全国のドクター9,295人の想いを取材
クリニック・病院 158,642件の情報を掲載(2024年4月20日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 枚方市
  4. 樟葉駅
  5. 医療法人 山田 誠クリニック
  6. 山田 誠 院長

山田 誠 院長の独自取材記事

山田 誠クリニック

(枚方市/樟葉駅)

最終更新日:2021/10/12

山田誠院長 山田 誠クリニック main

京阪樟葉駅からバスで7分。船橋バス停のすぐ目の前に立つ「医療法人 山田誠クリニック」は、この地で15年以上続く町の内科クリニックだ。「大学のあった南大阪から勤め先が北へ北へと移り、気がつけばこの地で開業していたんです」と、にこやかに話すのは、院長の山田誠先生。消化器内科を専門に内視鏡検査なども手がけつつ、さまざまな患者の相談に耳を傾けながらの診療が夜8時まで続く。外来の合間も往診や訪問診療へと出向き、さらには枚方市医師会の理事を務めるなど、その活動はまさに多忙を極めるといえるだろう。そんな山田院長に、診療時の患者への接し方や在宅医療に向けた新たなアプローチなど、ヒューマンな取り組みの一端を語ってもらった。

(取材日2018年4月16日)

医療で大切なのは、人として人に接すること

まずはクリニックの概要を教えてください。

山田誠院長 山田 誠クリニック1

昔からいうところの、いわゆる「町医者」ですね。私の専門は消化器内科で、食道・胃・十二指腸といった上部消化管の内視鏡検査やエコー検査も行っていますが、内科には呼吸器もあれば内分泌もありますので、全体的に診た上で希望や必要があれば検査をするというスタンスです。どんな症状であれ、とりあえずは話を聞いてあげられるような医院でありたいと思っています。あと相談が多いのは、やはりセカンドオピニオン的なことですね。例えばどこの病院に行けば良いのか、その判断をお手伝いすることも私たちの一つの役割だと思います。こうした診療を続けているせいか、開院時からずっと通っていただいている方や、中には前任の病院勤務のときから20年近いおつき合いになる方もいらっしゃいます。

診療に際して心がけていることは?

大学時代に師事した教授の先生から、「機械を使って調べるばかりではなく、自分の手で患者さんに触れなさい」と教わりました。それがそのまま今の私の診療スタイルになっていると思います。近頃の内科の医師はあまり聴診器を使わなくなりました。いろいろな検査をして、データを見て総合的に診断することも必要ですが、私の場合、その先生のお言葉を今も忠実に実践しています。あと、診察時は必ず患者さんのほうに顔を向けて、特に目を見ながらお話しすることが大切です。やはり人と人ですから、それがマナーというべきでしょう。患者さんが診察室に入ってこられたら、まず「こんにちは」「こんばんは」と挨拶をする、そうした当たり前のことが今の世の中には欠けているように思いますね。

院長は開業までに長く勤務医をされていますね。

山田誠院長 山田 誠クリニック2

大学での研修時代を含めて10年以上、いろんな病院に勤務して経験が積めたことは本当に良かったと思っています。勤務地の中には大阪市内の繁華街にある病院にも勤めました。多種多様な職業や生活の方々と接する機会が得られたと思います。たくさんの患者さんを診療させていただきましたが、どんな方でも、深くつき合うほどに距離が縮まっていくんですね。表面的につき合うのではなく、日常の他愛もない話を含めていろんな相談を聞くことで、言いたいことが言えるようになってくるわけです。人に人として接する、その大切さを知ることができたのは大きな財産だと思っています。

超高齢社会への取り組みは、もはや避けられない

こちらでは在宅医療もされていますね。

山田誠院長 山田 誠クリニック3

午前と午後の診療の間の時間を利用して、基本的には毎日、老人ホームや個人のお宅にお伺いしています。訪問診療もあれば往診もありますが、これからの時代、在宅医療や訪問看護は私たち開業医も避けては通れない分野だと思います。もう一つ重要なのが「看取り」の問題ですね。医師の立場に立てば、まったく経験のない先生方が二の足を踏んでしまうのは仕方のないことだと思います。あくまで在宅医療の延長に看取りがあるわけですから、そういう場面を多く経験することしかありません。患者さんにとって何が心配で何が不安になるんだろうと、私自身も手探りでやってきましたからね。

在宅医療も看取りも、緊急時の対応が大変でしょう?

それも大きな問題で、24時間対応ということになると、自分一人ではどうしても対応できないという場面がいつか必ずやってくるでしょう。そこで、同じような思いでやっている他院の開業医の先生3、4人でタッグを組み、緊急時には互いに助け合うチーム医療を有志でスタートさせました。もちろん、その患者さんに対してこれまでどのように接してきたか、それをくんでもらえる先生同士でないと困るわけで、こだわったのはやはりその部分ですね。まだまだ課題は多いですが、こうした活動が来るべき医療問題に対する何らかの糸口になっていければと思っています。

院長は枚方市医師会の理事をされているそうですが。

山田誠院長 山田 誠クリニック4

はい。医師会の主な役目は市との折衝といいますか、医介連携をしっかり保つことに重点を置いて活動しています。予防接種や特定健診などいろいろありますが、それを円滑に進めるためのコンタクトをとることも医師会の仕事ですね。あとは、さきほどのチーム医療の中の1人の先生が在宅の担当ですので、訪問看護ステーションなどとの交流にも積極的に参加し、興味のあるドクターをもっと増やそうという取り組みもしています。私の実感としては、枚方市は医療や介護に関する理解が比較的深い自治体だと思います。「健康医療都市」を掲げているだけあって、周辺の市町村と比べても健康・医療・福祉に積極的で、そういう意味では私たちも活動していく意義が見出しやすいと感じています。

主治医は患者が選り好んで決めるもの

院長は医師家系の出身だとか。

山田誠院長 山田 誠クリニック5

曽祖父が内科の医師で、祖父と父が歯科医師です。叔父や従兄弟にも医者が多かったせいで、医療自体は常に身近な存在でした。私は子どもの頃から機械いじりや工作が大好きで、父の職場にある歯科の機械や材料を使って怪獣の口を作り、遊びで使うなと叱られたこともありました。父は本人の意志に任そうというタイプで、医師になりなさいと言われたことは一度もありません。兄は父の歯科を継ぎましたが、父の無言のプレッシャーをしっかりと受け止めたわけですね(笑)。私が医師になろうと決めたのは高校2年生ぐらいのときです。最終的には近畿大学医学部へ進み、そこから医療の道に入ることになりました。

ご家族とはどのように過ごしていますか?

家族は家内と、中学生の娘が2人います。在宅や看取りの仕事もありますから、この10年、家族で遊びに行くことはほとんどありませんでした。家内には開業からいろいろ苦労をかけていますが、やはり彼女がいるからこそ続けてこれたわけで、そこは感謝の気持ちでいっぱいです。私の仕事も十分に理解してくれていて、滅多なことで口を出したりはしません。ただ、「馬鹿真面目は結構だけど、いい意味で少しは手を抜くことを考えないと長持ちしないよ」とは言われます。パパがいないと困るよと、そう言われると、ああそうかと考えさせられますね。ただ、現実にはまだまだ手を抜けないのが正直なところです。

今後に向けた展望があれば教えてください。

やはり在宅での看取りというものが、今後はどんどん増えていくと思われます。おぎゃあと生まれてくるスタートは喜びに満ちた最高の瞬間ですが、人生を終える瞬間もまたすごく大事なことで、その人がどういう生活をしてこられて、周りにどんな方がいて、どういう最期を迎えていきたいのか。それに少しでも理解して近づけようと、訪問看護の人と力を携えて取り組んでいるところです。これはもはや治療ではありませんが、それを担うのも医師の役目です。これからは看取りに関する学習会なども増えていくでしょうから、そういう場で自分の経験を踏まえたアドバイスや学習ができればいいなと考えています。

最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。

山田誠院長 山田 誠クリニック6

どの医師もすべての患者さんと馬が合うわけではありませんし、主治医とするかどうかは患者さんが決めることです。この先生は自分には合わないと思ったら、普通は二度と通う気にならないでしょう。それは医師の努力不足もあるかもしれませんが、やはり人としての相性というものがありますからね。我慢をして通院しても、まともに話もできずに帰ってきたのではなんの意味もありません。これだけたくさんの医師がいるのですから、自分に合った人を選り好みしてください。そのためには気軽になんでも話していただき、そこから判断していただればと思っています。もちろん、もし気に入って任せていただけたら、こんなにうれしいことはありません。

Access