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矢野 哲郎 院長の独自取材記事

矢野内科クリニック

(松山市/道後温泉駅)

最終更新日:2021/10/12

矢野哲郎院長 矢野内科クリニック main

松山市郊外にある「矢野内科クリニック」。湯山・祝谷をはじめとする奥道後地域のホームドクターとして、子どもから100歳を超える高齢者まで、幅広い患者を診ている。「すべては患者のために」を信条に、地域医療に取り組む院長の矢野哲郎先生は、内科・消化器科のスペシャリスト。特に生活習慣病改善など、暮らしの質をあげることに尽力しており、病気の早期発見のため経鼻胃内視鏡検査などの検査機器も導入している。また、通院が困難になった患者に対しては訪問診療を行い、患者の望む人生の最期を家族、看護や介護の現場と共有する人生会議、“アドバンスケアプランニング”の取り組みにも積極的。今回はそんな矢野院長に、ホームドクターとしての医療方針や、地域における終末期医療への想いなどについて聞いた。

(取材日2019年6月17日)

人を診る、ホームドクターをめざし開業

先生が開業に至った経緯を教えてください。

矢野哲郎院長 矢野内科クリニック1

地元の愛媛大学医学部を卒業後、勤務医として西条中央病院や松山市民病院の内科、消化器科に勤めてきましたが、基幹病院は患者さんの数が多く、自分の専門とする疾患の患者さんを中心に診ることになります。そうなると、どうしても疾患にアプローチする目線になってしまう。でも、同じ疾患でも人により症状は違いますし、適した治療方法も異なってきます。だから次第に「もっと人を診たい。人を全体的に診ることに時間をかけたい」と考えるようになったのが開業の大きなきっかけですね。患者さん一人ひとりの生活にまで寄り添う、地域のホームドクターをめざそうと思いました。

先生が診察にあたり、大切にしていることは?

常に「患者さんのためになるか」という視点で考えること。患者さんに害を与えないことを念頭に置いています。特にポリファーマシー。たくさんの薬を服用することにより、かえって体調が悪くなってしまう可能性もありますから、適切な処方を勧めています。また、クリニックに来ることで不安な気持ちを助長することのないよう、安心していただくためにも話をよく聞くことを大切にしています。検査を受けすぎて神経質になったり、検査結果を気にして不安になったりという方もいらっしゃいますから、一つ一つ丁寧に説明をして、ご納得いただく。やみくもに検査をするのではなく、タイミングや必要性を見極めて、一人ひとりに適切な対応をしていく。やはりクリニックは、安心していただける場所でなくてはなりませんからね。

どのような患者さんが多いですか?

矢野哲郎院長 矢野内科クリニック2

2002年の開院当時に比べると、糖尿病の患者さんが顕著に増えています。糖尿病には大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病があり、2型糖尿病が圧倒的に多いのですが、その原因はカロリーの取りすぎや運動不足、肥満などといわれています。だから糖尿病は生活習慣病の一つに挙げられるわけなのですが、生活習慣が悪いからと叱ったり、指摘が強かったりしてしまうと、患者さんも落ち込んでしまいますよね。治したくて病院に来ているのに、悪いと言われて落ち込んでしまうのでは精神面にも良くないですから、私は「褒めて伸ばす」タイプになろうと。どうしても注意しなくてはいけない場面はありますが、良いところを見つけて、そこを伸ばして良い方向に持っていけるようにしています。誰でも叱られるより褒められたほうがうれしいですしね。何より治療に前向きになってもらうことが一番です。

先端の検査機器を導入し、患者の心身の負担軽減を

生活習慣病の患者さんに対しては、どのようなアドバイスをされていますか?

矢野哲郎院長 矢野内科クリニック3

患者さんには「生活の中でできることをしてくださいね」とお話ししています。例えば階段を使うとか、できるだけ歩くとか。暮らしに無理なく取り入れられる動きを取り入れてもらうなどです。かといって、歩くことによって膝を痛めてしまう恐れもあるので、患者さん全体をしっかりと診て、膝が悪い方は先に膝の治療をしてから運動を勧めるようにしています。この地域は農家さんも多いのですが、農作業は体を動かすことが多いので、運動はもう十分にできていることになります。生活習慣病には、このように皆さんの生活背景を理解した上でのアドバイスが求められます。開業医になり、患者さんの職業やどんなライフスタイルを送っているかなどはより考えるようになりましたね。

患者の負担を軽くするために検査にも力を入れていらっしゃるそうですね。

検査機器も年々進化していて、それを知っているのに使わないのは医師として罪だと思います。ですから、新たな検査機器が登場したという情報をキャッチしたら、積極的に取り入れるようにしています。例えば血液検査に関しても、血球測定に加え炎症や感染症の早期診断に有用なCRPを測定する機器も取り入れ、あらゆる可能性にスピーディーに対応できるよう備えています。検査をして結果が返ってくるまでに時間がかかるのは患者さんにとっても負担になりますし、不安な気持ちが続くのも嫌ですよね。当院をかかりつけとして通ってくださっている地域の方には、院内である程度の検査を受けられる環境を整えてあげたいと考えています。

消化器の専門家として、経鼻胃内視鏡検査にも尽力されているとうかがいました。

矢野哲郎院長 矢野内科クリニック4

消化器の病気を早期発見・早期治療するために避けては通れない内視鏡検査。しかし、内視鏡検査は「気持ち悪くなりそう」「怖い」「痛い」というマイナスのイメージが強く、敬遠されがちでした。そんな内視鏡検査のハードルを下げたい。だからこそ、私は鼻からカメラを挿入する経鼻胃内視鏡検査が可能になった時、すぐに導入を決めました。当時、経鼻胃内視鏡の検査機器を取り入れているクリニックはまだ少なかったと思います。経鼻胃内視鏡検査も年々進化しており、現在のカメラは一般的なボールペンよりも細いカメラで、挿入時の患者さんへの負担も少なく、それでいて口からの内視鏡検査と遜色ない画像を実現しています。

患者の意思を尊重し、最期を迎える終末期医療・ケアを

高齢者に対しての取り組みに関してお聞かせください。

矢野哲郎院長 矢野内科クリニック5

当院のある地域は高齢者が多く、また土地柄、車がないと生活が不便な面もあります。ですから、高齢になると、車の運転ができなくなったり、足腰が弱くなったりで通院が難しくなってきます。当院では、そんなかかりつけとして通ってくださっている患者さんが通院が困難になった場合などに、ご希望に応じて訪問診療を行っています。最近は特に高齢者の運転が問題になっていますから、訪問診療の必要性も今後ますます高まってくると思います。また、遠くに引っ越すため当院に通えなくなった患者さんには、訪問診療の先生を紹介したり、その方の引越し先のエリアで信頼のおける先生に依頼したりと、できる限りのフォローはさせていただいています。

患者さんとの印象的なエピソードはありますか?

95歳の患者さんが具合が悪いというので往診し病院を紹介し入院しました。心筋梗塞でした。数週間の入院後、もう少し入院をしたほうがいいのだけれど、ご本人は帰りたいと。それで退院をして、「何かあったらすぐに呼んでくださいね」とご家族にはお伝えしていたんですが、退院の翌日に急変し、救急車で運ばれてしまいました。残念なことに病院でそのまま息を引き取りました。患者さんには住み慣れた自宅で最期を迎えたいという思いがあったのに、それをかなえられなかったことに対して「もっとうまく患者さんの意思をご家族にお伝えできていれば良かった」と大きな心残りがありました。この経験から、より患者さんが望む最期を実現する、一人ひとりの想いに寄り添った看取りを意識するようになりました。

読者の方へメッセージをお願いします。

矢野哲郎院長 矢野内科クリニック6

当院は田舎にありますが、地域の患者さんに少しでも有益な医療を提供するために、医療技術や知識のアップデートを常にやっていかなければと思っています。そして、この超高齢社会において今後の必要性として感じているのは、患者さんが望む、人生の最期を迎えるためのサポート。先ほども申し上げましたが、患者さんがどこで、どんなふうに最期を迎えることを望んでいるのか、私たち医療者だけでなく、ご家族、介護担当者などご本人に関わる人々が人生会議とも呼ばれる“アドバンスケアプランニング”を行い、その意思を共有、尊重した上での治療を行う。最期の看取りまでをしっかりとつとめることが、医師としての使命だと感じています。そして、お子さんから高齢者の方まで「まずは矢野内科クリニックに行ってみよう」と思っていただけるような存在をめざしていきたいと思っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

人間ドック(大腸内視鏡検査を含まない場合)/3万5000円
人間ドック(大腸内視鏡検査含む場合)/4万5000円
※すべて税込です。
※詳細はお問い合わせください。

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