予防接種から発達障害まで
子どもの健康・発育の悩みは相談を
おりやま小児科クリニック
(西宮市/西宮北口駅)
最終更新日:2021/12/27
- 保険診療
阪急神戸本線の西宮北口駅から車で10分ほど。兵庫県第一の古社といわれる廣田神社の近くに「おりやま小児科クリニック」はある。優しい笑顔が印象的な折山文子院長は、小児科の医師として長年研鑽を積んできた経験豊富なドクターだ。病気の治療、予防接種、乳児健診はもちろん、育児相談や発達障害の子どもの支援にも尽力している折山院長に、同院の子どものサポートに関する取り組みを聞いた。
(取材日2021年12月15日)
目次
ちょっとした育児不安や発達に関する悩みにも、親身に寄り添い対応
- Q病気の治療から育児の相談まで幅広く対応しているのですね。
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A
病気の治療、予防接種、乳児健診などで来院された親御さんに対して、体重の増え方や皮膚の湿疹、離乳食、心身の発達といった、日頃の育児の中でのちょっとした困り事や心配事をお聞きするようにしています。親御さんの中には、気になっているけれども「こんなことを聞いていいのかな?」とためらって医師に相談できず、長いこと悩みを抱えている方も多くいらっしゃいます。帰り際にドアノブに手をかけてやっと口にした言葉のことを「ドアノブコメント」と言いますが、そこにはなかなか言い出せないその人の本音が宿っていると考えます。当院では、親御さんが相談しやすい雰囲気を心がけ、何げない発言を見逃さず寄り添えるよう取り組んでいます。
- Q予防接種はなぜ必要なのでしょうか?
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A
予防接種は自分自身を守るため、周りの人たちに病気を移さないためにもぜひ受けてほしいと思います。現在、日本小児科学会が、就学前の一年間と11~12歳の子どもを対象に推奨している「百日咳」のワクチンを例に挙げましょう。百日咳は年齢が上がるにつれ罹患しても重症化しにくくなりますが、赤ちゃんが感染すると無呼吸や呼吸困難など深刻化する恐れがあります。ワクチン接種は本人だけでなく、周りの小さい子の健康や命を守ることにもつながります。現在、おたふくかぜのワクチン以外は定期接種となり、ワクチンの種類や接種回数も多くなりました。当院では予防接種のスケジューリングを行い、接種漏れがないようサポートしています。
- Q予防接種については副作用も心配なところです。
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A
例えば小学校6年から高校1年生までの女性を対象とした定期接種の「子宮頸がんワクチン」。副作用問題が大きく取り上げられたこともあり、親御さんが子宮頸がんワクチンの接種をためらわれることは理解できます。現在子宮頸がんの死亡者は年間3000人近く、特に「AYA世代」といわれる思春期~30歳代の若い世代での罹患の増加が問題となっています。ワクチンを接種することで、発がんリスクの高いヒトパピローマウイルス(HPV)への感染予防が期待できます。私たちはワクチンによって期待できることや副反応などデータを示し、保護者や接種者にご理解いただいた上で希望に基づき接種を行っています。
- Q子どもを守るために大人が打つべき予防接種もあるとか。
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A
皆さんは「風疹ワクチン」を2回接種していますか? 風疹ワクチンは生涯で2回の接種が必要ですが、生まれた年代や性別によって接種回数が不足しています。特に1962年4月2日から1979年4月1日生まれの方は、女性のみ接種が実施された世代で、男性は未接種者がほとんど。「風疹ワクチン」は生まれてくるおなかの赤ちゃんを守るためにも必要です。風疹に対する免疫が不十分な妊婦が風疹ウイルスに感染すると、胎児に感染し白内障や緑内障などの眼症状、先天性心疾患、難聴など先天性風疹症候群を引き起こす可能性があります。家族内はもちろん、職場や友達に妊婦がいる方は、ぜひ接種していただきたいと思います。
- Qこちらのクリニックでは発達障害の相談も対応しているのですね。
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A
自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害など、「神経発達症」の子どもは近年増加傾向にあります。西宮市では「西宮市立こども未来センター」において、発達面、生活面、学習面で課題のある子どもの相談や支援を一手に引き受けています。しかし、診療、支援までの待機期待の長期化が問題となっています。このため、2021年4月から市内の数か所の小児科クリニックと診療ネットワークを構築しました。当院もネットワークのクリニックとして発達に関する相談を受けつけています。子どもの特性を見ながら適切な関わり方や環境づくりを一緒に考えていくことで、その子が将来的に生き生きと毎日を過ごせるようにサポートできれば幸いです。