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上床 邦彦 院長の独自取材記事

うわとこクリニック

(名古屋市北区/森下駅)

最終更新日:2023/05/12

上床邦彦院長 うわとこクリニック main

名古屋市北区・大曽根の商店街の外れにあり、淡いピンクの外観が目印の「うわとこクリニック」。先代だった父の後を継いだ上床邦彦院長が、呼吸器内科、内科、小児科を診療。認知症の治療や在宅医療にも積極的に取り組むなど、小さな子どもから高齢者まで、広く近隣住民の健康をサポートしている。院内に入れば雑誌や絵本が置かれた明るい雰囲気の待合室があり、色鮮やかな熱帯魚が泳ぐ水槽に目が止まる。自然が好きという院長が、クリニックを訪れる子どもたちのためにと設置していて、来院した患者の緊張を和らげている。患者に向ける優しいまなざしが印象的な上床邦彦院長に、クリニックでの診療方針や在宅医療にかける思いなど話を聞いた。

(取材日2016年6月16日/更新日2023年5月8日)

先代の後を継ぎ、地域の健康を守る「かかりつけ医」に

淡いピンクの外観が印象的ですね。

上床邦彦院長 うわとこクリニック1

私が開業した当時は、病院は暗いイメージがありましたので、その暗さを払拭したいと思い、ピンクの外観や白を基調とした内装で、明るい雰囲気にしました。待合室には私の趣味で熱帯魚の水槽を置いているのですが、来院したお子さんが、水槽にへばりついて見ていることもありますよ。そのような光景を見かけると、待合室でリラックスしてもらえているのかなと思いますね。

院長が2代目になるんですね。

同院は、先代院長である私の父が1962年頃に、この場所で開業をしました。私も幼い頃から住んでいたので、この地域には愛着があります。その後、父の体調が良くなくなったときに、自分の好きなことだけをやっていてはいけないという気持ちに自然となり、父のクリニックを受け継ぐことを決意しました。

医師を志したのは先代の影響ですか?

今思うと、開業医だった父の背中を見て育ったことが大きかったと思います。父が開業した当初は、大曽根周辺はまだ町の整備が進んでおらず、診療所も周りにほとんどなかったので、父は働き詰めで、いつもぐったりしていました。でも、父の働く姿を見て、困ったときに近隣の方から頼ってもらえる「地域のかかりつけ医」という仕事に魅力を感じていました。また、年上の従兄弟が新設されたばかりの愛知医科大学に通っていたので、その話を聞いて学生生活に憧れ、私も愛知医科大学医学部への進学を決意しました。また、将来的には内科、小児科をやっていきたいと思っていましたが、まずは幅広い科目を学んだほうがいいという気持ちがありまして、大学を出てまずは外科を専攻しました。その後、愛知県内の病院に勤務しながら、心臓や肺を専門とする外科、呼吸器内科などで知識と経験を積み、2000年に父の後を継ぎました。

クリニックにはどんな患者さんが多いですか?

上床邦彦院長 うわとこクリニック2

内科、小児科がありますので、お子さんから高齢の方まで、近隣の方を中心にいろんな方が来院されます。また、私は呼吸器を専門としていますので、喘息の方やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、花粉症などアレルギー性疾患の方も多く来院されます。COPDの場合は禁煙をして治療に取り組む必要があり、禁煙治療にも力を入れています。ここ数年は在宅医療を積極的に行っていまして、認知症の相談件数も増えていますね。認知症は社会問題にもなっていますのでなるべくサポートしていきたいと思っています。

病院で治す医療から、地域で支える医療へ

診療のモットーを教えてください。

上床邦彦院長 うわとこクリニック3

独り善がりの医療にならないことです。医師として治療方針はもちろん大切ですが、医療関係者やリハビリの専門職など、いろいろな方の意見を聞きながら、連携を持って医療を行うことが重要だと考えています。病院勤務の時は、一人の患者さんの治療について、病院の中で症例検討会などを設けてみんなで話し合いをしながら診ることができますが、開業をするとそういう機会はなくなり、経験も積んでいますので、独り善がりになる危険性があります。ですから、同じ北区の医師会の先生と意見交換をしたり、地域の総合病院と連携をとりながら治療にあたっています。地域の診療所と総合病院との病診連携はとても大切ですので、普段から病院が主催する勉強会などにはなるべく参加して、顔が見える関係を維持できるように心がけています。

在宅医療や認知症治療に力を入れるようになったのはなぜですか?

開業して20年ほどたちましたが、北区周辺もすごい勢いで高齢化しています。うちの父が開業していた時からの患者さんが少しずつ通院するのが難しくなって、往診に行くことも増えていましたが、訪問診療をする医師が足らないという課題がありましたので、当院では10年ほど前から在宅医療を積極的に行うようになりました。今までは、病気になったら病院に行って治すという医療が行われてきましたが、これからは在宅をベースとした支える医療が求められています。私たちのような地域の医師が支える医療を担っていくことは重要な役割です。また、認知症を知らずして高齢者を診ることはできませんので、認知症専門の先生や役所の方とも情報共有しながら、診察や治療を行っています。認知症であっても、家族と一緒に地域の中でその人らしく暮らしていけるようお手伝いしていきたいと思っています。

在宅医療の現状とやりがいを教えてください。

上床邦彦院長 うわとこクリニック4

在宅医療は患者さんの生活の中に入っていくことになるので、ご本人や家族、そして看護、介護などサポートをしてくれる人との連携がとても大切です。訪問看護師さんやケアマネジャーさんと連絡を取り合いながら、また、病院の先生とカンファレンスを持ちながら在宅医療にあたっています。現在は、名古屋市医師会が患者さんの情報を他職種の間で共有するためのツールを立ち上げていますので、そういったものも活用していければいいですね。訪問した際、寝たきりで言葉を発することのない患者さんでも、あるときふっと手を握ってくれたりすることがあるんです。そんなときはやりがいを感じられますね。

食事や生活習慣を整えるのが健康に暮らす秘訣

禁煙治療はどんなことを行いますか?

上床邦彦院長 うわとこクリニック5

禁煙治療はさまざまな手法があり、一筋縄ではいかないことが多いですね。最近は内服薬を用いる治療が話題になっていますが、当院でも内服薬を用いた禁煙治療に力を入れています。ただし、内服薬は吐き気など副作用が出てしまう方もいますので、そういう場合は従来からあるニコチンパッチなどを使うこともあります。禁煙治療はただ薬を処方すればいいというものではありませんので、なぜタバコがやめられないのか、禁煙を続けられないのか、一緒にじっくり話し合いながらトライをしています。

先生自身は健康のためにやっていることはありますか?

昔はテニスをやっていましたが、腰を悪くしてからは仕事に支障があるので控えています。今はジムに週2回ほど通っていますね。自然の中を歩くのも好きなので、講演などで地方に行ったときはよくウォーキングをしています。特に熱帯雨林を歩くのが趣味で、東南アジアやシンガポールなどに行きました。街中で生活をしていると仕事に追われてしまって、自分が自然の中で生かされているということを忘れてしまいますよね。そういうときに熱帯雨林で大自然を感じると、生きている実感が湧いてきます。次は屋久島に行きたいと思っています。南米のほうにも行ってみたいという夢がありますが、今はなかなか時間が取れないですね。

最後に読者にメッセージをお願いします。

上床邦彦院長 うわとこクリニック6

当院には咳が止まらないといって来院される方が多くいます。多くは感染後遷延性慢性咳嗽(かんせんごせんえんせいまんせいがいそう)といって、風邪の後に長引く咳の症状で、時間が経過すれば治りますが、中には咳喘息やアレルギーが原因の場合もありますので、咳が出ているだけだから大丈夫と思わず、専門の医師にかかるといいですね。また、高齢になると認知症や運動器が衰えるロコモティブ症候群など、さまざまな問題が出てきます。そうすると、どうしても要介護で寝たきりになってしまいます。若いうちから食事や生活習慣を整えることが予防につながりますので、健康的な生活を心がけてほしいと思います。

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