ファミリーメンタルクリニックまつたに

ファミリーメンタルクリニックまつたに

松谷 克彦院長

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遊びの中だからこそ、表現できる治療を

―こちらの医院ならではの治療はありますか?

医師による精神療法だけでなく、臨床心理士による心理療法もやっています。心理療法では、症状の背景にある気持ちに慎重に触れてゆく作業をしてゆきます。年少の子どもさんに対してはプレイルームを作り、「遊び」を使った治療を行っています。子どもにはもともと「遊ぶ」力がありますが、その力を大人がつぶしてしまうことがあるんですね。遊ぶということは、とても大切なんです。なぜなら、遊びの中には楽しむだけでなく、怒りや悲しみなど子どもの気持ちを出すという働きがあります。また場面によって自分を出したり引いてみたりする人間関係の呼吸も含まれています。そして、何より「遊び」を通して子どもが元気になるという効果があるんです。基本的に子どもは、遊びたい気持ちがあるんですね。だから、遊びを使いながら、気持ちが表現されることとその気持ちが受けとめられることをめざします。

―治療の時心がけていることはありますか?

まず、対話を中心に治療を組み立てて、薬は補助的に使うようによう心がけています。病院は、薬を処方するところというイメージがあるかと思いますが、当院では薬をあまり処方しません。診察している子どもさんで薬を出しているのは1割くらいです。子どもの症状は、生きることに行き詰まったことを示すサインです。従って、治療において、症状を治めることも大切ですが、まずこの子の困っていることの本質は何であるかを見極めることから始めます。例えば、暴れてしまう子どもさんに対しても、感情を抑える薬を処方する前に、どうしてそうせざるを得なかったのかを知ることが大切なんです。そして実は周りを怖いと感じていたということが分かって、その怖さをどうするかというところで初めて薬を考えるのです。安易に処方するのではなく、症状や問題行動の本質に向き合うことが精神医学に求められていることだと思います。

―先生ご自身はストレスを抱えることはありますか?

「悩みを聞いてストレスになりませんか?」とよく言われます。確かに今の世の中は、小さなことにはクヨクヨせずに常に前向きに明るく元気であることが求められています。けれども、そもそも人間は、前向きに頑張ろうという自分と、一方でいろいろな不安や悲しみ、怒りに悩む自分とを抱えて生きているのではないかと考えています。精神科で働くことは、心の中にある前向きの光の部分だけでなく、悩みを抱える陰の部分に触れる仕事だと思うんですね。不安、悲しみ、怒りなどの陰の部分は、時として向き合うものを圧倒することもあります。ただそれらもその人の生きざまでもあるわけです。生きるということの大変さに向き合い続けて、それが人生の味わい深さへと変わってゆく時間をともにできることはありがたいいことでストレスとは感じません。



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