症状の核心を掘り下げて
薬に依存しない心療内科診療を
信愛クリニック
(鎌倉市/大船駅)
最終更新日:2021/02/08


- 保険診療
世代を超えて大きな変化にさらされる時代、職場や学校、家庭内で受けるストレスが、精神的、身体的症状となって表れるケースが増えている。器質的問題によらないこうした症状を診る心療内科では、そのニーズの高まりとともに薬への依存や再発、治療の長期化などの問題も発生。症状の根本に迫る包括的診療の必要性が叫ばれている。鎌倉市大船で内科と心療内科の診療を行う「信愛クリニック」の井出広幸院長は、「問題の核心に迫れば薬に頼らない治療は可能だと考えます。治療を通して自身の本質と向き合うことで、大きな成長も得られるはずなのです」と語る。いまだ受診ハードルを高く感じる向きも多い心療内科の診療についての概要と、同院のめざす医療について詳しく解説してもらった。(取材日2021年1月8日)
目次
自分自身と向き合い、受け入れるためのサポートを提供するのが心療内科と考えて
- Qどのような症状が出たときにどのような病気が考えられますか。
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A
▲悩みを相談することが新しい自分との出会いである
うつ病や双極性障害(躁うつ病)といった精神疾患では、落ち込みや意欲低下などの心の症状から睡眠障害や食欲低下、頭痛・腹痛などの体の症状まで、多種多様な症状が表れます。そんな中、受診につながるきっかけとして多いのが、社会的行動に支障を来すこと。学校に行けない、会社に行けない、電車に乗れないなど、日常生活を送ることが難しくなって初めて相談にいらっしゃるケースが多いのです。多少の不調であれば友人や家族に相談して良い方向に向かうこともありますが、すでにその段階を超えていらっしゃるのです。当院では、心療内科受診を決めて来院された時点ですでに軽いことではないという認識に基づいて診療しています。
- Qこちらの心療内科の特徴について教えてください。
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A
▲白を基調とした広々とした診察室
内科診療を並行して体に器質的問題がないことを確認すると同時に、丁寧な問診で「なぜ?」を掘り下げ、症状の核心にある原因を見抜くことをめざした診療を行っています。掘り下げると幼少期の親子関係や長年の夫婦関係、学校や職場での人間関係からトラウマを抱えて自己表現を抑圧してしまっているなど、何らかの核心が見つかるのです。核心を見抜くことで、薬に頼らない治療が可能になると考えます。感情表現を訓練したり、周囲との関わり方を指導したりといった方法です。鉄分や亜鉛、糖分などの栄養素が正しく摂取されていないことが関連していると考えられるケースも多く、栄養指導やサプリメントのアドバイスを行うこともあります。
- Q薬に依存しないことのメリットについて教えてください。
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A
▲丁寧なカウンセリングで話を聞いてくれる
抗精神病薬や抗うつ薬、気分安定薬などで症状緩和を図ることは有用であり、当院でもこうした薬を処方しています。しかし副作用の問題もありますし、患者さん自身が薬に対し違和感を持ち、依存しすぎないこともまた大切だと考えています。薬に過度の期待をせず、あくまで症状軽減のための手助けになるものとして上手に使ってほしいのです。治療の本質は症状の原因を探り、問題を取り除くこと。原因を残したまま薬で症状のみを抑えたとしても、いつか再発してしまうでしょう。問診やカウンセリングで患者さんの心に迫ってこそ、再発のない治療が可能になると考えています。当院では受診される方の2〜3割に薬を使わない治療を実践しています。
- Q受診の際はどのような流れで治療が進んでいくのでしょうか。
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A
▲安心して相談のできる環境である
当院は予約制ですが、通常お電話いただいてから1週間以内の予約をお取りできる体制を整えています。ご予約の日時に来院したら、まずは看護師かカウンセラー、勉強中のドクターなどがお話をお聞きします。長年の診療で改良を重ねた独自のフォーマットがあり、これに従ってやりとりすることで、症状などについての十分な情報が得られるようにしています。その後、医師の診察と採血による検査を受けていただきます。希望者にはカウンセリングのご提供も可能です。初診時はどうしても時間をかける必要がありますが、再診ではカウンセラーとの連携で情報を共有しながら進めていきます。
- Q治療の中で先生やクリニックが大切にしていることは?
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A
▲資料もあり、わかりやすい説明をしてくれ安心ができる
いまだ受診ハードルの高い心療内科を受診されるということは、よほどのつらさを抱えていらっしゃる。当院ではこれを「よほどの法則」として、診療の軸として大切にしています。心の内にあることを言葉にすることは難しくとも、医院にいらした時点でよほどのつらさを抱えていらっしゃるという認識で向き合うのが当院の方針。患者さんそれぞれをあるがまま受け止め、決して否定、非難することなく、寄り添い、支える診療を心がけています。これは院長の私に限らず、当院のスタッフ全員が共有している心がけです。また、患者さんが病院に赴き、医師に相談してみようと思えた時点で、良い方向へ大きな一歩を踏み出せていると考えています。