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熊川 美代子 院長の独自取材記事

喜多見眼科

(世田谷区/喜多見駅)

最終更新日:2021/10/12

熊川美代子院長 喜多見眼科 main

小田急線喜多見駅からすぐ、整形外科や内科など、複数のクリニックが軒を連ねるメディカルビルの3階に、「喜多見眼科」がある。扉を開けて中に入ると、広々とした待合室があり、明るく丁寧な対応のスタッフが出迎えてくれた。1日の診療時間が終わった後、熊川美代子院長に眼科の医師としての診療スタンスや、クリニックの特徴などを聞いた。

(取材日2009年11月6日)

一人ひとりの患者を最後まで自分で診たい

医師をめざそうと思ったきっかけを教えてください。

熊川美代子院長 喜多見眼科1

幼い頃に母を病気で亡くしていまして。小学2年生の時ですね。それがきっかけになりました。母を助けてあげたいという気持ちが、医者になって病気で苦しんでいる人を治すんだという思いに変わって。もちろん小さい頃の話なので、その頃は漠然とした目標でしたが、高校に進んだ頃には、医学部をめざそうという具体的な進路になっていましたね。と言っても、結局は内科の医師ではなく、眼科の医師になりましたが(笑)。

眼科医師になられた理由は?

大学を卒業する頃に、何科を選ぶか悩んだ末、自分で最初から最後まで完結する科がいいと思い、最終的には眼科を選択しました。内科だと手術が必要な場合は外科に患者さんをお願いすることになります。当時の私は、患者さんの診察から検査、治療、必要ならば手術まで、一通りを自分で担いたいと考えていました。ですが、大学病院での勤務の場合は特に、人事の配置や異動の関係もあって、自分が1人の患者さんをずっと担当できるとは限らないんですよね。ですので、一人ひとりの患者さんを、最後までずっと自分で診ていくことができないことにジレンマを感じることはありました。ただ、大学病院での経験は、自分にとってとてもプラスになりました。特殊な病気の方を診察したり、専門分野を深く研究し続けていくことは、大学病院でなければ難しいですからね。その中で多くの患者さんを診察したことで、眼科医師として成長させてもらえたんだなと思っています。

大学病院時代には「白内障」の研究もされていたんですよね。

熊川美代子院長 喜多見眼科2

白内障という病気は、ある程度年齢がいくとよく見られる病気です。60歳以上の方であれば、程度の差こそあれ、ほとんどの人が白内障になっていると言われるほど一般的なもの。加齢によって起こってくるものですから、若い人にはあまりなじみのないものかもしれませんが、高齢になるほど誰でも発症するリスクは高まります。そして、その人によってその症状の出方に違いがあるというだけのことです。誰もがかかる可能性のある病気だけに、研究テーマとしてはやりがいのあるものでした。

入院なしで白内障の手術が可能

こちらでは、白内障の手術もしていただけるんですよね。

熊川美代子院長 喜多見眼科3

はい。入院なしで日帰りでの手術が可能です。だいたい手術自体は10分程度で終了しますが、ほかに目の病気にかかってらっしゃる方などは、もう少し時間がかかることもあります。ただ、すべての方に手術を勧めるわけではありません。まず白内障と診断した患者さんには、手術適応があれば血液検査等を行い、手術治療のご案内をさせていただきます。そしてご家族にも相談をさせていただき、その上で手術を希望される場合には、日時を決めて手術を行うという流れです。この、濁った水晶体を取って眼内レンズを目に移植する手術に関しては、30年前くらいからあるものですが、保険診療ができるようになったのが15年ほど前です。それ以降は手術を受けられる方もどんどん増えていきましたね。今、眼科での手術の中でも特に件数の多いものです。

先生がこちらに開院されたきっかけは?

ここに開院する前は、小田急沿線の稲田登戸病院に、眼科部長として4年ほど勤務していました。その病院は、今は閉院してしまったんですが、そこの患者さんを 引き続き診ていくことも可能な立地であるということと、駅から近いメディカルビルということで、条件としては申し分ないですし、なにより、2階で先に開院していらした、徳永整形外科の院長先生からお誘いを受けたことがきっかけとなって、開院する決意をいたしました。こちらのビルでは、徳永先生が12年前に開院されて、その2年後に私が開院して、そしてその隣に内科ができ、その後、1階にもクリニックが入って。もともと医療モールにする予定ではなかったらしいのですが、そういうことならと、オーナーが、ビルの名前もメディカルビルにしましょうと変えてくださり、現在は皆さんにもずいぶん認知されています。

複数のクリニックが隣接しているメリットは?

熊川美代子院長 喜多見眼科4

私は眼科ですが、患者さんにはお年寄りも多いので、例えば整形外科に関係する病気を持ってらっしゃる方も多いんです。あと、内科や婦人科もそう。さまざまな専門の先生がいらっしゃると、そういう場合の連携が非常にスムーズなんですよね。1ヵ所でいくつかの科にかかることができるのは、効率的で、患者さんにとっては大きなメリットですし、私たちとしても何か相談したいときに近くに各専門の先生がいらっしゃるのは非常に心強いです。病院に勤務していた時も、もちろん他の科の先生とやりとりすることはありますが、大学病院は組織が大きいため、あまり関わりのない先生も大勢います。逆にこれくらいの規模でやっていると、患者さんの層がオーバーラップする部分も多くありますから、コンパクトなところでお互いに相談ができるのはいいですね。それに、他のクリニックの先生方は、皆さんいい方なので、ここに開院して本当によかったと思っています。

長い治療にも前向きになれるようなクリニックを

最近増加傾向にある病気は?

熊川美代子院長 喜多見眼科5

緑内障が多いですね。ただ、実際にかかる人が増えたというより、検診で発見される例が増えてきたということです。緑内障検診が少しずつ普及してきたのが、およそ30年ほど前。その頃から検診で見つかる例が増え、加えて最近では、学会からも一般に向けて広く啓発活動をするように努めていますので、緑内障を疑って検診を受けられる方が増えてきているんですね。新聞広告などでも、「視野が狭くなっていませんか?」といったものを、以前から出すようになっていて、それを見て患者さんがいらっしゃることも多くなりました。日本人の中には、潜在的に緑内障である方は非常に多いので、自覚症状が現れる前に検診を受けることは大切です。目が痛い、赤いなどのまったく別の病気で診てみたら緑内障だったという例もあります。緑内障は慢性的な疾患ですので、残念ながら治るということはありません。ですから見つかったら一生涯付き合っていく必要のある病気です。

緑内障の検診は早めに受けたほうがよいということですね?

医学的な調査によると、40代以上の日本人で、17人に1人の割合で緑内障にかかっているんです。病気自体が完治するというものではないため、できるだけ症状が進まないようにする、という治療しか、現在ではできないんですね。ただ薬の進歩もあって、昔だと「失明してしまう」というイメージがありましたが、最近では早期発見できれば、進行をかなり遅らせることが望めます。そのためにも早めの診察が必要不可欠。若い方でも、発症はしていなくても「予備軍」だという方もいらっしゃいますし、40代以上の方は1度は眼科検診を受けるべきですね。視野が狭くなったり、どこかが見えづらいという症状が出ているときには、もうかなり進行している状態ですので、検査は症状が出る前に、早めに受けられることをお勧めします。あとは遺伝も関係していますので、ご両親やおじいさま、おばあさまが緑内障にかかっていた場合には、早めに受診されたほうがよいですね。

2009年で開院10周年を迎えられて、今後の目標は?

熊川美代子院長 喜多見眼科6

日々、新しい取り組みにチャレンジするというよりは、現在私にできることを、腰を据えて患者さんに提供していきたいという思いのほうが強いです。やはり「治療が終了するまで、自分で最後まで患者さんを診ていたい」という思いはずっとありますから。ですから、常に最新の医療知識は頭に入れながらも、それが必要な場合には、しかるべきところに速やかに紹介できるように、と考えています。眼科ではなかなか完治しない病気も多いですが、そんな患者さんが少しでもここに来て明るくなってくださったらいいなと思います。通いやすい、長い治療にも前向きになれるような、そんなクリニックをめざしていきたいです。

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