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鄭 栄植 院長の独自取材記事

鄭クリニック

(高槻市/総持寺駅)

最終更新日:2021/10/12

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阪急京都線総持寺駅から徒歩7分。府道132号に面した建物の1階にある「鄭(ちょん)クリニック」は、消化器内科・乳腺外科・外科などを標榜し、認知症治療から生活習慣病治療、漢方処方まで幅広く対応する地域密着型のクリニックだ。院長の鄭栄植(ちょん・よんし)先生は、大阪医科大学出身の医学博士。同大学附属病院や大阪府済生会吹田病院、北摂総合病院での勤務を歴て2008年に開業し、以降、認知症ケアや病気の予防など、幅広い分野で近隣住人をサポートし続けている。「病気の予防と健康な体づくりが一番」と、さまざまな治療や訪問リハビリテーションに精力的に取り組む鄭院長に、今なお進化を続ける医師としての取り組みをじっくり語ってもらった。

(取材日2021年3月8日)

現時点で最適と思う治療を一人ひとりに合わせて提供

まずはクリニックのコンセプトを教えてください。

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開業当初は乳腺外科をメインに、消化器疾患や乳腺疾患の方の術後管理を目的としてスタートしたのですが、患者さんのさまざまな症状に対応しているうちに、次第に現在のような総合診療的なクリニックになりました。開業医を訪ねてくる患者さんは、できるだけ薬は飲みたくないし、病院にもかかりたくないという方が大半です。そうした皆さんが、いかに健康で楽しい人生を送っていけるか、少しでもヒントになるような気づきを与えることが私たちの役割だと考えています。専門の医療機関が合わなかったり、治療を受けてもなかなか改善されないようなときは、一度ご相談に来ていただければと思います。

木の内装や漆喰風の壁など、とてもナチュラルなスペースですね。

実は、私の子どもが、幼い頃よく熱を出しており、検査や点滴を何度もされるうちに病院を怖い場所と認識するようになってしまいました。ですから、自分のクリニックでは子どもたちに怖い場所だと思ってほしくない想いで内装もこだわりました。無垢の木材や珪藻土などの天然素材を用い、待合室にはキッズスペースや熱帯魚の水槽を設置し、子どもがなじめるような造りを心がけました。新型コロナウイルス感染症が収束しない現在、「薬がなくなったのに外に出られない」と泣きながら電話をしてくる方もおられます。皆さんに安心して来ていただけるよう、大型の空気清浄機やオゾン発生器を各所に設置して衛生管理に努めていますが、珪藻土のおかげで湿度も安定するなど、もともとあった院内環境がすごく役立っていると実感しますね。

診療で注目すべき新たな取り組みはありますか?

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以前に比べると患者さんの層が高齢化し、認知症や更年期障害に付随して、うつ症状になる方が増えています。そこで月に数回、大学から精神科の先生に来ていただいてメンタルケアなどを行っています。こうしたアプローチは、外科の医師だった頃には予想もしなかったことです。私自身は一般外科からスタートし、外科医として長くやってきました。昔の外科は、手術で治療ができる場合は手術が最高の治療という世界。そこで疑問を感じたり、いろんな科の先生の話を聞けたことが、現在の私の活動につながっているのだと思います。

治療を提供する上でのポイントを教えてください。

理想的な治療法があったとしても、その治療にまい進するだけの余力のない方も中にはおられます。現時点で提供できる範囲の中で、最適と思うものを積極的に取り入れ、一人ひとりに合わせてアレンジしていくことが私たち開業医の役目でしょう。要は適材適所、1人の患者さんのために科を越えてみんなが力を合わせることが重要ではないでしょうか。

体力低下や認知症の予防に取り組み、健康寿命の延伸を

病気の予防や健康な体づくりで大切なことは?

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まず重要なのは「噛むこと」で、咀嚼不足がさまざまな病気の大きな要因になっていると考えています。唾液の分泌が十分でない状態で塩分や糖分を取ると、内臓に大きな負担がかかります。また、噛むことで働く筋肉の動きが、体のバランスや精神の状態にも影響すると考えられています。もう一つは大腿部(太もも)ですね。下半身の筋肉から出る物質が発がんの抑制や血圧のコントロールに影響するという報告があり、病気の種類に関係なく、下半身の筋肉が弱ると体も弱っていくことがわかってきました。転んで大腿骨を折り、それまで元気だった人があっという間に亡くなってしまうという事例もあります。防止対策はウォーキングなどでは不十分で、適切な負荷をかけた筋力トレーニングが必要だと考えています。

そこで注力しているのが訪問リハビリテーションですね。

はい。当院では、定期的な抗原検査を受け、徹底した感染症対策を行った理学療法士が、体を動かせない方々のお宅を訪問し、計画的なリハビリテーションを行うと同時に患者さんの健康状態の確認を行っています。理学療法士と私や看護師はしっかりと連携を取っていますので、理学療法士が訪問した際に健康状態に変化が確認された場合には、内服や外用薬の処方、病院の紹介といった迅速に適切な医療的対応を取ることが可能です。また、リハビリは運動機能や認知機能だけでなく、循環器、呼吸器ひいては消化器の状態改善にもつながると考えています。現在は訪問オンリーですが、近隣の方々が気軽にトレーニングできる、地域一体型のリハビリ施設を造ろうと計画中ですので、ぜひご期待ください。

隣接の老人介護施設について教えてください。

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勤務医時代に父が認知症になり、大学病院での薬が合わずにどんどん悪化。その時に名古屋の河野和彦先生が提唱する適量処方の認知症治療に出会い、父の介護を機に老人介護施設を建てたのが10年前のことです。宣伝もしていないのに最初の3ヵ月で満床となり、認知症で悩んでいるご家族がいかに多いかを実感しました。認知症というのは、感染症の流行などで面会ができなくなると、それだけで一気に進むものです。そこで今は全室に光ファイバーを引き、タブレットによるリモート面会ができるよう工事を進めております。直接は会えなくても、ご家族の顔や声が確認できますし、ご家族も安心できますからね。人生、「終わりよければすべてよし」。ご家族ともども少しでも穏やかに過ごしていただきたいと思っております。

医療の限界を、いつか克服する日を見据えて地域に貢献

院長先生はサッカーが得意と伺いました。

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大阪医科大学時代は、サッカー部の副キャプテンをさせていただいておりました。医学部の西日本や全日本の大会で優勝を果たし、当時韓国で優勝してきたソウル大学との日韓医科学生親善試合で、初めて祖国を訪問することができました。そうした経験のおかげで、同世代の医師の中で体力では絶対に負けない自信があるのかもしれません。当時のキャプテンは私の親友で、「2人で胃がんの手術ができるようになろう」と誓い合って一般・消化器外科の道に進んだのですが、34歳の若さで亡くなってしまいました。過労で倒れた彼を、大学病院でも救うことはできませんでした。当時、医学の限界をつくづく感じたものです。

お忙しいようですが、ご家族と過ごす時間はありますか?

私には4人の子どもがいて、娘2人は成人しており、息子は高校生と中学生です。年に1回、家族みんなで妻の実家である城崎に泊まりに行くのが楽しみです。次女は看護師で先月に出産し、今、赤ん坊と一緒に実家に帰ってきていますから、私もすでにおじいちゃんですよ(笑)。ちなみに、うちの父は8人兄弟で、従兄弟たちはみんなアメリカにいます。医師や弁護士、映画監督もいて、リアルな最新情報がダイレクトに入ってきますから非常に勉強になります。患者さんから教わることも多いですね。従来の医療では説明のつかないこともあり、それを考えることで新たに見えてくることもあります。

最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。

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やはり大切なのは、自分の調子が悪くなった理由に気づいていただき、同じことを繰り返さないために何に気をつけていけばいいか、それを私たちと一緒に考えながら取り組んでもらうことです。なるべく選択肢を広げられるよう、多角的な診療を用意していますので、ご自身のことでも、ご家族のことでも、専門的な手助けが必要だと感じたときは、いつでも相談に来ていただければと思います。今日も20歳前後の患者さんが何人か来られましたが、みんな小学校に入る前から診させていただいています。これからも、地域の皆さんと長く付き合っていければ幸せですね。

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