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金倉 洋一 院長の独自取材記事

かなくらレディスクリニック

(名古屋市中村区/名古屋駅)

最終更新日:2021/10/12

金倉洋一院長 かなくらレディスクリニック main

名古屋駅、伏見駅からもほど近い「かなくらレディスクリニック」。ビルの3階に上がり院内に入ると、待合室にはアロマの良い香りが漂う。内装にはゆるやかな曲線が取り入れられ、リラックスできる雰囲気になっている。化粧室の手洗い場には花柄の陶器が用いられ、まさに女性のための空間といったところだ。院長の金倉洋一医師も、医院の雰囲気に違わない穏やかな口調の持ち主。「西洋医学と東洋医学を併用して、女性の悩みを上手に解決していきたいですね」と語る金倉先生。医師を志したきっかけや、東洋医学との出会いと魅力、ご自身のプライベートに至るまでたっぷりと話を聞いた。

(取材日2016年4月26日)

歴史をつないでいく医療に魅かれ、産婦人科医に

先生は四国のご出身だそうですね。慶應義塾大学の医学部に進まれたきっかけは何だったのでしょうか?

金倉洋一院長 かなくらレディスクリニック1

出身は香川県の高松市です。私の姓の金倉というのも香川県以外では珍しいみたいですね。香川県にある弘法大師が作った満濃池というため池から流れる金倉川が由来と思われます。医学部に入るようにと家族から言われたことはありませんでしたが、身近に医師が多く自然とこの道に進みました。実は、私の祖母はシーボルトの娘である楠本イネさんに続く四国で二人目の女性医師なんです。父も医師をしていましたから、私で3代目ですね。よく私の面倒を見てくれた祖母や父の周りに、自然といろいろな人が集まってくるのが印象的でしたね。

産婦人科医としての道を選ばれた理由をお聞かせ下さい。

大学在学時の恩師である飯塚理八教授は不妊治療として行う人工授精の研究で高名な方でした。産婦人科以外の科目は具合が悪くなってからかかるものですが、産科や不妊治療は、死に至る病を診るものではありません。それが医学の根源である予防医学という考え方に通じると思って、産婦人科に魅力を感じました。それに、他の科は臓器によって専門が分かれるのに対し、産婦人科では子どもから高齢者まで、一人の方の健康を全体的に診療できます。子宮、卵巣だけを診るわけではなく、まさしく「全身を診る」ということなんですね。また、生殖医学は英語でreporoductionと言い、唯一生産性のある科目というのも産婦人科の魅力でした。また、子宮はラテン語でヒステリーと言いますが、その子宮に赤ちゃんが育ってヒストリー、つまり歴史になるわけです。歴史をつないでいくための医療に意義を感じたのも大きいですね。

開業に至ったきっかけはどのような事だったのですか?

金倉洋一院長 かなくらレディスクリニック2

勤務医として働いていた際、慶応義塾大学病院時代の上司が藤田保健衛生大学の教授として赴任することになり、一緒に来るように言われ、助教授として名古屋に来ることになったんです。しかし、その教授が早くに亡くなられてしまいました。大学で優秀な人材を育成することに身をささげる道も考えましたが、やはり医療の根本は地域医療だと思っていたので、この機会に開業する事にしました。ここなら名古屋駅からも近いので、患者さんがどこからでも来院しやすく、利便性が良いだろうと思ったので、この地に決めました。今でも関東地方で勤務していたときからの患者さんが何人かいて、東京や静岡からも通って来られます。医師冥利に尽きるうれしいことですね。

東洋医学の奥深さに魅かれ、西洋医学との併用を探る

先生は漢方療法にも力を入れているそうですが、そのきっかけをお聞かせ下さい。

金倉洋一院長 かなくらレディスクリニック3

私が医師になった当時、更年期障害に関してあまり治療法が研究されておらず、ほとんどの医師が積極的には取り組んでいませんでした。新米ながら何とか良い治療法がないかと探していた時、漢方に出会ったのが始まりですね。もともと、予防医学が医学の根源だと思っていたので、更年期の治療はそこに通じる部分がありますし、ちょうどその頃、漢方にも保険が適用されるようになったというのも大きいですね。それからより深く勉強をしようと、松田邦夫先生に弟子入りしました。大塚敬節先生という、昭和初期に日本の漢方医学を再興した方がいらっしゃるのですが、松田先生はその直接の弟子で、今の日本の東洋医学会の第一人者と言ってもいい方です。優しくて人柄も素晴らしく、医学知識以外にも学ぶべきことが多く尊敬しています。今も2ヵ月に一度は、東京の松田先生の許へ教えを乞いに伺っています。

西洋医学との違いはどういったところなのでしょうか?

漢方では個々を診るのが基本です。例えば女性が風邪をひいても男性が風邪をひいても、西洋医学だと大人ならば同じ薬が出ますよね? 漢方ではその人の体質、症状などに合わせてそれぞれ違う薬を出すんです。性別も違えば体格も違うわけですから、個人的には、その方が理にかなっていると思います。また、漢方にはまだ病には至らないけれど、その一歩手前といった“未病”という考え方があり、医学の根本的な考え方である予防医学に通じる考え方です。また、“未病”の治療に“補剤”という漢方特有の薬の考えがあります。例えば、人間の健康体を一つの球体だとしましょう。 西洋医学ではその球体から飛び出している部分を切ることは出来るのですが、へこんでいる部分を補うことは難しい。それを徐々に球体に近づけようとするのが補剤の役割です。漢方は、一人ひとりの不調や悩みに合わせて調合できるのでそこが利点でもありますね。

漢方を希望される患者さんも多いのでは?

金倉洋一院長 かなくらレディスクリニック4

ええ。特に冷え症や生理不順など女性特有の悩みをお持ちの方は漢方療法が目的という方が多いです。漢方の生薬は自然由来の食べられるもので作られていますから、比較的副作用も少なく安心ということで、わざわざ当院を調べて見える妊婦さんも少なくないですね。『金貴要略』という中国の古典医学書には男性に対する項目は無いのですが、女性に対する項目があることからも、昔から婦人科治療に漢方が広く使われていたことがわかります。しかし、漢方にはホルモン剤や強い鎮痛剤、特定の病原菌を駆逐するようなものはありませんので、漢方にこだわらずに西洋医学の良いところも取り入れて治療しています。更年期障害や妊婦さんの治療、不妊症治療の手段として積極的に漢方を取り入れています。

女性の体全般の悩みを解決できる医師でありたい

診療の際、先生が心がけていらっしゃることは?

金倉洋一院長 かなくらレディスクリニック5

最近は私が年を取りましたので、私より年上の患者さんは少なくなりましたが(笑)、年上なら母、同年代なら妻、年下なら娘という風に、患者さんが自分の身内ならばどのように治療していくだろうかと考えて治療するように心がけています。そして、西洋医学と東洋医学の両方を上手く使い、患者さんにとって負担が少なく良い治療をしていけるよう努めています。あとは、少しでもリラックスしていただけるよう、待合室の内装には曲線を取り入れて優しい雰囲気が出るようにし、アロマを焚くなどしています。皆さん、医院に来るのは基本的に緊張する事だと思いますから。

ご自身の健康のためにしていらっしゃることなどはありますか?

午前の診療の後、スポーツクラブに週3回、多い時は5回ほど通っています。大体、ウエートトレーニングをしてから、エアロバイクを1時間ほどこいで、450~500キロカロリーは消費するようにしています。10年ほど続けているのですが、1年に約1キロのペースでようやく体重がベストの状態に戻ってきましたよ(笑)。お酒も食べる事も好きなのでそのために始めたのですが、午後の診療にスッキリとした気持ちで臨めますし、クラブで色々な職種の方とも交流出来て楽しいですね。

最後に、今後の目標などがあれば教えてください。

金倉洋一院長 かなくらレディスクリニック6

皆さんに頼っていただけるような街の医院でありたいと思います。漢方をやっているということで、高血圧や腰痛、頭痛等の不定愁訴など婦人科疾患にこだわらずに来院する方も多いので、患者さんの体全般を考えて治療をしていきたいですね。漢方に関しても、まだまだ勉強しなければと思っています。何しろ2000年もの歴史がありますから、覚えることが尽きません。あとは、今でも後輩の病院などに呼ばれて手術を行っていますので、そのための研鑽は欠かせません。医学は日々目覚ましく進歩していますから。当院には様々な患者さんがいらっしゃいますが、一人ひとりの健康管理の相談相手になれるよう努力していきたいと思っています。

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