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西條公勝 院長の独自取材記事

西條クリニック鷹番

(目黒区/学芸大学駅)

最終更新日:2021/10/12

西條公勝院長 西條クリニック鷹番 main

「西條クリニック鷹番」は、地域住民の憩いの場・目黒区立碑文谷公園の近くにある。3階建てのクリニックは1階が外来診療、2階が人工透析、3階が人工透析の待合室となっており、どの部屋も広々と余裕のある作りだ。人工透析、循環器内科、腎臓内科、消化器内科、皮膚科、ペインクリニックに専門医を配し、院長の西條公勝先生は腎臓内科・循環器内科・人工透析を担当。本院にあたる「西條クリニック下馬」の院長である父も、同院での治療に参加。地域のニーズに応えた医療を提供している。学会発表などにも積極的で、常に学びを怠らない真面目な先生だが、時折見せるはにかんだような笑顔には、休日は子どもと遊ぶことに全力を傾けるという優しいパパの素顔がのぞく。医院こだわりの透析設備から高齢化社会における今後の展望まで、お話を伺った。

(取材日2015年5月22日)

各診療科は専門医が担当し、地域に根根差した総合医療を展開

開業は2001年と伺いました。

西條公勝院長 西條クリニック鷹番1

私の父が経営する「西條クリニック下馬」の分院として、2001年10月に開院しました。本院は駅から続く商店街を抜けたところにあるため、「駅からもう少し近いとうれしい」という要望が患者さんから聞かれるようになり、アクセスを重視してこちらに開院したんです。本院と分院はそれほど離れていませんし、標榜する診療科目も同じですが、駒沢通りを挟んで区が変わると患者さんの層が少し違いますね。世田谷区でも下馬のあたりは昔ながらのお宅が多くて大規模なマンションが少ないため高齢の患者さんが多く、目黒区になるとは若い人が多い印象です。患者さんの雰囲気も本院は落ち着いた感じで、こちらは世話好き・話好きで下町っぽい。当院には駅近くの商店街で働く人も多く来院されますよ。

クリニックの診療科目について教えてください。

人工透析、内科、皮膚科、ペインクリニックを行っています。各診療科はそれぞれ専門医が担当しており、私は主として腎臓内科、循環器内科、人工透析を担当しています。全体として多いのは、長期的かつ頻繁に通う必要がある人工透析の患者さんですが、美容皮膚科は比較的安価で幅広い治療が受けられることもあり、夕方から夜にかけて女性の患者さんが多く来院されます。

先生のご専門は幅広いですね。

西條公勝院長 西條クリニック鷹番2

内科に関しては、循環器と腎臓内科を専門にしており、外来に関しては高血圧や糖尿病に伴う腎臓病などを主に診ています。腎臓の病は糖尿病の悪化によって引き起こされることが多く、この二つは切っても切れない関係にあります。私は糖尿病の専門医ではありませんが、糖尿病療養指導医として療養生活に関する助言やサポートも行っています。また、もう一つ、腎臓の病気では加齢と高血圧からくる「腎硬化症」も多いですね。腎臓は体内におけるフィルターのようなもので、体内の不純物をろ過する役割を果たしています。年を重ねていけばフィルターの機能が落ちるのはやむを得ないのですが、高血圧の方は健康な方に比べてフィルターにかかる余分な圧力が大きく、機能低下を招きやすくなります。結果として人工透析が欠かせなくなるケースも多いですね。循環器内科では心臓カテーテル検査など大学病院のような検査より高血圧にお悩みの方を診ることの方が多いので、生活習慣の改善指導なども含めて治療しています。

一般的な血液透析の課題を解決すべく、新たな透析方法も導入

新しい透析方法を導入しておられるそうですね。従来のものと比べての利点など教えてください。

西條公勝院長 西條クリニック鷹番3

透析には、一般的な血液透析のほか、腹膜透析、血液ろ過透析があります。今、国内における透析の大部分を占めているのは血液透析ですね。腹膜透析は自宅や会社でできるため血液透析に比べて生活の自由度が高いのですが、人工透析をする患者さんの多くは高齢者なので、腹膜透析の手技を覚えるのが難しいという問題があります。加えて腹膜透析には徹底した自己管理が必要であるという点も課題ですね。家族のサポートがあれば良いですが、最近では独居の方も少なくありませんから、難しいところでしょう。最後に挙げた血液濾過透析が、当院で導入している透析方法で、ラインHDFとも呼ばれるものです。通常の血液透析は透析膜を通して血液と透析液の間の老廃物を取り除いていきますが、尿毒素物質といって通常の老廃物より大きいもの、網目と同じくらいの大きさのものは効率よく除去できず、少しずつ溜まってしまうんですね。そうすると、体のあちこちにアミロイド質が付着し、痛みやかゆみなどさまざまな症状を引き起こします。血液ろ過透析は、血液透析をしながら血液中に直接透析液を補液し、いれた分だけ抜くことで、透析とろ過を同時に行う仕組みです。これによって、分子量の大きい毒素の排出を促せるというのが最大の利点です。

ほかに、先生のこだわりの設備や診療はありますか?

循環器科では心臓病の予備軍と考えられる高血圧・高脂血症・糖尿病といった生活習慣病の予防や治療にも力を入れているので、心臓の超音波検査装置を導入しています。また、検査の結果を早く知りたいという患者さんのお声に応えて、貧血の検査から糖尿病の推移を判断するもの、血液を固まりにくくするワルファリンの効き目を見るものまで、さまざまな内容の検査を院内で完結できるようにしてきました。もう1つは、人間ドックでよく利用される胃透視の機械も当院の設備として特徴的なものでしょうか。最近は内視鏡検査をする医院が増えてきましたが、当院では昔から変わらずにバリウム検査を行っています。

患者さんのニーズに応えた医療を行っておいでなのですね。

西條公勝院長 西條クリニック鷹番4

当院に通ってくださる患者さんはもちろん、地域に密着したクリニックとして幅広い診療を行っていきたいと考えています。現在、第1火曜日と第3火曜日に行っている特別養護老人ホームへの往診、通院が難しい患者さんのお宅への往診もそうした活動の一環ですね。往診は腎臓病の方や足腰が弱って動けない方が多いですが、特別養護老人ホームで診るのはほとんどが認知症の方です。当院に通われている患者さんも確実に高齢化していますから、認知症の方に対する医療をどうするかという点は今後の大きな課題でしょう。認知症の専門医にも入っていただいて、皆で協力しながら診ていく体制づくりが急務ですね。

明確なゴールがない治療だからこそ、準備には時間をかける

先生が医師をめざされたのは、やはりお父様の姿をご覧になっていたからでしょうか。

西條公勝院長 西條クリニック鷹番5

祖父も父も医師ですが、医師になるよう押し付けられた覚えは特になく、小さい頃はパイロットになりたいと思ったりしていました。それでも、医療が身近にあったことはやはり大きいですね。父は地域の学校の校医をしていたので、私が通っていた小学校と中学校にも検診に来ていたんですよ。友だちの前に医師としての父が来るというのは、照れくさい反面とても誇らしいものでした。診療外のところで努力を怠らない姿、患者さんの話をさえぎることなく聞いて慕われる姿、そういう父親の背中から学んだことはたくさんありますし、そういう記憶が積み重なって自然と医師の道へ向かわせたのだと思いますね。患者さんとの対話を大事にすること、常に勉強し続けることなどは、現在の診療の中でも大切にしています。

お忙しいと思いますが、お休みの日の過ごし方を教えてください。

日曜・祝日が医院の休診日で、個人としては火曜日もお休みなのですが、往診に出ていることもあり完全な休日は日曜と祝日だけです。休みになると、だいたい子どもの世話をしているかな。公園で一緒に遊ぶこともあれば、水族館や動物園へ出かけることもありますよ。私の趣味であるミュージカル鑑賞に連れていくこともありますね。

最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか。

西條公勝院長 西條クリニック鷹番6

腎臓病や糖尿病は、「ここまで治療すれば終わり」というゴールがなく、医師と患者さんとは長いお付き合いになります。治療の前段階であるカウンセリングに力をいれて、一人ひとりが持つ希望や生活背景を理解した上で治療をしていきたいですね。近年、透析、外来を問わず、通われている患者さんの高齢化は顕著です。今後は腹膜透析や在宅透析をはじめとした在宅診療の選択も柔軟にできるよう、サポート体制を整えていかなければなりません。あわせて、腎臓病や糖尿病を患っていると骨粗鬆症が進行しやすいので、特に高齢の方は骨折につながらないようケアしていきたいと思っています。

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