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牧瀬 敏裕 院長の独自取材記事

なのはなクリニック

(成田市/久住駅)

最終更新日:2019/08/28

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成田駅から車で約20分。国道51号線から少し入ったところに「なのはなクリニック」がある。自然に囲まれた庭や、車30台分もの駐車場があり、その敷地の広さにまず驚かされる。「四季折々いろいろな花が咲きます。約15年以上かけてやっと完成形の庭に近づきました」と顔をほころばす牧瀬敏裕院長。開業前には対馬や五島列島などで離島医療の経験を持つ牧瀬院長は、千葉県の東エリアに小児科が少なく困っているとの話を聞き、この場所に開業したという。千葉県内で早期からヒブ・肺炎球菌ワクチンの導入や病児病後保育の実施など小児科医療の課題に積極的に取り組んでいる。そんな牧瀬院長に地域医療にかける思いについて話を聞いた。
(取材日2018年4月10日)

強い思いにかきたてられ植物研究者から医師の道に

この場所に開業した経緯について教えてください。

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以前、長崎県の対馬や五島列島で離島医療に携わっていたのですが、東京の葛飾に暮らす父が体調を崩したことで、関東での勤務地を探していました。関東でも田舎の病院を探していたところ、千葉県の大栄町の当時の町長さんから医師不在で困っているとのお話があり、成田市国保大栄診療所に行きました。人口に対する医師の数が少ない都道府県は、埼玉、茨城、千葉なのですが、千葉県内でも特に東部や房総エリアとなると医師の数がまったく足りていないのですね。それで医師不足で困っている人を助けたいと思い大栄町に来ました。その後、ある患者さんとの出会いで広い敷地を入手することができ、ここに開業しました。今は少し増えましたが、当初はこのエリアに小児科のクリニックがほとんどなく、乳幼児を診ることが多かったですね。

院長先生はもともと植物を研究なさっていたそうですね。

はい。最初の出身大学は信州大学農学部です。信州大学にしたのは山岳部で山に登りたかったというのが本当のところ(笑)。大学卒業後は大学院に残り、植物の起源について研究していました。今で言えばバイオテクノロジーの分野でしょうか。研究のためネパールでフィールドワークをしていた際、医療係を担当していた私に現地の人たちが、「あそこが痛い」「ここが悪い」といろいろ訴えてくるんです。それで持参したビタミン剤を分け与えると、翌日、「こんなに元気になった」とすごく喜ぶんです。その光景を見た時、「医療を必要としている人がこんなにいる」ということに改めて気づいたのです。医療を受けられずに困っている人を助けたい、そんな思いがふつふつと湧いて、大学院を中退して医師の道を志しました。佐賀医科大学(現・佐賀大学)に行ったのは、当時、国立大学病院で最初に総合診療部を設置していたからです。

その後、長崎の離島医療に携わられたのですね。

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卒業後、国立長崎中央病院(現・国立病院機構 長崎医療センター)を研修先として選びました。というのも当時では珍しく内科、外科、小児科、各科を研修するスーパーローテート研修制度があったからです。僻地で医療をしたいという思いがありましたから、いろいろな科を勉強したいと思ったのです。離島には心臓血管外科や脳外科はありませんから、心筋梗塞などの急性期疾患はヘリコプターで長崎中央病院に搬送していました。ですので離島では急性期以外の内科、小児科、そして皮膚科や眼科など幅広く診療していましたよ。今は、医師の専門領域が細分化しすぎているように思います。医者は、医師という資格を持っている以上、すべて診られることが当たり前で、その上での専門性だと私は思っています。

ヒブ・肺炎球菌ワクチンの啓発・普及で乳児の命を守る

院長が普段心がけていることを教えてください。

3

患者さんにとって、より良い医療を提供することです。良い医療を行うには、まず、普通の人の感覚を持つことが大切だと思います。患者さんの中には年金だけで暮らしている人もおられます。そんな方に高い検査や治療を押し付けるのはいかがなものかなと思います。患者さんの生活があってこそですから、患者さんの生活状況や考え方をよくくみ取った上で、その方に最適だと思える医療を提案していくことが大切ですね。以前、離島にいた時、最先端のがん治療を受けるために、日雇いで働きに出てがんが再発したという例もありました。医師側が決して押しつけるのではなく、患者さんの人生がより良い方向へ向かうにはどうしたらいいか、それを一緒に考えることですね。

こちらではかなり早くから病児病後保育を始められたそうですね。

開業して4年後の2006年から病児病後保育を始めました。私はサラリーマンの子どもですから、共働きの大変さがとてもよくわかるんです。子どもが熱を出したからといって会社を休むことはなかなかできないのが現実です。パートや共働きしないと生活が難しいという人も多いでしょう。そういった社会状況の中、少しでも子育てを支援したいと思い、病児病後保育を始めたのです。県内で病児保育に最も力を入れているのは自治体は千葉市で、今8ヵ所で行っています。成田市でも少しずつ病児保育を行う所が増えてきており、今、3ヵ所で行うようになっています。

今、こちらの診療所で力を入れているのはどんな分野でしょうか。

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アレルギー、感染症、糖尿病ですね。アレルギーは私自身ずっと悩まされていますから、患者さんの気持ちがよくわかります。治療は塗り薬との相性が大切で、薬の容器の蓋を色分けして患者さんがわかりやすいよう工夫しています。感染症ではワクチンの啓発に力を入れています。乳幼児がかかりやすく命にかかわる病気として細菌性髄膜炎があるのですが、その予防に有効なヒブ・肺炎球菌ワクチンの接種を早い時期から行ってきています。小児科医師の要請もあり、5年前からやっと定期接種になったのですが、ヒブ・肺炎球菌ワクチンの啓発普及がこれまでの経験では一番の地域医療貢献ではないかと思います。糖尿病では、生活指導に力を入れており、糖尿病教室も開いています。

“リビング・ウィル”を尊重、患者の希望に配慮

特別養護老人ホームも開設しておられるのですね。

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地域医療の一環として、2016年に100床の「社会福祉法人金木犀会特別養護老人ホーム まきの里」を隣地に開設しました。自然に囲まれた場所ですべて1階の平屋建てになっています。ここではお看取りのことも含めて、ご本人やご家族の意思を確認した上で、生前の意思表明書と言われる“リビング・ウィル”を作成して、ご本人が希望する医療を受けられるよう配慮しています。

これまでで心に残ったエピソードはございますか。

患者さんに「こんなに詳しく話してくれる先生は初めて」と言われることが多く、そんな言葉を聞くとうれしいですね。患者さんは香取市や山武郡、さらには茨城県などかなり遠方から来られていて、頼りにされているのだなと感じることもあります。私自身、話が好きですから、患者さんともよくお話しています。ワクチンについてもお母さん方には、「ワクチンは保険に入るようなもの」とよくアドバイスしています。車を買ったら車両保険、家を建てたら火災保険に入りますよね。それと同じようなことですよと話しています。ワクチンによって防げる子どもの病気がたくさんあります。ワクチンを打たなかったがために小さな命を奪われたお母さんは、どうしても自分を責めますよね。それはとても悲しいことだと思います。

ところでお休みの日はどのようにお過ごしですか?

ガーデニングです。季節ごとにお花が咲くようにいろいろな植物を植えています。15年以上かかり、やっと、ほぼ完成形に近づいたように思います。草取りも自分でやっています。他の人に頼むと、雑草と花の芽の区別がつかずに、全部抜かれてしまうかもしれませんし(笑)。「お庭を見ると癒やされます」と言われるとやはりうれしいですよ。金曜が休診日、土曜は東京大学から甲状腺と腎臓が専門の先生に来てもらっていますので、夏の時期は、金・土を使って那須にある山荘に行って山登りを楽しんでいます。

では最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

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いずれは、このクリニックを継ぎたいと思う人に継いでいただければと思っています。私は医師の世襲には反対で、本当に医師になりたい、好きで医者になったという人がやはり信頼がおけると思っています。頭の良さと臨床力とは異なるものとも捉えています。皆さんがお住まいの地域には、必ず良いドクターがいると思います。医師との相性も大切ですから、ぜひご自身に合う、相性のいいドクターを探していただきたいですね。

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