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日高 啓量 院長の独自取材記事

ひだかこどもクリニック

(知多郡東浦町/緒川駅)

最終更新日:2023/04/18

日高啓量院長 ひだかこどもクリニック main

のどかな風景の広がる東浦町緒川地区にある「ひだかこどもクリニック」。待合室全体がキッズスペースというコンセプトをはじめ、子どものことを第一に考えるクリニックだ。「明確に事実を伝えるために、はっきりとものを言います」と語るのは日高啓量(ひだか・ひろかず)院長。日本小児科学会小児科専門医として、数多くの子どもを診てきた経験から「取り返しのつかないことになっては絶対にいけない」という思いを持つ。真摯に診療を行う院長には、子どもたちから手紙が届くことも多いそうだ。普段は真剣な院長の顔がほころぶ瞬間である。各種検査に重点を置き、薬は最小限にし、正しい診断と根拠のある治療に努めるという日高院長に、同院の特徴や小児医療にかける思いなどを聞いた。

(取材日2022年12月14日)

命を守るために最善の治療の提供を

開院までの経緯や地域性について教えてください。

日高啓量院長 ひだかこどもクリニック1

私は筑波大学卒業後、総合病院に勤務する傍ら名古屋大学大学院に入学し、博士号を取得しました。その後、2008年に生まれ育ったこの緒川地区で開院しました。母校である緒川小学校は子どもの自主性を重んじるオープンスクールを実践しています。各クラスは廊下との壁がありません。その独特な教育方針の魅力からか、家庭を持って戻ってくる卒業生も多くいて、昔からの住人と新しく流入してくる若い世帯がいる地域だと思います。私は現在保育園や小学校の園医や校医を務めています。また、以前務めた緒川小学校のPTA会長時の保護者同士での活動、またお祭りなどの地域行事に参加するなど幅広い年齢の地域の方々と深く関わらせていただき幸せを感じています。

クリニックのコンセプトを教えてください。

かかりつけの子どもたちに対して、「絶対に命を失わせない・奪わない、後遺症を残さない」ように最善の医療を提供することです。また、病気の治療には患者さんや保護者との信頼関係が大事です。現代は情報があふれています。また、医師によって伝えることが少しずつ違うこともあります。そういったことによる親御さんの混乱を避けるためにも、赤ちゃんの頃から信頼できるクリニックに通ってほしいですし、そう思ってもらえるクリニックでありたいです。そして予防できるアレルギーなどの病気は、赤ちゃんの頃から母乳やミルク、離乳食の与え方やスキンケアの方法をお伝えし、育児のサポートをさせていただきます。

特徴的な院内ですね。こだわっている点は?

日高啓量院長 ひだかこどもクリニック2

さまざまな年齢の子どもが来院しますが、特に1歳未満のお子さんも安心して過ごせるようにしたいと考えました。正面玄関を入ると、受付するより前で、待合室が感染症と非感染症の方で分かれる設計にしています。さらに、完全隔離が必要な患者さん専用の入口と診察室があります。また、待合室はすべてがキッズスペースというコンセプト。赤ちゃんがハイハイしたり子どもが寝転んだりできるように、床暖房を入れたフローリングにしています。安全面や衛生面からスリッパは使用していません。もちろん掃除も丁寧に行っていますので安心してください。待合室の壁面の飾りは、隣接する保育園の保育士さんの手作りです。季節に合わせ変わるので、楽しみにしている子どもも多いようです。子どもとの間に壁をつくりたくないので、私は白衣を着ていませんし、スタッフもかわいいエプロン姿です。おうちのようにくつろいでもらえればと思います。

病気と上手に付き合っていくために事実を伝える

診療の際に心がけていることは?

日高啓量院長 ひだかこどもクリニック3

明確に、はっきり伝えることです。患者さんからの質問には「どちらでもいい」「何とも言えない」とはあまり言わずに、「いい」「駄目」と答えるようにしています。そして、なぜ駄目なのか、どのような状態になればOKなのかを、きちんと伝えるように心がけています。例えば、アトピー性皮膚炎や喘息などは「治りません」と最初に言います。でもそれは目が悪くなって眼鏡やコンタクトレンズをするのと同じ。気休めを言うのではなく、長く上手に病気と付き合っていくためには事実を伝える必要があるのです。また、私には3人の子どもがいますので、親としての立場でお答えすることもあります。近年では新型コロナウイルス感染症や子宮頸がんのワクチン接種などに関して判断に迷うこともあると思います。その際は「私だったらこうする」と親目線でお伝えするようにしています。

薬を院内調剤にされている理由をお聞かせください。

できるだけ処方する薬を少なくしたいという思いからです。当院は検査が多いのですが、それは病気の根拠を明確にして、正しい診断をするためです。正しい診断ができれば本当に最小限必要な薬だけを処方することができると思っています。また、患者さんの好みに合わせた処方がしやすいというメリットもあります。「この薬は飲みやすい」「このテープはかぶれにくい」など、同じ成分の薬でも、それぞれ特徴があります。さらに「シロップがいい」「味によって飲める・飲めないがある」と好みも違います。薬は飲めないと意味がありません。院内調剤であれば私が子どもに合わせて処方した薬をそのまま患者さんにお渡しすることができます。

先生は保育園も運営されているそうですね。

日高啓量院長 ひだかこどもクリニック4

働いているスタッフの子どもを預かるために保育園を作りました。当院は土曜日、日曜日の午前も診療を行っています。子どもが病気にかかるのに曜日は関係ありません。むしろ週末に疲れが出て体調を崩す子どもが多いといえます。しかし、特に日曜日はスタッフ自身の子どもを預かってもらう場所がないことが多かったので、保育園を作ることでその点は解消することができました。また、かかりつけの患者さん向けの病児、病後児保育も行っています。これまで小児科医として、感染症にかかってしまった子どもを保育園に預けることができずに困ってしまう親御さんをたくさん見てきました。病児、病後児保育室で子どもを預かることができれば、親御さんのそんな悩みもなくなり、小児科医としてしっかり診断ができます。

「未来ある子どもの病気を治したい」と小児医療の道へ

医師人生の中で強く印象に残っていることは?

日高啓量院長 ひだかこどもクリニック5

勤務医時代は、白血病や小児がんの治療、骨髄移植の研究や臨床に携わっていました。中には生後2ヵ月で発症し、懸命に治療したものの、1歳で亡くなった赤ちゃんもいました。とてもつらい思いをしたのですが、お母さんは最後に「先生にも抱っこしてほしい」と赤ちゃんを抱かせてくれました。私が小児医療の道を選んだのは、命をかけて仕事をするのであれば、未来ある子どもの病気を治したいと思ったから。今は白血病でも治療効果が期待できる時代になっていますが、いい加減な治療だったり、治療が遅れたりすれば病気が進行してしまうこともあります。そう考えると、たとえ風邪でもいい加減な治療はできません。私が予防接種を勧めるのも、ときに厳しく言うのも、取り返しのつかない事態にならないようにするためです。私が一度でも診た子どもは、後遺症が残ったり命を落としたりしてほしくないと強く思います。

医師として喜びを感じる時は?

子どもたちからの言葉ですね。手紙をくれる子もいて「ひだかせんせいだいすき」などのメッセージは、恥ずかしいけれどもとてもありがたいです。また、開院して15年たちますので、当時は幼児だった子どももすっかり大きくなり、冬のインフルエンザ予防接種で年に1度会うと「先生お久しぶり!」「すっかり大きくなったね」といったやりとりができるのも楽しみの一つです。「大学に受かりました」と報告に来てくれる子もいます。

読者にメッセージをお願いします。

日高啓量院長 ひだかこどもクリニック6

子どもの様子で心配なことがあれば、一度受診してください。診させていただければ、お子さんの状態を把握できます。子どもは自分で上手に表現できませんので、いつも子どもを見ている保護者の方の直感を信じてみてください。治療が遅れることが何よりも心配です。何もなければそれはそれで安心です。私の理想は、この地域で長く診療を続けて、自分の診ていた子どもが親になりまた自分の子どもを連れて来てくれること。私はその子に「お母さんの小さい頃はね……」と話してあげたい。また緒川の町づくり活動にも参加しているので、医療面だけでなく地域の大人としても日頃から子どもたちを見守っていきたいです。

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