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弓倉 威己 院長、笹森 智絵 副院長の独自取材記事

弓倉歯科医院

(大阪市此花区/千鳥橋駅)

最終更新日:2023/10/18

弓倉威己院長、笹森智絵副院長 弓倉歯科医院 main

阪神なんば線千鳥橋駅より徒歩7分ほど。此花区の住宅街にあるのが「弓倉歯科医院」だ。同院は弓倉威己院長の母親が開業して以来、70年もの歴史がある。弓倉院長自身、既に50年近いキャリアとなり、一緒に診療を行う娘の笹森智絵副院長も勤務を始めて20年と、3世代で地域の歯科医療を支えている。できる限り患者の歯を残すように尽力する弓倉院長。学生時代に自身の歯の根管治療を経験し、歯を残すことの大切さに気づいたという。「根管治療の際にラバーダムを使って感染を防ぐなど、基本的な処置をしっかり行えば歯を残すことにつながります」と話す。笹森副院長は、障害のある人への診療経験も積み、歯科を怖がる患者にもしっかりと対応できるようになったと話す。親子で診療にあたる2人に、同院の歩みから今後の展望まで話を聞いた。

(取材日2022年7月25日)

3世代にわたり地域の歯科医療を支える

開業の経緯を教えてください。

弓倉威己院長、笹森智絵副院長 弓倉歯科医院1

【弓倉院長】私の母が「弓倉歯科医院」を開業しました。母はもともと和歌山県で歯科医院を開業していましたが、災害の影響で大阪に出てきまして。すぐ近くの交差点の向こう側で開業した後、現在の場所に移転したのです。かつて此花区は大阪有数の工業地帯で、駅前の商店街もにぎわっていましたね。私は大学を卒業後、先輩のクリニックでの勤務を経て、当院で診療するようになりました。その傍ら、週に1回は矯正を専門とする先生の所に通い、矯正の勉強をさせていただいたんです。ここで診療を始めてもう50年近くになりますね。院長を引き継いだ後も、母と2人で診療してきました。母は80歳ぐらいまで診療していましたね。

どういった方々が来院されますか。

【弓倉院長】歯科医院が少なかった頃は西淀川のほうからも患者さんが来ていました。母の代から長年通ってくださる患者さんもおられます。そういった方のお子さんやお孫さんなど、数世代にわたってお越しくださるご家族も多いですね。近くの小学校の校医を務めていた時には、子どもたちの顔を見ただけで、「この子は私が治療した患者さんのお子さんだ」とわかったものです(笑)。以前に比べると子どもたちは少なくなってきたかもしれません。かなり前から予防にも力を入れてきましたので、メンテナンスのために通ってくださる患者さんも多いですね。
【笹森副院長】基本的にはご近所の方が多いですね。「○○さんから聞いてきました」など、患者さんの紹介で来られる方も多いんです。

お子さんと接するときに心がけていらっしゃることはありますか。

弓倉威己院長、笹森智絵副院長 弓倉歯科医院2

【笹森副院長】楽しく通ってもらいたいので無理強いはしないようにしています。例えば、いきなり虫歯の治療をするのではなくて、初日はお話だけとか、当院の雰囲気に慣れてもらうことから始めます。そして、できることが一つでも増えたら「今日は頑張ってできたね」と褒めてあげるんです。歯科医院が怖い場所ではないという意識をできるだけ小さいうちから持ってもらいたいですね。
【弓倉院長】子どもは子どもなりに、歯を大切にしようという気持ちを持つのが大切だと思います。もちろん治療もしますが、例えばブラッシング指導をしたり、おやつや食事のことを考えるよう話したりして、歯を大切にする気持ちを子どもにこしらえてあげることが最初に必要だと思います。そのためにお子さんに何日か来てもらい、「きれいに磨けているね」と言葉をかけ、歯がきれいになってうれしいという気持ちが起これば、大変なことがあっても頑張れるのではと思います。

2人の歯科医師がそれぞれの得意分野を生かす

笹森副院長は同院のほかでも診療されているのですね。

弓倉威己院長、笹森智絵副院長 弓倉歯科医院3

【笹森副院長】週に1回は大阪歯科大学附属病院の障がい者歯科に勤務しています。そこには、体の障害や知的障害、精神障害などがあり、一般の歯科医院で対応が難しい患者さんが、子ども、大人に限らず来院されます。大学病院に行くようになって、歯科恐怖症の人がたくさんいることに驚きました。例えば、嘔吐反射がきつい人や、特定の治療器具が苦手な人など、拒否反応が大きく対応が難しい患者さんには麻酔を施すなどして治療にあたっています。当院にも、車いすを利用される方に加え、全身疾患を患う方もおみえになりますが、障害のある方に対しての診療経験はとても役に立っていますね。

弓倉院長は、歯学部生の頃の体験がその後の仕事に大きく影響していると。

【弓倉院長】学校での勉強やクラブ活動が忙しく、歯科学生にもかかわらず大きな虫歯を放置してしまい、大学5年生の時に急性化膿性歯根膜炎を発症してしまいました。処置を受けても、10日ほど顔の半分に耐えがたいほどの痛みを感じました。抜歯が必要な状態でしたが、現在では名誉教授になられた先生が、丁寧に根管治療をしてくださったんです。その経験を通して、歯をできるだけ残すために丁寧に治療することの大切さを学びました。虫歯治療であれば感染した象牙質をきちんと除去する、根管治療の際にはラバーダムというシートを使って感染を防ぐなど、基本的な処置をしっかり行いさえすれば歯を残すことにつながります。近道をせず、遠回りに思えても基本的なことをきちんと行うように心がけていますね。

両先生はどうして歯科医師をめざされたのですか。

弓倉威己院長、笹森智絵副院長 弓倉歯科医院4

【弓倉院長】もちろん歯科医師の母の影響も大きいですが、私自身興味のある分野でした。中高生の頃から生物が好きで生物クラブに入っていたんです。顕微鏡をのぞいたりするのも好きだったので、歯科医師だけでなく獣医学にも関心を持っていましたが、最終的に母と同じ歯科医師の道をめざしました。
【笹森副院長】祖母が歯科医師だった影響が大きいですね。私が高校生ぐらいの頃まで、祖母は現役で働いていまして。「女性でも手に職をつけて長く活躍できる場があるんだ」と感じていたんです。祖母や父から「歯科医師になるように」と言われたことはないのですが、自然と歯科医師をめざすようになっていましたね。

地域とのつながりを大切にし、サポートしていく

毎月、ニュースレターを発行されているそうですね。

弓倉威己院長、笹森智絵副院長 弓倉歯科医院5

【笹森副院長】2021年から発行を始めました。当院では院長と私の2人で診療しますので、患者さんごとの担当医制になっています。私がたまに大学病院やほかの施設に行くことがあり、院長も不在の日があるので、患者さんが困らないように院長と私の在院日を記したカレンダーが載ったニュースレターを作成しています。そこにはコラムも載せているのですが、普段の診療ではお伝えしないような歯に関する雑学的なことを題材にしているんですよ。例を挙げると、梅田に歯神社という神社があることや、歯痛があるときのつぼなどをご紹介しています。そういったことを知ってもらって、歯のことに興味を持ってもらえたらいいなと思っています。

今後の展望についてお聞かせください。

【弓倉院長】ご年配の方々が長く健康を保つためには、歯そのものの治療だけでなく口腔機能の維持を意識することも大切です。口の周りの筋肉や噛む力が低下すると、栄養摂取ができなくなるとともに、誤嚥による肺炎などにもつながりかねません。トレーニングなども取り入れて、患者さんの口腔機能が低下しないようサポートしていきたいですね。
【笹森副院長】さまざまな年齢層の患者さんがいらっしゃいますので、「町の歯医者」としてどんな症例でもオールマイティーに診られる場所でありたいですね。また、幼い頃から定期的に通っていただいている患者さんに、ライフステージに合わせた治療をして差し上げたいとも思っています。その時々に患者さんの置かれた生活環境や経済状況に応じて、柔軟に対応していきたいですね。

読者に向けたメッセージをお願いします。

弓倉威己院長、笹森智絵副院長 弓倉歯科医院6

【笹森副院長】ここに勤め始めて20年ぐらいになるでしょうか。当時幼かったお子さんが今では大人になられています。今後も来てくださる患者さんお一人お一人を、長く診させていただければ幸いです。当院では、定期検診をお知らせするはがきもお出ししているのですが、「ここはちゃんと定期的に診てくれる」と喜んでくださる方も多いんです。
【弓倉院長】患者さんの歯が、良い状態で保たれているのを見るのは喜ばしいことです。長く良い状態を保つためにも、メンテナンスを定期的に受けていただきたいですね。地域の皆さんと長くお付き合いできる歯科医院をめざしたいと思っていますので、何でも気軽にご相談ください。

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