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有吉 祐 院長の独自取材記事

有吉祐睡眠クリニック

(北九州市小倉北区/香春口三萩野駅)

最終更新日:2021/10/12

有吉祐院長 有吉祐睡眠クリニック main

九州の玄関口小倉駅から北九州モノレールで約5分、香春口三萩野駅直結という通いやすい場所に国内でも数少ない睡眠障害を専門に扱うクリニックがある。大規模医療機関にも劣らないレベルに充実した設備と人員体制を整え、精密検査や多彩な治療を提供する「有吉祐睡眠クリニック」だ。有吉祐院長は精神科医としての知識を生かし、さまざまな問題を抱えた患者に寄り添い悩みを解決へと導く。睡眠障害と精神疾患との関連性は高く、生活背景にも目を向けながら適切なサポートに取り組んでいる。また、処方を最小限にとどめ、薬に頼らず患者自身の「眠る力」を引き出していくことにも注力しているという。どのような経緯で睡眠の専門家となり、理想のクリニックをつくるため何を大切にしてきたのか。診療にかける思いを聞いた。

(取材日2021年2月4日)

眠りと心の両面から健康的な暮らしを支える医院

睡眠クリニックとは、どのようなところなのでしょうか?

有吉祐院長 有吉祐睡眠クリニック1

日本にも睡眠医療の専門家による治療を提供する施設はありますが、その多くは大学病院のような大規模医療機関で、当院のようなクリニックはわずかです。さらにその中には呼吸器内科や循環器内科、耳鼻咽喉科などの先生が運営する睡眠クリニックが存在しますが、当院では精神科の医師による、独自の視点を生かした診療を行っています。不眠症や過眠症といった睡眠障害は、うつ症状をはじめとする精神疾患を併発しているケースが多く、「眠り」と「心」の両方のお悩みを解決することがわれわれの役目です。メンタルクリニックの要素を持ち、神経発達症の患者さんのサポートにも注力しておりますので、受診のハードルはそこまで高くないと思いますね。

一度移転したそうですが、内装や設計でこだわった部分はありますか?

患者さんの数が増え、だんだん手狭になってきたこともあり、同じ建物のより広い場所に移ったんです。設備としては、カウンセリングルームのスペースを充実させ、検査のためのベッドも3台に増やしました。院内の構造は受付から左右に通路が延びるような設計にし、片側は睡眠時無呼吸症候群の方、もう片側は主にカウンセリングを必要とする方のための空間にしています。また、照明をわざと暗めにしているのもこだわりの一つ。これは患者さんに落ち着いて過ごしてもらうためという理由のほかに、良質な睡眠において光のコントロールが重要であり、なるべく明るい光を避けたいという意図もあります。

患者さんの主訴や特徴について教えてください。

有吉祐院長 有吉祐睡眠クリニック2

全体的な受診理由は「夜に眠れない」という不眠の症状が一番で、特にご高齢の方に見受けられます。性別でいうと、男性には睡眠時無呼吸症候群の方、女性にはうつや不安障害などの精神疾患に伴って睡眠障害が起きる方が多い傾向にありますね。一方で、少し前から10代の患者さんが急増していることも特徴です。精神疾患と睡眠障害は相互関係にあるため、症状の改善だけでなく、不登校の子どもや休職中の方への支援も大切だと考えています。ほかにも、朝に自力で起きられない起床困難や日中の眠気など、お悩みはさまざまです。当院では専門知識を持つ臨床検査技師による睡眠の精密検査を行うなどして幅広いニーズにお応えしています。

多職種連携によるチーム医療で、患者に笑顔と安心を

10代の患者さんが急増している背景には、どんな問題があるのでしょうか?

有吉祐院長 有吉祐睡眠クリニック3

中高生の間でスマホが普及し、就寝前にブルーライトを長時間浴びるようになったために、体内時計が狂ってしまうことが一因にあると考えています。夜は眠れず、朝は起きられたとしても寝不足状態なので、日中に居眠りをしてしまう子も少なくありません。重症化すると勉強や生活に支障を来し、最終的には不登校になってしまうこともあるのです。不登校の患者さんには神経発達症(発達障害)の方が多く、近年は神経発達症の診断・治療の重要性が見直されつつあります。その影響もあってか、北九州の中でも神経発達症の診療を行う当院に訪れる患者さんは年々増えています。院内には計7人の臨床心理士がおり、常に3~4人が稼働している状態です。私の診察だけでなく、臨床心理士が担当する心理検査も併せて実施し、適切な神経発達症の診断につなげています。

診療にはスタッフの力も欠かせないのですね。

当院の診療は、スタッフの力があってこそ成り立っています。スタッフは計22人おり、職種は看護師、臨床検査技師、臨床心理士、患者さんの生活を支援する精神保健福祉士、受付、事務長と多岐にわたります。医学的な知識はもちろん、専門職としてのアプローチも交えたチーム医療が当院のスタイル。そうしたほうが、1対1で診察する以上のケアができると思うんです。みんなには、患者さんが何か1つでも頑張れたら褒めてあげてほしいと伝えています。指導されたことをすぐに実践できるほど治療は簡単ではありませんので、患者さんの努力を肯定することはとても大切なことです。教育指導においては、接遇スキルの高い心理士に院内講義をお願いしたり、研究発表や勉強会への参加を促したりして、各自に研鑽してもらっています。

診療で心がけていることはありますか?

有吉祐院長 有吉祐睡眠クリニック4

患者さんに笑顔を届けることです。そのためにまずは自身の笑顔をプレゼントし、元気をおすそ分けしています。患者さんの中には睡眠医療の知識を持たず、根拠のない噂や自身の思い込みによって身動きが取れなくなる方もおられます。そんな皆さんに正しい情報を伝え、少しでも安心していただきたいと思っています。また、開業当初は眠れない患者さんを眠れるようにすることが私の仕事と捉えていましたが、時代とともに新たな薬が誕生し、その考えが変わりました。睡眠医学自体の方針も変わり、従来のように薬による強制的な睡眠ではなく、途中で目が覚めたとしても翌日にパフォーマンスが低下しない眠りが重視され始めたのです。今の薬は昔のものよりも依存性が低い分、単体での作用は決して強力とは言えないので、患者さん自身の眠る力を高めることを重視しながら眠りの改善に向けて取り組んでいます。

睡眠に特化した医院として、あらゆる悩みを解決したい

医師を志した理由と、開業までの経緯を伺います。

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祖父母も父も医師という環境で育ったため、自分がほかの職種で生きていく姿を想像できなかったことが理由の一つにあります。美容師になりたいと思っていた時期もあったものの、高校卒業後に一念発起し、毎日15時間勉強して医学部に入りました。精神科で睡眠を専門に選んだのは、眠りの研究が非常に新鮮で魅力的だったから。久留米大学精神神経科の睡眠グループは当時エキスパートぞろいで、普通はお声がけいただいて入るような組織なのにもかかわらず、半ば押しかけるような形でその門を叩きました。勤務医時代の職場は充実していたのですが、一旦研究から離れてしまい、心のどこかに「やり残したことがある」という気持ちを抱えていました。そんな時、タイミング良く父に背中を押されて開業に至った次第です。

勤務医時代にやり残したこととは何ですか?

大学で研究してきた「睡眠」という分野に対し、治療の面でも研究の面でもより深く掘り下げることです。それには自身の手で検査体制を整え、十分に時間をかけて患者さんの眠りを分析し、認知行動療法など睡眠薬以外の治療を提供できる施設をつくる必要がありました。そして、私の手が回らない部分をカバーしてくれるスタッフの存在も不可欠です。勤務医時代の病院でも精神疾患の治療には携わっていましたが、睡眠障害に対してできる治療は限られていました。「もう一度、睡眠医療に特化した診療をしたい」という思いが勝り、久留米大学でお世話になった先生の勧めもあって、少しずつ現在の形にクリニックを進化させていきました。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

有吉祐院長 有吉祐睡眠クリニック6

国内でも睡眠を専門とする施設は希少です。だからこそ、睡眠クリニックとしての誇りを持ち、眠りに関するあらゆるお悩みを解決する姿勢で治療にあたっています。また精神科の医師としても、睡眠障害を併発するリスクが高い精神疾患を抱えた患者さんを、今後きめ細かく診ていかなければならないと考えています。多職種のスタッフをそろえ、睡眠とメンタルを総合的に診療できることが当院の強み。さらに三萩野は交通の便が良く、どのエリアからでも訪れやすい場所にあることも特徴です。誰もが通いやすいクリニックをめざしておりますので、不安なことがありましたらお一人で抱え込まず、ぜひ当院へご相談ください。

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