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日野 完夫 先生の独自取材記事

日野歯科ナンバ診療所

(大阪市浪速区/難波駅)

最終更新日:2019/08/28

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大阪ミナミの繁華街なんば中心部にあるビルの3階。目立つ看板などは出さず落ち着いた雰囲気を漂わせる「日野歯科ナンバ診療所」。アクセス便利な立地で遠隔地からも長年通う患者を大切にし、静かに営んでいる。待合室は花柄の壁紙や1人がけの肘つきソファー、そしてクラシックのBGMなどまるで格式あるホテルのロビーのようだ。日野完夫(ひの・さだお)先生は優しく穏やかで上品な印象の先生。院内のつくりは1960年代後半の開業当初からほとんど変わらず、当時は珍しかった予約制診療やプライバシーに配慮した診察室などをいち早く導入していた。「患者さんと時間をかけて向き合い、信頼関係をつくることが大切」と話す日野先生に、診療スタンスや歯科医師としての思いをじっくり聞いた。
(取材日2018年7月26日)

ゆったり受診できる医院をめざし開業

開業されて約60年とお聞きしました。

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はい。父も歯科医師で、戦前から大阪市で開業していたのですが空襲で焼失し、戦後は企業の診療所に勤務していました。兄2人と私が歯科医師になって堺市で開業しているときに父の関係先から物件をご紹介いただいて、私はここに開業したんです。開業当初は開店休業状態でしたが、やがて父の患者さんや紹介の方が来院されるようになり、クチコミで次第に患者さんが増えてきました。大阪近辺に勤めている方や神戸、奈良、時には東京から通院される方もいましたね。実は私は子どもの頃、海軍兵学校に憧れていました。人を守りたい、国を守りたいと思っていたんです。敗戦でその夢が断たれたとき、人を守る仕事として父の仕事が真っ先に頭に浮かびました。だから私はほかの業界を全然知らずに生きてきましたが、娘2人も自然に歯科医師をめざしたようです。2年ほど前に次女に当院の院長職を譲りましたが、現在は休職中のため私が1人で診療にあたっています。

どのような医院をめざして開業されたのでしょうか。

患者さんにゆったり受診していただくことを第一に考えました。お口の状態や診療方針をご理解いただくには1人の患者さんに30分から1時間は必要です。十分にコミュニケーションを取り、信頼関係を築いてから治療しないとお互いに不幸ですからね。それで予約制にしようと思ったんです。当時の大阪では珍しかったですね。でも、数分の差で来られた患者さんに30分、1時間待っていただくのは申し訳なくて。ゆったりした診察室やプライバシーが保たれるつくりもじっくりお話をするためです。また、待合室を禁煙にしたのも当時は驚かれましたね。病院でも当然のようにタバコが吸えた時代ですから。でも、患者さんの健康を守る歯科医院に体に悪いものがあってはいけないと考えたんです。今では当たり前のことばかりですよね。

学校歯科医を通じて、予防の大切さを伝える。

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8020運動は知っていますか? 80歳の時にご自身の歯を20本以上保ちましょうという運動です。これは子どもの頃より、自身の歯を大切にする意識が重要になります。それには学校において児童生徒、及びPTAの学校保健教育が非常に大切になります。歯を大切にするという生活習慣が大人になっても継続され、それがご自身の子どもにも伝わっていく。そのようにして歯を大切にする予防の意識を大切にしてほしいです。少しでもその予防の意識醸成をお手伝いしたいと思い、30年以上も前から学校歯科医を勤めております。少しでも患者さんの歯を守りたい、その一心ですね。

患者とのコミュニケーションを重視した診療

診療にあたり重視していることをお聞かせください。

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患者さんのお悩みをよく聞くことです。患者さんに何でも安心してお話しいただけるように、時間をたっぷりとっています。またご自身の口腔の状態をご理解いただくため、しっかりと検査して現状をご説明しています。例えば当院では唾液検査を行っていますが、唾液は人によって性質が異なりますし、虫歯の回復力も違ってくるんです。唾液を調べてご自身がどういうタイプなのかご説明しています。さらに食生活や嗜好品、生活習慣についてもお聞きしますね。ほとんどの方が、口の中に多くのばい菌がいてトラブルを引き起こしているかも、ということをご存じないんです。そのメカニズムを説明してご理解いただき解決していかないと、何度治療しても同じトラブルが繰り返されます。丁寧にご説明して自覚していただくことがお口の健康維持には欠かせないんです。

自分の口の状態を知ることが重要なのですね。

そうなんです。治療法についてもしっかり知っていただくことが重要で、例えばかぶせ物は保険適用のもの以外にも多くの種類があります。それら一つ一つについて説明することは大切ですね。保険だからこれ、と歯科医師が一方的に押しつけるべきではありません。それぞれの長所、短所とともに費用もご説明した上で患者さんが選ぶべきものです。じっくり考えていただくため、私は「ご家族とも相談して決まったら教えてください」とお話ししています。それに沿って治療しますからと。私がある患者さんに最適だと考えた治療は高額な費用がかかるものでした。時間をかけてご説明し、後日改めて来ていただいたのですが「思い切ってお願いします」とおっしゃって治療に入りました。そして治療が終わったら、その方のご家族や親戚の皆さんが当院に通われるようになって。信用していただけてうれしかったですね。ご満足いただける治療ができてよかったと思いました。

納得して治療すると予防にも目が向きますね。

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そうですね。家庭でのケアと歯科医院でのケアは車の両輪で、ご自身でしっかり歯磨きをしていても歯ブラシの届かないところもあるんです。そこは定期的に来院していただいて掃除する。そうすることによっていい状態が維持されるんです。皆さん虫歯が痛くなって来院されて、緊急の処置をしますよね。それで痛みが治まると、ようやく患者さんにも歯科医師の説明を聞こうという気持ちが出てきます。悪くなった原因は何か、顕微鏡で見てもらったり食生活や生活習慣を聞いたりして、考えられることをお話しします。それで予防の重要性を理解されて継続的に通ってくださる方が増えていますね。口が健康でないと全身が健康になりません。よく噛んで唾液を出すと消化にも脳の発達にもいいんですよ。とにかくお口が健康であること、すなわち「健口」であることが全身の健康には重要です。

患者の健康維持を継続してサポート

今後の目標などお聞かせいただけますか。

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歯科医療は日進月歩ですから、新しいことを勉強することが大切です。学会、研修会は日曜、祝日に行われますので、休日は新しい知識、技術の習得に費やしてきました。私は何か新しいことに取り組んだら10年はフォローして結果をみて、よかったかどうか確認するべきだと考えています。もう86歳ですから、今後は今までやってきたことをより充実させたい。長年通ってくださる患者さんに、ご自分の体をより大切にしていただける方向にコミュニケートすることに力を入れたいですね。一方、院長である次女は更にこれからよく研鑽して新しいことに取り組み、長期間しっかりフォローし結果を確認するということをやっていってほしいと思います。

休日はどのように過ごされていますか。

最近は家で休んでいることも多いですが、歯科関係の講演会や研修会には今も出かけています。また日曜日は教会で聖書の話を聞いています。「自分を愛するように隣人を愛せよ」と聖書にありますが、これは難しいことですね。そういうことを考え、心を新たにするために牧師さんの話を聞きに行くんです。それを治療にも生かしたいと思っています。この患者さんが自分の親兄弟だったら自分はどうするだろうか、とまず考えるんです。それをベースにしてベストな治療方針を組み立てていくことが大切だと思います。

読者へメッセージをお願いします。

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皆さんの歯は世界に2つとないんです。なくしたら入れ歯にするとかブリッジにするとか考える前に、ご自分の歯を大切にしていただきたいですね。人工物は天然のものにはかないません。そのための予防なんです。そして、この世に生を受けた時に与えられた自分の体をもっと大切にしていただきたいというのが切なる願いです。知らず知らずのうちに粗末にしていませんかと問いたいのです。生きていれば自分を犠牲にして何かをしなければならないこともあるでしょうが、そういうときばかりではないと思います。ご自分の体をいたわっていただきたいですね。

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