていいんですか?」という問い合わせもあるのですが、そのような場合も「とりあえずお話だけでもいらしてください」とお答えしています。実際に来院されて、話をしただけで安心して帰られる方もいらっしゃいますし、心が落ち着かない、やる気が出ないなど気になることがある、でも知り合いには話しにくい、誰かに話を聞いてほしいという段階で来ていただいて構いません。僕は病名や症状を特定することが目的ではなく、誰かに話すことで少しでも元気になってもらえたらと思っているので、気軽に来ていただければと思います。

今後の目標をお聞かせください。

心療内科に行くことに抵抗を感じる方も多いと思います。そういった方には、妻が豊中本町のヒーリングスペースでセラピーをしているので、そちらとの連携で患者さんが通いやすくなるように工夫できないかと考えています。また最近では、フィットネスジムとの提携やドッグセラピーの企画などの話をいただくようになりました。多くの人の健康のためにやりたいことがある方はたくさんおられて、医師の協力が必要ということで相談を受けたりもしています。こういった縁を生かして、多くの人が元気になれるようなサポート活動をしていきたいですね。将来的には、身寄りのない子どもたちと共に暮らせる場所を作りたいというのが目標なんです。そのためにも、地域のために協力できることがあればお手伝いしていきたいと思っています。

読者へメッセージをお願いします。

佐野秀明院長 シャンティクリニック6

患者さんが抱えている真実は一人ひとり違うので、型にあてはめることはできません。ですから、僕が言うことが必ずしもその人に響く言葉ではないかもしれませんし、患者さんにとって見当外れな答えもあるかもしれません。けれど一人で抱えこんで苦しい思いをしているよりは、話をすることで患者さん自身が頭の中で整理する時間を持てたり、自分自身が発する言葉によって気づいたりすることもあると思います。苦しいことをシェアするような気持ちで診療に取り組んでいますので、些細なことでもご相談ください。本質的な部分から健康になっていただけるよう、サポートさせていただきます。

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