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市村 公一 院長の独自取材記事

あおばメンタルクリニック

(横浜市青葉区/青葉台駅)

最終更新日:2021/10/12

市村公一院長 あおばメンタルクリニック main

東急田園都市線青葉台駅の駅前通り沿いに位置する「あおばメンタルクリニック」。ビルの2階で、絵画が飾られる待合室の窓からは街路樹の緑が広がり、やわらかな光が降り注ぐ。市村公一院長は、社会人経験を積んだ後に44歳で医学部を卒業したという経歴があり、柔軟な考えと広い視野が特徴だ。「診療の場は、患者さんにとっても人との付き合い方の練習の場でもあります。患者さんとくっつきすぎず離れすぎず、適度な距離感を保ちながら、回復に向けてサポートしていきたいと思っています」という。女性はもちろん、自身のサラリーマン経験を生かし、職場の人間関係や仕事内容が原因で心身の不調を訴える会社員の悩みにも的確に応じる市村院長に、診療の特徴や心理療法などについて聞いた。

(再取材日2018年11月16日)

10年の銀行員時代を経て開業を志す

先生は、40代で社会人から医学部に入り、医師になったそうですね。

市村公一院長 あおばメンタルクリニック1

そうですね。ドクターとしては、特殊な経歴なのかと思います。東京大学文学部美術史学科で学んだ後、IT関係の企業、そして銀行に10年ほど勤めました。銀行に入った頃はバブル期だったのですが、その後バブルが崩壊し、莫大な不良債権が出てしまいました。私自身はシステム担当だったので、直接融資に携わっていたわけではありませんが、「社会人としての人生が、子どもたちの世代に莫大な不良債権を残すことで終わってしまうのは嫌だな」と思ったのです。そろそろ40歳近くなり、今後の人生について考え出した時期。思い切ってシフトチェンジし、間違いなく社会貢献できるであろう職業である医師をめざし、医大受験を決めました。そして東海大学医学部に入学し、猛勉強をしました。医学部を卒業したのは、44歳です。

なぜ心療内科を選んだのですか? また、青葉台に開業を決めた理由を教えてください。

大学時代にお世話になった先生は、総合診療、総合内科の先生が多く、私も医師になるなら開業医と思っていましたので、最初は総合診療が行える医師になろうと思っていました。しかし、医学部を卒業した時点で44歳。オールラウンドに対応するには時間的にも肉体的にも難しいことも感じていました。一方で、私自身、学生時代に精神科の医師であり作家でもあった先生の著書を何冊も読み、影響を受けたことに加え、実習の際に、周りから「精神科に向いている」と言われたこともありました。これまでの自分の人生も、寄り道、回り道ばかりでしたが、そのような経験も、心療内科なら生かせるかもしれないと思い、心療内科を選びました。大学時代の恩師の紹介で、昭和大学医学部精神医学教室に入局し、昭和大学藤が丘病院精神神経科に異動して臨床経験を積みました。そして藤が丘から遠くないところで開業したいと思い、2009年、青葉台のこの地に開業しました。

患者さんはどのような方がいらっしゃいますか?

市村公一院長 あおばメンタルクリニック2

7割くらいは、女性の方ですね。年齢は20代から50代くらいでしょうか。仕事をしながら子育てしている方もいますし、専業主婦の方もいらっしゃいます。「職場に行くと涙が出てしまう、ふるえてしまう」などの不安症状や、子育てや親の介護などを抱えてイライラしてしまう……など、情緒不安定で来院される方が多いですね。心療内科の患者さんは、全般的に、変化に弱いんです。女性はホルモンバランスの変化もありますし、妊娠、出産、育児、介護など、ライフステージの変化も多いので、そんな中で自分を見失ってしまうケースが多いような気がします。「異動した先の上司や同僚と合わない」「担当の仕事が苦手」などの理由で会社に行けなくなったというサラリーマンの方もいます。最近は、発達障害の方も多いですね。当院では、アルペルガー症候群など広汎性発達障害の場合は、ケースに応じて横浜市の発達障害支援センターを紹介しています。

患者と適度な距離を保ち、回復をサポート

診療の際に心がけていることを教えてください。

市村公一院長 あおばメンタルクリニック3

心療内科には、「変化に弱い」患者さんがいらっしゃるので、患者さんがどのような状態で来院されても、いつもと同じ表情、同じ声と、変わらない態度で接するよう心がけています。そうすると、患者さんも安心するんですよね。加えて、一人ひとりの患者さんと、くっつきすぎず離れすぎず、適度な距離を保ちながら治療を進めていくことです。診療の場は、患者さんにとっては、人との付き合い方の練習の場でもあると思っています。医師と患者さんの間にある程度の距離感がないと、場合によっては患者さんが医師を頼り過ぎてしまい、回復が遅れることにもつながりかねません。私たち医師は、患者さんが、自分の足で歩けるようにサポートする役割を担っています。治っていくのは患者さん自身なので、そのことをしっかり丁寧に伝えながら日々診療しています。

心理療法、つまりカウンセリングは、どのようなことを行うのですか?

当院では、対人関係療法と交流分析法、2つの心理療法を行っています。対人関係療法は、重要な他者との現在の関係に焦点を当てながら治療するもの。対人関係の中で重要なのは、配偶者や子どもといった自分の家族です。その後で、仲の良い友人や近しい親戚、職場の上司や同僚……と続くのですが、心が不安定な方というのは、人間関係の濃淡をつけることが苦手な傾向があり、職場の同僚やママ友など、いわゆる「関係が薄い人」からの目ばかりを気にしてしまい、何気なく言われた言葉に深く傷ついたり不快に思ったりしてしまうものです。職場の同僚やママ友などの関係は、一時的なものなのでなるべく気にせず、それよりも、大切な人=家族、仲の良い友人とのコミュニケーションをしっかりとることで、心を安定させることに結びつけるよう導いていきます。

交流分析法とは、どんな治療法ですか?

市村公一院長 あおばメンタルクリニック4

一人の人間の中に、親の自我、大人の自我、子どもの自我という3つの自我が存在し、行動や思考にそれぞれの人格が現れると考え、この3つの質と量を調べ、自我の交流を分析する心理療法です。自分を知ることによって、さまざまな場面でどのような自分が出ているのかを振り返り、3つの自我がなるべくバランス良くなるよう分析していきます。当院では、患者さんの症状に応じ、必要だと判断した方に対し、臨床心理士が、これらのカウンセリングに対応しています。カウンセリングは自分と深く向き合うことになるので、患者さんによってはハードルが高く感じることもあるようですが、根気よく向き合うことが大切だと思います。

適応障害は、ストレスを取り除くと回復に向かう

転職や異動など、職場が原因で精神的な安定を崩す人も多いようですね。

市村公一院長 あおばメンタルクリニック5

そうですね。職場の人間関係や仕事内容などが理由で「会社に行けなくなった」と受診される患者さんも多いのですが、うつ病ではなく、ストレスの原因になることが明らかにあり、それによって症状を引き起こす「適応障害」のケースも少なくなりません。適応障害の場合は、ストレスの原因をとりのぞけば回復に向かうことが多いので、診断書を書いてさしあげ、一定期間休息をとった後、異動や転職によって良くなることもあります。ただ、職場のストレスが原因で適応障害となり、復職した患者さんに対して、いきなりのフル稼働は無理があるものです。最初は短時間勤務から始まり徐々に勤務時間を増やしていくなど、段階的に復帰していくような制度があると良いと思います。

お忙しい日々の中のリフレッシュ法を教えてください。

大学で美術史学科に入ったら野球が盛んで、小学生以来野球をするようになりました。肩が強くてピッチャーを任されるようになり、銀行でも部店対抗戦ではピッチャーをしていました。銀行を辞めて、おまけに四十肩になって、野球からは遠ざかってしまいましたけれど。あとは中学生時代からクラシック音楽が好きで、今も時間があれば聴いています。最近は、家庭菜園やゴルフも始めました。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

市村公一院長 あおばメンタルクリニック6

今後もこれまでどおり、患者さんとつかず離れずのスタンスを保ちながら、心の健康をサポートしていきたいと思います。私は、大学を卒業してから社会人としての転職経験、医学部への入学と、普通の人よりもいろいろ経験を積んできました。経験至上主義というわけではないのですが、たくさんの経験を重ねていろいろな世界に触れ、幅広い物の見方のようなものは身についていると思います。さまざまな側面からアドバスができると思いますので、お気軽に足をお運びください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

カウンセリング/6000円〜(対人関係療法、交流分析法など)

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