森山 義和 院長の独自取材記事
森山医院
(世田谷区/等々力駅)
最終更新日:2023/04/03
「この待合室は幼い頃の私の遊び場でした。」そうにこやかに話すのは、「森山医院」院長の森山義和先生。先代である父・森山義雄氏がこの地に開業したのは1959年。50年以上の歳月の中で、砂利道が舗装され、田畑がマンションへと町は様変わりしてきた。医院もまた、森山外科改め森山医院となって四半世紀足らず、かつての手術室は内視鏡室へ改築され、院内の設備も刷新されているが、患者を温かく迎え入れる空気は脈々と引き継がれている。
(取材日2018年7月5日/更新日2023年3月28日)
謙虚さを忘れない医師でありたい
医師をめざしたきっかけを教えてください。
父がこの地に開院した9年目に、第4子長男として私は生まれました。長男だからといって後を継ぐことを期待されたわけではありません。「人の役に立つ仕事をしなさい。」というのが父の口癖で、“人の役に立つ仕事”が必ずしも医師を指すわけではないことは子ども心にもわかっていました。高校時代にいっとき研究職に就く道も考えましたが、幼い頃から目にしていた父の働く姿は将来の自分の在りように重ねやすかったため、医学部に進学した次第です。私は父が校医をしていた区立の玉川小学校に通っていたのですが、ある時同級生がケガをして、先生に連れられて父のもとへ行ったことがあります。彼が手当を受けて無事授業に戻ってきたときには、ほっとするとともに、どこか誇らしい気持ちになったものです。
医師としての心がけやモットーとされていることは何でしょうか。
謙虚さを忘れない医師でありたいと思います。医師が病を治してやる、という考え方は思い上がりです。病を治そうとするのは患者さんご本人。それをいかにサポートするかという点で、医師の力量は試されてくるのだと思います。だからこそ私はまず話を聴くことを大切にしています。患者さんのお話の中には診断の鍵、治療の鍵が必ずあると言えます。
どのような医院にしたいとお考えですか。
時代のニーズに合わせて柔軟に変化する、成長し続ける医院でありたいと考えています。父から当院を引き継いだタイミングで電子カルテを導入し、スリッパ履きからバリアフリーへと院内を改築しました。また、レントゲンはフィルム式からデジタルへ刷新しましたし、エコー検査機器も備えています。近年は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、発熱対応の隔離スペースも設けました。
食道・胃から大腸まで、上部・下部消化管の検査が可能
先生は内視鏡の検査が得意だと伺いました。
内視鏡検査は医師の腕が如実にあらわれると思います。私自身、新米の頃には先輩ドクターにコツを聞いたものです。しかしどの先生も答えは同じ。ある程度医師のセンスは影響するが、とにかく経験を積むことが一番だと教えてくれました。長らく東大病院消化器内科に在籍して、多くの上部・下部内視鏡検査を経験していました。また、当院では経鼻内視鏡、大腸内視鏡、大腸カプセル内視鏡、狭帯域光観察システムを使った検査が可能です。経鼻内視鏡は吐き気が起こりにくく、検査中もお話ができます。
内視鏡検査を初めて受けるとなると、緊張したり不安を感じたりという方も多いのではないでしょうか。
検査を目的として受診される方は「内視鏡の検査もしなくてはいけないのだろうか」という思いを持ちながら来られるようです。それで「では念のため内視鏡検査をしましょう」となると「やっぱり悪い病気なんだ!」と感じるようで。検査が終わってから「実はとっても怖かった」と言われる方がいます。何があるかわからないから検査するのですが、なぜ検査までしなくてはいけないのかということが気になるのならどんどん聞いてほしいです。細胞を取って検査するというようなことでも、それがどのくらい怖いことなのかとご自身の中に不安を抱えているのではなく、聞いて、説明を求めていただければと思います。一つ一つ丁寧にお答えします。
内視鏡検査を勧められると、重い病気なのでは? と思ってしまいます。
内視鏡検査する=重病決定というわけではないのです。目隠しをして立っているとして、そこが平らで安全なところなのか、崖っぷちなのかというのは、検査をしてみなければわかりません。目隠しを取って、今いる場所を確認するのが検査です。そういう話はしているのですが、皆さん「自分が今いるのは崖のそばなんだ」と思ってしまうようです。不安や疑問は、専門家である私に聞いて、ここで解決していただきたいのです。昔から当院に通われている方はちょっとしたことでも窓口に来て、おしゃべりしていかれます。それくらい気軽に来てもらえればと思います。
内視鏡検査では、どんな病気が見つかることが多いのでしょうか。
胃がんは今、ピロリ菌の検査や除菌治療が進んでいるので、減少傾向にあります。内視鏡を使って見つかるのは別の病気で、多いのは逆流性食道炎ですね。食道の病気がよく見つかります。それ自体はすぐ命に関わるというものではありませんが、日常生活に障害があるんです。逆流性食道炎から慢性的な咳の症状が出るということもあります。内視鏡検査をすることでそういった病気がわかり、症状を薬で防げたら、日常生活が送りやすくなります。それくらいの感覚で検査を受けていただけると良いですね。
ちょっとでも気になることは気軽に相談してほしい
奥さまが看護師として、クリニックをともに支えていらっしゃるそうですね。
妻は私と結婚する前は保育士として働いていました。結婚後、寝る間を惜しんで勉強し、看護師の資格を取得して私をサポートしてくれています。看護師となった今、患者さんからとても頼りにされているようです。誰に対しても優しく朗らかな性格なので、彼女がいることで当院の雰囲気もさらに明るくなったと思います。スタッフにも恵まれていて、私が小学校に入る前から当院で働いてくれている看護師もいます。彼女は患者さんの顔をすべて覚えているんですよ。私と妻にとって非常に心強い存在です。一生懸命に頑張ってくれる妻、頼れるスタッフ、そしてフレンドリーな患者さんたち。亡き父や親戚の現役医師などからのアドバイスも受けられ、私は本当に周囲の人間に恵まれていると感謝しています。
休日はどのようにお過ごしですか?
読書が趣味ですが、子どもが生まれてから一人でじっくり本を読む時間は減りました。医者の不養生と言われないよう、運動は続けるようにしています。新型コロナウイルス感染症の流行前は区民プールで泳いでいたのですが、昨今は自宅で腹筋と腕立て伏せですかね。腹筋をする時は子どもが足に乗って押さえてくれると助かりますが、腕立て伏せでは背中に乗っかられるときついですね(笑)。
読者の方へメッセージをお願いします。
昔から当院に通われている方は、窓口にいらしてお喋りしていかれます。少しでも気にかかることがあれば、我慢したり放置したりせず、何でもお気軽にご相談ください。内視鏡検査は受けたことのない方にとってはハードルの高いものであることは承知しています。不安や疑問には丁寧にお応えしますので、ご来院ください。