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早坂 美都 院長の独自取材記事

美都デンタルクリニック

(世田谷区/下北沢駅)

最終更新日:2024/04/15

早坂美都院長 美都デンタルクリニック main

「美都デンタルクリニック」は、京王井の頭線下北沢駅西口からすぐの場所にある。院長の早坂美都先生は、医療系の専門誌にも口腔ケアについてまとめたものを寄稿するなど、情報発信に精力的だ。趣味も多く、歌舞伎や美術鑑賞のほか、北アルプスの縦走やキリマンジャロなど本格的な登山も行う。登山と同時期に始めた写真撮影では、賞を取るほどの腕前だ。院内には先生が撮影した写真や、美術好きならではのセンスの光るアートが飾られ、リラックスできる環境が用意されている。「歯科医院は削って詰めて終わりではなく、そこからがスタートです」という早坂院長の言葉どおり、メンテナンスの患者が8割という同院。口腔ケアの重要性や、早坂院長が最近の患者を診ていて気になるという食いしばりなどについて、話を聞いた。

(取材日2024年3月5日)

患者の話を丁寧に聞いて、できる限り力になる

どういった患者さんがいらっしゃいますか?

早坂美都院長 美都デンタルクリニック1

1歳未満のお子さまから、90歳を超える方まで幅広い年代の方がいらっしゃいます。下北沢に開業して22年以上がたち、親子3代で受診してくださる患者さんも増えました。当クリニックの患者さんは、約8割がメンテナンスの方です。予防歯科の重要性をしっかり伝えているからこそ、継続してメンテナンスに通っていただけるのだと思います。さまざまな年代の方が通えるよう、キッズルームも別室にしました。たまたま空いている部屋があったので、そこを利用しましたが、結果的にお子さま連れの方も、そうでない方も双方に居心地の良い空間をつくれたと思います。私自身、開業した当時は子どもが生まれたばかりだったので、そうした経験もクリニック運営に生かしています。

治療の中で心がけていることはありますか?

口の中の状態について、一人ひとりに丁寧に説明するようにしています。ご自身では見えない部分なので、どうなっているのか不安に思われる方も少なくありません。ですから、実際の口の中の様子をモニターで見ていただき、なるべく簡単な言葉で説明するようにしています。その上で患者さんの本当の希望を引き出せるように、じっくりと話を伺います。患者さんが歯科治療に求めているレベルは千差万別。痛みをすぐになんとかしてほしいという方から、時間はかかっても悪い所を全部治したいという方までさまざまです。そういった患者さんの希望を丁寧に聞いた上で、できる限り力になりたいと思っています。

予防に力を入れているとお聞きしました。

早坂美都院長 美都デンタルクリニック2

予防の重要性については、開院当初から折にふれて声をかけてきました。「歯垢は歯周病菌の塊で、台所のシンクのぬるぬると同じようなもの。それが固まって取れなくなってしまったのが歯石です」「虫歯や歯周病になってからの治療費よりも、こまめなメンテナンスの費用のほうが負担は軽いです」といったことを、丁寧にお話ししてきたことが患者さんに伝わっていると感じます。初診の段階からこのようなお話をすると引かれてしまうことも多いので、話すタイミングを見計らうことも大事ですね。口腔内の健康と糖尿病には深い関連性があるなど、全身疾患との関わりも明らかになっているので、生活習慣病の悪化防止のためにも、今後も予防の大切さを呼びかけていきます。

口の中に関心を持つことは、自分の体に関心を持つこと

生活習慣病と口の中の健康は関係しているのですか?

早坂美都院長 美都デンタルクリニック3

はい。口の中には歯周病菌や虫歯の原因となるミュータンス菌といった、たくさんの細菌がいるんですが、これらが血液の流れに乗って全身に回ると、さまざまな病気の遠因となったり、生活習慣病を悪化させたりしてしまうんです。最悪、それが原因で心臓や血管の危険な病気を発症することもあります。また全身麻酔が必要な手術を受ける方も、口腔内の環境には注意しなければいけません。全身麻酔のために気管へ挿管したチューブから口の中の細菌が肺へ入ってしまって、合併症を引き起こすといった危険があるからです。このように口の中の健康は、全身の健康とつながっているんです。

予防の上で大切なことをお聞かせください。

やはり毎日の歯磨きですね。そのため歯科検診では、歯磨きの指導も丁寧にさせていただいています。歯磨きをきちんとされている方でも、どうしても磨ききれない部分は出てしまうんです。例えば、利き手側は磨きづらいため、虫歯になりやすいんですね。そうした苦手な部分を見つけ、それに合った磨き方をアドバイスしています。歯磨きを嫌がるお子さんには、実際にご自宅で使っている歯ブラシを持ってきてもらい、普段の磨き方をチェックします。磨き方が良い方向へ変われば、口内環境にも良い影響が出てくると思います。口の中に関心を持つことは、自分の体に関心を持つこと。歯のことをきっかけに、ご自身の体に気を配っていただけるようになるとうれしいですね。

感染症対策にも、より一層取り組まれているとか。

早坂美都院長 美都デンタルクリニック4

そうですね。新型コロナウイルス感染症の流行で飛沫感染が危惧されるようになってすぐに、口腔外バキュームを導入しました。口腔外バキュームとは、治療時に口の外に飛ぶ水滴や唾液、金属の細かい破片などを吸い込む機械です。もともと診察台は個室のような配置になっているので、飛沫感染は心配ないのですが、患者さんにより安心してもらえるならと入れました。口腔外バキューム自体は昔からあるものですが、内科や循環器科の医師が見学に来るなどし、感染症対策に医療現場が敏感になっていることを感じましたね。その他、感染症に詳しい医師にクリニックの動線を見ていただき、対策が間違っていないか確認してもらうなど、患者さんが安心して通えるクリニックになるよう心を砕きました。

患者と二人三脚で地域に根差した歯科治療を

印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか?

早坂美都院長 美都デンタルクリニック5

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていたさなかでは、10年来通院いただいている患者さんに励まされたことが印象に残っていますね。その患者さんは、感染症が心配だからこそ通院したいとおっしゃってくださったのです。それまで休診すべきか迷いがありましたが、こういう時こそ歯科医師として正しい情報をお伝えしなければと、診療を続ける決意をしました。私の背中を押してくださった患者さんの一言は忘れられません。以降、患者さんには正しい手洗いと口腔ケアについて歯科衛生士の実演を交えながら説明し、詳しい資料を印刷して手渡しするなど、情報提供に注力してきました。

最近の患者さんの症状で気になるものはありますか?

「食いしばり」です。スマホを見る姿勢などによって、無意識に食いしばりを起こしている方が多くいらっしゃいます。24時間のうち、上下の歯が接触している時間は食事や会話を合わせても15~20分程度です。しかし、近年スマホやパソコンの普及によって、その時間を超過している方が増えてきました。患者さんに食いしばりを問うと、自覚がない方がほとんどですが、頬の内側に痕があったり、舌の近縁に歯型がついていたりと、食いしばりの形跡があります。食いしばりを続けると、詰め物やかぶせ物が取れやすくなるだけでなく、顎関節や歯並びにも影響し、悪い場合は歯が折れてしまうこともあるのです。食いしばりの防止のためには意識することしかないので、食いしばりが認められる患者さんには注意を促していきたいと思っています。

では最後に、今後の目標を教えてください。

早坂美都院長 美都デンタルクリニック6

健康意識が高い方が増え、虫歯の患者さんも減ってきました。口の環境が全身の健康に影響することをご存じの方も多くなってきたと思います。しかし、情報があふれている現代なので、中にはちょっとずれた認識をしている方も。そうした認識の違いを情報発信によって補正していきたいですね。歯周病が認知症と関連しているとか、がん治療をされている方にも口腔ケアが重要だとか、そういった情報を正しく伝えて、患者さんの全身の健康にも貢献することが歯科医師の役割だと思っています。

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