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寺田 恭子 院長の独自取材記事

星ヶ丘メンタルクリニック

(名古屋市千種区/星ヶ丘駅)

最終更新日:2020/04/01

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地下鉄東山線・星ヶ丘駅から程近い場所に位置する「星ヶ丘メンタルクリニック」。クリニック周辺が多くの大学や高校が集まる文教地区であること、市の中心部からのアクセスも良好であることから、患者層はビジネスマンから高齢者、学生と幅広い。笑顔が印象的で、根っからのポジティブと話す寺田恭子院長は、医師となってから現在まで、ひたすらに精神疾患の治療と向き合ってきたドクターだ。診療を通して多くの患者と向き合ってきた、臨床医としての経験はもちろん、向精神薬研究に携わってきた研究者としての経験も、現在の診療に生かされているという。そんな寺田院長に医師をめざした理由や患者の主訴、診療のこだわりなど詳しく聞いた。
(取材日2017年8月9日)

精神科の医師として、“町の中”で患者を診る

医師をめざした理由、また精神科を選んだ理由をお聞かせください。

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祖父が歯科医師で、父が麻酔科の医師だったので、その影響で私も医師を志すことを決めました。大学を卒業後、医局に入局した時から精神科を専門にやってきましたね。私が医師になった当時、精神病院はたくさんある反面、メンタルクリニックはほとんどなかったんです。そんな時、教授が口にした「精神科はこれから、病院ではなく町の中の診療所で、患者さんの心の病や悩みを聞くようになる」という、精神科の今後を予見する言葉をきっかけに、精神科という領域に興味を持つようになりました。当時は女性の精神科の医師がすごく少なかったこともあって、勧められたことも影響しましたね。もちろん、精神科の医師としての仕事にも魅力を感じていました。

先生の感じた魅力とは何だったのでしょうか?

当時はちょうど薬理学が進歩していき、新しい薬がたくさん出ている頃で、薬で精神疾患が治るようになってきていたんです。この移り変わりもあって、教授が話していたように、病院だけでなく診療所でも治療が受けられるようにクリニックを開設していきましょうと、社会的な変化が見られるようになりました。また私の母校が精神薬理学について専門的に研究をしていたため、私自身も「抗うつ薬がどのように効くか」といった研究をしていたんです。精神薬の発展によって、「精神疾患は治らない」という先入観のあった時代から、精神疾患は治療ができ、社会復帰の道が開ける時代へ進んでいく、その変化も医師として大きな魅力に感じ、めざす原動力にもなりましたね。

開院までのご経歴を簡単にご説明いただけますか?

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医師となってからは、大学の付属病院や、名古屋市立東市民病院(現・名古屋市立東部医療センター)といった地域医療の中核を担う現場で経験を積み、愛媛県の新居浜精神病院という、約600床という大規模な精神科病院でも多くの研鑽を積ませていただきました。母校にも近い桶狭間病院で勤務し始めてからは、昼間は診療、夜は大学で実験と、臨床と研究の両方に取り組むように。その後、母校に戻ってからは研究室で研究に励みつつ、学生たちの授業も受け持っていました。研究者としての経験は、患者さんへの薬の説明などの場面で役に立っていると感じますね。トヨタ記念病院では精神科副科部長を務めていました。外来や入院の患者さんを診るだけでなく、入院中の他の科の患者さんの、眠れないなどの悩みを抱えている患者さんのケアにも携わっていました。振り返ると、精神科の医師として本当に多くの経験を積むことができたと感じています。

患者のさまざまな声に耳を傾け、その背中を支える

患者層や悩みで多いものについて教えてください。

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一番多い相談は不眠で、続いてイライラ、憂うつ、不安といったところです。女性医師のクリニックだと、他院では女性の患者さんの割合が9割程度と、極端に多くなる傾向にあるそうなので、当院は男性の患者さんも3~4割なので、比較的男性も多い方だと思います。男女ともに年齢層は幅広いですが、男性の場合はビジネスマンの方が多いです。通い続けている患者さんだと30~50代、初診の場合は20~40代が中心ですね。年代別に理由が違って、10代の学生さんは勉強や人間関係、20代の患者さんは就職活動の悩みや、社会に出て仕事に追われる生活での悩み、30代以降は会社での役職など社会的立場に関する悩みが原因ということが多く、50代後半以降だとリストラなどに関するものもあるため、退職後も引き続き診療に通っている方もいらっしゃいます。

女性の患者さんの場合はいかがでしょうか?

主婦の方が中心で、子どもの夜泣きなど子育ての悩みや教育問題、子育てと仕事の両立などの悩みが多いと感じています。学校のPTA活動や地域役員の悩みもありますね。子育て中の女性は家事・育児・仕事と、家の外でも中でも忙しく、それぞれの立場での人間関係があります。しかも今の時代、気軽に誰にでも相談できるわけではないこともあって、皆さん孤独を抱えているんです。昔は井戸端会議がありましたが、今はそういう場もなかなかありません。でもそれならここへ、井戸端会議をしに来てほしいと思います。どんな方にも当てはまることですが、孤独の中で悩みや不安を抱え、症状が重くなってしまう前に、気軽にお話をするために、ここへ来ていただけたらと思っています。

診療ではどのようなことを心がけていますか?

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患者さんが話し始めやすいように、こちらから質問をする以外は、なるべく私からお話しすることは控えています。そして患者さんが話し始めたら、ひたすら耳を傾けるよう心がけています。気になったところがあったら、お話が一段落した後にまとめて確認するようにしています。あとは笑顔でいることでしょうか。私の性格もあると思いますが、診察中も明るい様子かもしれません。以前スタッフから「先生の笑い声が待合室まで聞こえてくる」と言われたことがあったんですよ。診察では、時期をきちんと見極めて、あえて「頑張ってね」と口にすることもあります。これには、「頑張って、もし耐えられなくなったら、いつでもここへ来てね」という意味を込めています。初診以外は予約制をとっていないのも、いつでも足を運べるクリニックでありたいと思うからこそなんです。

患者との対話から、本当に必要な薬が見えてくる

治療で心がけていることは何でしょうか?

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お薬をできる限り少なめにすることと、お薬を出す理由をきちんと説明することは欠かせませんね。患者さんのお話の中で、症状に関する情報をピックアップしていき、「この症状を改善するためにこれを飲みましょう」といったように、症状とお薬を結びつける説明を心がけています。患者さんが1000人いたら1000通りの処方があって、同じ処方の方はいません。必ずしも短い時間で見出せるものではないので、「あなたの処方箋を作りましょう。時間がかかってしまうかもしれませんが、ゆっくりやっていきましょうね」とお話しています。

患者さんとのお付き合いも長きにわたるものなのでしょうね。

そうですね。でも私は初診という、その患者さんの一番状態が悪い時を見ているわけです。診療を通して状態が良くなっていくと、患者さんは本当に見違えるように変わっていくんです。そうやって患者さんが良くなっていくのを目にできることがやりがいになっていますし、エネルギー源になっていますね。また当院でも、ふた月に1人程度の割合で重症の患者さんを診ることがあります。その場合、提携する入院施設を備えた病院へのご紹介もしています。病院のドクターの方々との連携も欠かせませんね。積極的にお話しする機会を作るようにしていますし、研究会や勉強会も、なかなかお会いできない先生との顔合わせの機会にしています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

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介護うつや認知症、職場復帰のリワーク、中高生の不登校など、精神疾患と関連する社会的な課題は、時代とともに変化しています。勉強会や研究会ではそういった課題を学び議論するだけでなく、病院の先生はもちろん、区役所の民生福祉課の方、ケアマネジャー、訪問看護ステーションの方などとお話することもあります。そういった地域の介護や福祉に関わる人たちとも連携を取りながら患者さんのサポートにつなげています。今後は地域の方に向けて話しする機会なども設けていきたいですね。繰り返しになりますが、心の感じている重みが、抱えきれないものになってしまう前に、クリニックへ来てもらえたらと思います。どんな些細なことでもいいですので、ちょっとした不安や悩みがあって話を聞いてもらいたいと思ったら、気軽にお越しください。

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