舌とお口の筋肉、正しく動かせていますか?
小児矯正治療を補助するMFT
脇本矯正歯科医院
(横浜市港北区/日吉駅)
最終更新日:2021/10/12


MFTという言葉をご存知だろうか。Myofunctional Therapy――。日本語で口腔筋機能療法といい、舌や口の周りの筋肉が正しく機能するように鍛え維持することを目的とした治療プログラムだ。舌がいつも出ている、ふとした時に口が開いている。あなたのお子さんにそのような症状があれば、口腔筋がうまく機能していないのかもしれない。そこで今回、口腔筋を鍛えるMFTを小児の矯正治療に積極的に取り入れている「脇本矯正歯科医院」を訪ね、その治療の重要性や矯正治療と併用するその目的を伺った。小学1年生に上がったばかりの松永陸寛くんとお母さん・松永恵倫さんの検査をレポートし、MFTの治療の流れも説明していく。
(取材日2011年9月20日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q舌の動きやお口の周りの筋肉は矯正治療にどのように影響するの?
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A
いつも舌が出っぱなしといった、舌の癖(舌癖・ぜつへき)があるお子さんの場合、当院では矯正治療と併用してMFT(口腔筋機能療法)を行っています。舌癖があると舌ばかりでなく唇や頬、ものを飲み込む咽頭部の筋肉などの口腔内筋が正常に機能しません。その影響で矯正装置でせっかく歯を正しい位置に戻しても、もとの悪い歯並びに戻る「後戻り」という現象が起きてしまうからです。
- Q具体的にどのような治療をするのですか?
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A
簡単に言うと自分の舌を思った通りに動かすトレーニングです。舌を動かし、時にはスティックなどを使って、自分の指示通りに舌をコントロールできるようにするのです。トレーニング自体はとても簡単。慣れれば1回15分ほどで終わります。矯正期間中は当院の衛生士がMFTを行いますが、お家でもできれば毎日実践してください。矯正治療期間中はMFTも継続して行います。
- Qどのような症状があればMFTを受けたほうがいいのでしょう?
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A
指しゃぶりを長いことしていたり、軟らかいものばかりを食べているせいでしっかり噛む習慣がついてないと、舌癖がつきやすくなります。小さいお子さんがいる親御さんは普段の生活のなかではお子さんの食事の様子をよく観察してください。舌や唇が不自然な動きじゃないか、きちんと咀嚼できているか、よく噛まないで飲み込んでないか。食べるのが早い子や遅すぎる子には何かしら問題がある可能性があります。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と各種検査でMFTが必要かどうかを判断
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矯正治療を始めるにあたり、2回に分けてカウンセリングと口腔内歯科検査、唾液検査、レントゲン撮影などを行い、それらの結果でMFTが必要かどうかを判断する。脇本先生は問診での会話からその子の舌の動かし方や唇の動きをしっかりチェック。「陸寛くんの場合、話す時に舌がひゅっひゅっと出ますね。軽い舌癖があるようです」と脇本先生。「口がいつも開けっぱなしになっている時も多くて、気になっています」とお母さん。
- 2治療プランの説明
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3回目の来院で、矯正治療プランの詳細やMFT治療を併用するかどうかの診断が下される。陸寛君はやはり軽い舌癖があるため、MFTを併用することに。舌癖が重度なものであれば、舌癖矯正用の器具を装着する場合もあるというが、陸寛君はトレーニングによって舌の動きを矯正していくことに決定。
- 3MFTのトレーニング開始
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矯正治療では月に一度通院して、矯正の進捗状況を確認。同時にMFTのトレーニングからスタートしよう。右の写真は「ティップアンドスティック」というトレーニング。スティックを口の前で持ち、舌の先をまっすぐにとがらせてスティックを強く押す。衛生士さんが優しく指導してくれる。
- 4うがいも口腔筋機能のチェックポイント
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これは「ガーグルストップ」と呼ばれるトレーニング。上を向いて口を大きく開けてうがいをし、飲み込まずにぴたっと止める。「3秒ガラガラ、5秒ストップ」が基本だ。「水が流れていかないように舌で封鎖できるかどうかを見ます。最近はすぐに飲み込んでしまい、正しくうがいできないお子さんも増えています」と脇本先生。
- 5MFTはお家でも毎日続けよう
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お家で毎日続けることもMFTでは大切だ。そのため、医院でのトレーニング時には必ずお母さんにも付き添ってもらい、内容やコツを指導。お子さんやお母さんがコツをつかめない場合は最初だけ2週間ごとにトレーニングをしてくれるそうだ。毎日、長い期間続けるトレーニングだからこそ、飽きないようにバリエーションも30種以上と豊富だ。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供を行っております。
カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)については、効果・効能に関して個人差があるため、 カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)を用いた治療を行う場合は、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。