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菊池 敏樹 院長、菊池 葉子 副院長の独自取材記事

きくち内科

(横浜市青葉区/市が尾駅)

最終更新日:2021/10/12

菊池敏樹院長、菊池葉子副院長 きくち内科 main

市が尾駅西口から国道246を歩道橋で横断し、道なりに歩くこと約5分、マンションの1階にある「きくち内科」。昭和大学藤が丘病院で18年間、内科全般および呼吸器・アレルギー疾患の診療に従事してきた菊池敏樹院長が、「もっと気軽に体のことを相談できる場所をつくりたい」という思いで開業したクリニックだ。現在は同大学出身で、保健所の行政医、中・高・大学の校医として予防医学に尽力してきた葉子副院長と二人三脚で、地域医療に貢献している。そんな2人に、力を入れている治療や地域住民への思い、そして今後めざす方向性について話を聞いた。

(取材日2016年6月10日/再取材日2018年6月1日)

大学病院で得た知識と経験を地域医療に生かす

開業前は大学病院に勤務していたそうですが、どんなことをしていたのですか?

菊池敏樹院長、菊池葉子副院長 きくち内科1

【菊池院長】昭和大学藤が丘病院の呼吸器内科で、呼吸器・アレルギー専門の医師として診療・研究・教育に携わってきました。院内の感染管理対策にも関わり、2002年のSARS流行の際には、院内感染対策チームに参加したり、新型インフルエンザが流行した2009年には、発熱に関する外来を立ち上げたりしたこともありました。本当にいろいろなことを学びましたね。昭和大学藤が丘病院には当時8分野の内科があり、すべてを経験してから専門科を選ぶ方針だったので、2年間の研修で、内科全般について先輩方に徹底的に仕込んでいただきました。今、医師として仕事ができているのは、その時の経験のおかげだと感謝していますし、開業後も18年に及ぶ大学病院での経験が生かされています。

なぜ開業しようと思ったのですか?

【菊池院長】勤務医生活は充実していましたが、患者さんとじっくり向き合う時間をつくるのが難しいこともあり、もっと患者さんと近い所で医療を提供したい、気軽に体のことを相談できる場所をつくりたいと思うようになったのがきっかけです。開業にあたっては、私を医師として育ててくれた地域の役に立ちたいと、この地を選びました。最初は患者さんとの関わり方に悩みましたね。大学病院時代は患者さんに連絡を取って様子を聞くのはまれだったので、気になる患者さんがいてもどうすべきか迷ったこともありました。でも、素直に様子を聞いてみようと思い切って連絡をしたら、ご自宅での様子を詳しく教えてくださって。余計なお世話と思われるかなと心配していたので、うれしかったですね。これを機に患者さんとより深く関われるようになった気がします。

どんな患者さんがいらっしゃいますか?

菊池敏樹院長、菊池葉子副院長 きくち内科2

【菊池院長】お子さんからご年配の方まで、幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃいます。ご近所の方が家族ぐるみで受診されることもあって、ようやく地域に根付いてきたかなという感じです。風邪や発熱、腹痛などの内科一般のほか、呼吸器内科、アレルギー科も掲げているので、症状としては、長引く咳やそれに絡む気管支喘息、呼吸器疾患で受診される患者さんも多いのが特徴です。インターネットで当院のことを検索して来てくださる方もいるんですよ。

患者ニーズに応えた治療の導入や健診の工夫を

こちらでは、舌下免疫療法も取り入れていると伺いました。

菊池敏樹院長、菊池葉子副院長 きくち内科3

【菊池院長】舌下免疫療法はアレルギーの原因となるアレルゲンを少しずつ投与して体を慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法で、スギ花粉症とダニアレルギーに対してこの方法を取り入れています。治療には数年かかりますが、⻑期的な症状の緩和だけでなく、根本的な体質改善が期待できます。ただし、この治療は副反応が出ることがあるため、気管支喘息などの持病がある場合はより慎重に行う必要があるんです。気管支喘息をお持ちの患者さんから「安心して治療を受けたい」という声も上がっていたので、呼吸器・アレルギー疾患の専門家として少しでも患者さんの要望に応えたいと、導入しました。

患者ニーズに応えるという点で、ほかに工夫していることはありますか?

【葉子副院長】当院は特定健診に対応していますが、朝食を取らずに来ていただければ、午前中に限り予約なしで受けていただけます。忙しくて予定を組めずに予約ができない人もいるでしょうから、少しでも受診のハードルを下げられるようにしました。私は副院長を務める傍ら、現在も保健所や企業、学校などで健診に携わっており、当院では主に特定健診後の保健指導や再診を担当しています。
【菊池院長】そもそも特定健診にはメタボリック症候群を予防し、脳卒中や心筋梗塞による死亡を減らそうという目的があるんです。そのため健診では、脳卒中などの原因となる動脈硬化の危険因子がないかを総合的に検査するのですが、動脈硬化は問題化するまでに時間がかかるので、40~50代の時点で自分のリスクを把握・管理する必要があります。それにより、60~70代での発症リスクを下げることができるので、定期的に検査を行うことが非常に大切なのです。

健診で問題が見つかったら具体的にどんな治療を行うのですか?

菊池敏樹院長、菊池葉子副院長 きくち内科4

【葉子副院長】例えばコレステロール値が高い場合、いきなり薬を使うのではなく、食事・運動・睡眠から生活習慣を見直していきます。具体的には、その方の生活状況を確認した上で改善点をアドバイスするのですが、踏み込んだ質問をしていくんですよ。お昼ご飯は手作りのお弁当か、そうでなくコンビニで買うならおにぎり1個だけか、幕の内弁当のようなものを選ぶのかといった具合に。健診結果が思わしくなかった時は、生活習慣を見直すチャンスだと思っていただけるといいですね。また生活習慣改善の一環として、「禁煙を楽しむ」をモットーに禁煙指導も行っています。

医療の相談窓口として地域住民の健康を支える

診療を行う上でのスタンスを教えてください。

菊池敏樹院長、菊池葉子副院長 きくち内科5

【菊池院長】開業時に心に誓ったこだわりが、「優しい医療、必要な医療、正しい医療」を提供すること。実はこの3つを両立させるのは難しいんです。「正しい」だけでは不十分で、正しいことの中にも患者さんにとって本当に必要なものとそうでないものがある。それを見極め選択するのが、この仕事の醍醐味なのかなと思っています。
【葉子副院長】医師として正しくて必要なことをきちんとできる、そして患者さんが心穏やかになれるよう優しく説明できる、そんな医療をめざしていきたいですね。「正しくて必要なことだけれど、私たちには力不足でできない」なんてことがないように、常に自分を鍛えなければと思っています。
【菊池院長】それと昨年体調を崩したのですが、その時に患者さんってこんなに不安だったのかと気づかされたんです。その経験から、これまで以上に悩んでいる方の声に耳を傾けていかなければという思いを新たにしています。

これから力を入れていきたいことはありますか?

【菊池院長】以前から往診に対応していましたが、近年は地域の高齢化が進み、ニーズが高まってきました。このような時代の変化に柔軟に対応することがクリニックの役割だと思いますので、今後はより在宅医療に力を入れていきたいですね。また、2018年6月からオンライン診療を始めたのですが、舌下免疫療法や予約なしの特定健診と同様に、患者さんの要望に応えたものです。今後も患者さんの声を聞きながら、積極的に新しいことを取り入れたいと思っています。ちなみにオンライン診療の対象となるのは、高血圧症、糖尿病などの生活習慣病、気管支喘息といった慢性疾患の治療で定期通院中の方です。慢性疾患は継続して診ることが大切なので、定期的な通院をサポートするための一つの方法として活用していただけるとうれしいですね。

今後の展望をお聞かせください。

菊池敏樹院長、菊池葉子副院長 きくち内科6

【菊池院長】引き続き、患者さんが気軽に健康について相談できる場を提供していきたいと思います。「こういう症状なんだけど、どこに行けばいいの?」と相談に来る方もいて、「これは何科に行ったほうがいいですよ」とアドバイスすることも多いんですよ。医療の窓口のようなイメージですね。開業から9年目を迎え、長く通う方も増えてきたので、これまで以上に地元の方に寄り添いながら、地域に貢献していきたいですね。
【葉子副院長】健康診断を通して、自分の今の状態を把握した上で、皆さんに先々の健康を意識していただけるようにしたいですね。40代でコレステロール値が高くても、すぐに何か起こるわけではありません。でも20年、30年後に心筋梗塞、脳卒中のリスクが高まるのですから、それを予防するために、今気をつけなければならないということを啓発していきたいです。

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