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山田 晃久 院長の独自取材記事

奥沢歯科医院

(世田谷区/奥沢駅)

最終更新日:2022/09/05

山田晃久院長 奥沢歯科医院 main

世田谷区奥沢の閑静な住宅街にある「奥沢歯科医院」は、3代にわたり地域住民とともに歩んできた歯科医院。車いすやベビーカーでの来院に備えた緩やかなスロープや季節の花が咲く花壇は、訪れる患者の緊張をほぐしてくれる。やわらかな笑顔が印象的な山田晃久院長の実感を生かしたアドバイスはわかりやすく、「歯科医院が嫌いだった」という患者にも寄り添う。歯科を通して全身の健康を診ることがモットー。嚥下トレーニングなどを取り入れながら、滑舌の悪化の予防や鼻呼吸の大切さを伝え、口腔機能低下症の診療にも力を入れる。山田院長の「食べることあってこその歯科」という診療方針や同院の特徴などの話を聞いた。

(取材日2022年6月16日)

長年通う高齢者の口腔機能低下症対策に注力

3代続く歯科医院と伺っています。

山田晃久院長 奥沢歯科医院1

当院は母方の祖父が開業した歯科医院で、私が3代目になります。祖父の頃からの患者さんもいらっしゃいますよ。3代分の仕事と想いが患者さんのお口の中に積み重ねられているのは感慨深いものがありますね。ここは世田谷区の中でも高齢の方が多い町で、100歳以上の患者さんも片手では足りないぐらいになってきています。車いすの方は乗降動作が難しい場合も多いので、院内には車いすタイプの診察台を設けており、そのまま診察を受けていただくことが可能です。また、来院が難しくなってしまった方に対しては、できる限りご自宅等に訪問して口腔ケアを行っています。ご来院いただいた患者さんは、責任を持って長く診療して差し上げたいと思いますね。

高齢の方へのフォローを重視しているのですね。

幅広い年齢層の方が通われていますが、特に高齢の方の口腔機能低下症の診療には力を入れています。例えば、当院では食べ物を飲み込む摂食嚥下機能に関する舌の運動機能を測定する舌圧測定器を用いて、舌の機能を測定し、咀嚼機能測定器で咀嚼能力の測定も行います。咀嚼機能測定器は、グミを20秒間噛んでいただき溶け出したものをセンサーにかけ、そこにどれぐらいの糖が溶け出しているのかを数値化する機器です。噛めば噛むほど溶け出す糖の量が多くなり、あまり噛めていない場合は溶け出している糖の量は少なくなるため、どれくらい噛めたかを精密に判断することができます。数値を見ながら患者さんに「こんなに向上してきましたね」と伝えることで、モチベーションアップにつなげていくようにしています。

患者さんの年齢層は高齢の方が中心ですか?

山田晃久院長 奥沢歯科医院2

数年前から世田谷区で妊産婦向けの歯科検診を実施するようになり、マタニティーの患者さんも増えてきました。産後3ヵ月くらいの赤ちゃんを抱いて一緒におみえになる方も多いですよ。当院では受付スタッフが2児の母であやすのがとても上手ですし、私も子育て中の2児の父なので、お母さん方も安心して検診を受けていただければと思います。口の中の機能は、高齢の方は年齢とともに衰えていきますが、小さい子は機能をつくっていかなくてはいけません。月齢によって離乳食の形態や分量の目安がありますが、お口の機能が整っていなければ「うちの子食べないんです」ということになる。機能を上げるためにはそれに合ったことをしなくてはいけないと気がついて、食のアドバイスを始めました。自分の育児経験があったからこそ、そういうこともできるようになりましたね。

鼻呼吸の大切さを伝え、口腔内疾患の予防につなげる

高齢者の口腔機能に着目したのはなぜですか?

山田晃久院長 奥沢歯科医院3

他界した実父に介護が必要になった時、近隣の病院では胃ろうをしなければ3日も持たないと言われました。そこで、胃ろうはしたくないという父の思いを尊重してくれる療養病院に入院。その病院の環境に加え、私自身も口腔内の唾液腺マッサージや口腔機能を鍛える体操など、歯科医師の知識を生かしてできることを試しました。口腔内を清潔に保つことは、食べたり話したりする機能を保ち、生きる意欲を増進させることにもつながります。そういった父の介護から学んだものを患者さんにも伝えていかなければという必要性を感じてからは、より勉強しようと思えましたね。リアルな経験を土台にして治療方針をご提案できるというのは強みといえるかもしれません。

口腔機能低下症の診療では嚥下のトレーニングを重要視されていますね。

喉を触ってゴックンと唾を飲み込むと、喉の部分の筋肉が持ち上がって落ちますよね。ゴックンとした時に喉がしっかり上がることで、舌が上顎にぶつかって食べ物が送り込まれ、気道へのふたが閉じ、食道への入り口が開いて食べ物が流れていくといったことが起きています。喉の上げ下げによって切り替えの弁を動かしますので、その部分の強化が大切なんです。トレーニングでは、お水を飲み込んでくっと喉が上がったところで1~5秒ほど止めて、喉に負荷をかけ筋肉を鍛えていきます。以前は口腔機能低下症は65歳以上が保険対象だったのですが、2022年4月から50歳以上となりました。50歳を過ぎると症状が出てくるため、早期の予防が必要なんです。生涯にわたって「自分の口からものを食べて飲み込む」ことができるようこれからも嚥下のトレーニングに力を入れていきたいですね。

嚥下トレーニングのほかに行っている、口腔機能を整えるための体操や取り組みについて教えてください。

山田晃久院長 奥沢歯科医院4

「あ・い・う・べ」と繰り返し発音しながら口の動きをトレーニングする体操で、舌のポジションを上げ鼻呼吸に戻していくことを目的に行います。正しく鼻呼吸するために重要なのは、舌の位置です。舌は本来、上顎についている状態が正しく、口の中に空気が通るスペースがなくなるため鼻呼吸になるのですが、ともすると下の前歯の裏側についていたり、宙ぶらりんになっていたりして、そうすると口呼吸になってしまうんですね。口呼吸になるとドライマウスや虫歯や歯周病、睡眠時無呼吸症候群につながってしまうので、トレーニングはそれらの予防にも有用です。ですので、高齢の方に限らずお子さんにもやっていただきたいと思っています。とある団体が行った調査では、コロナ禍でマスク生活が長くなったことの弊害で口呼吸の方が増え、お子さまの70%が口呼吸になったというデータもあります。ぜひともご家族で取り組んでいただきたいと思います。

患者のライフスタイル全般を歯科の側面からサポート

いかに鼻呼吸が大切かといったアドバイスをなさっているんですね。

山田晃久院長 奥沢歯科医院5

当院が行っている口腔機能体操を考案された先生のところで講義を受けて、自分の中では「これだ!」と点が線につながって確信になりました。今では嚥下トレーニングと体操の2つを軸に、喉の強化や鼻呼吸の大切さ、正しい舌の位置などをアドバイスしています。口呼吸をしていると、寝ている時に舌が縮んで奥のほうに収まり、空気の通り道が狭くなって睡眠時無呼吸症候群になる人は少なくありません。その場合は太っているからなのではなく、舌のポジションが原因なので、舌を上に上げて隙間を空けることが必要です。もちろん無呼吸にはいろいろな種類があるので一概には言えませんが、口呼吸が原因という方も非常に多いんです。

先生の経験に基づいたお話は受け入れやすいですね。

実は、私自身も以前、寝ている時に口呼吸になっていて寝苦しさを感じていたことがあり、睡眠中口が開かないよう医療用テープを貼って口の渇きを防ぐという方法がいいと講習会で聞いて試したこともあました。口呼吸の弊害を身をもって体験している一人なので、それだけに患者さんたちにも、鼻呼吸の大切さをわかっていただきたいと思っています。呼吸のことから睡眠時無呼吸症候群についても勉強するようになってからは、タクシーや長距離のドライバーさんが受診された際にはアドバイスするようになりました。

今後の展望をお聞かせください。

山田晃久院長 奥沢歯科医院6

いろいろな問題の改善につながる「鼻呼吸」の大切さを、歯科医師の立場から発信していくことが使命だと感じています。口腔内を担っている歯科医師だから早く発見できることが多くありますからね。例えば、いびきがひどいという話を患者さんから聞いた場合、もしかしたら睡眠時に無呼吸状態になっている場合もあるので、内科の先生に早期に紹介するなど、病診連携を提案していくことも可能になります。「食べるという行為あってこその歯科」と考えているので、いつまでもおいしく食事を楽しめるように、生活や健康の水準を高めるためのアドバイスをすることは、歯科医師の大切な役割だと思います。お口にまつわるライフスタイル全般を「歯科」という側面からサポートする、そんな歯科医療を提供し続けたいと思います。

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マウスピース型装置を用いた矯正/33万円~

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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