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石和田 敏貴 院長の独自取材記事

いしわだ歯科クリニック

(船橋市/高根公団駅)

最終更新日:2021/10/12

石和田敏貴院長 いしわだ歯科クリニック main

1988年に開業してから、「一生自分の歯で噛み続けられる治療」をテーマとしてきた「いしわだ歯科クリニック」。この地で生まれ育った石和田敏貴院長は、患者とのコミュニケーションを何より大切にし、一人ひとりが笑顔になれる治療を模索してきた。また、開業当初からメンテナンスに通い続ける患者や親子3代で通うファミリーなど、「当院での治療が、患者さんにとって最後の治療になるように」と日々研鑽を積む石和田院長に信頼を寄せる患者も多いようだ。高齢化が進む地域へさらに一歩踏み込んだ取り組みをしたいと語る石和田院長の思いにふれた。

(取材日2018年6月29日)

今も胸に息づく、父の背中に学んだ仕事への姿勢

先生が歯科医師になろうと思ったのはなぜですか?

石和田敏貴院長 いしわだ歯科クリニック1

歯科技工士だった父の背中をいつも見ていたためです。自宅が職場だったのですが、いつも夜遅くまで作業していて仕事一筋の人でした。寡黙なタイプで、とにかく一生懸命に取り組んでいる様子だけは子どもながらに理解していました。歯科技工士は、とても過酷な仕事。さらに父は、私が中学の頃から人工透析を受けながら仕事をしていたので、体力的にも精神的にも本当に大変だったと思います。そんな父を見て、歯科医師になって一緒に仕事をしたいと思うようになりました。実際に歯科医師になった時は、私よりも父のほうが喜んでくれていたような気がします。結局、約20年一緒に働き、歯科技工士としての父にたくさんのことを教えられました。私に独自の診療スタンスがあるとしたら、それは歯科技工士から歯科を学んだからです。

院長の方針を教えてください。

「自分の歯で一生噛む」をテーマに治療を考えています。そのためには、削る部分が少なく済むような工夫などをしながら、できるだけ長く機能する歯に治していかなければいけません。そこで大事になってくるのがメンテナンスです。歯科は治療がゴールではありません。患者さんに「いつまで通院すればいいですか?」と尋ねられれば、「一生通ってほしい」とお伝えします。初めは患者さんにびっくりされますが、それが普通であってほしいのです。当院は来院されている方の半分がメンテナンスでいらっしゃっています。歯科医師の仕事は治療を重ねることではなく、治療の経過を見ながら健康な歯を守っていくこと。当院での治療が、患者さんにとって最後の治療となれたらうれしいです。

「最後の治療」のために心がけていることは?

石和田敏貴院長 いしわだ歯科クリニック2

これまで長く診療してきて思うのは、歯が悪くなる過程にもパターンがあること。マニュアル化できることではないのですが、患者さんのお口の中には、歯科医師が介入して治さなければいけないタイミングがあります。そのタイミングを逃さず、適切に治療していくことでお口の健康が保たれるように感じています。ひとことに健康と言っても見解はさまざまですが、私がめざすのは「バランスが良い状態」です。子どもであれば噛み合わせから治すことがベストでも、高齢者なら顎のゆがみなども計算に入れた上で一番負荷のかからない噛み合わせがバランスの良い状態。それが今ある歯を長く健康に保っていける状態だと感じています。

歯の治療と喉の筋肉トレーニングでQOL向上をめざす

どのような治療にお力を入れているのでしょうか?

石和田敏貴院長 いしわだ歯科クリニック3

歯周病の治療です。歯周病は歯を失う大きな原因の一つ。誰もが持ち得る口腔内トラブルであり、一人ひとり症状や気をつけるべき治療ポイントが違うのが特徴です。治療のアプローチ方法もさまざまで、歯周外科、歯周内科、薬物療法を組み合わせて治療したり、ブラッシング指導だけでコントロールできたりします。虫歯は歯を一本治療すれば済むものですが、歯周病はお口全体に関わる一生涯の問題。口腔内の環境を整えなければ、何度でも再発するでしょう。ですから歯周病治療は、患者さん本人が「自分の歯で一生噛みたい」「入れ歯になりたくない」と思ってくれないと続きません。きちんとご理解いただけるようお話しし、患者さんの希望と歯科医師の思うベストを相談しながら、一緒に方針を考えていきたいと思っています。

ご高齢者の治療で心がけていることはありますか?

私自身、母の介護を経験したことで、大切なのは「寝たきりになってから歯の健康を守ること」ではなく、「寝たきりになる前に疾患をきちんと治し、自分の歯で食べられる口腔環境を整えていくこと」だと感じるようになりました。当院では訪問診療も行っていますが、ご自宅や施設などでできることは限られています。訪問診療に移行した時点で、食事がしづらい状態であった場合、それを改善することはとても難しい。だからクリニックに通える元気なときから、ケアの準備をしなければいけないと気づかされました。ごはんが食べられなくなると人は急激に弱ります。でも食べるには、健康な歯やお口周りの筋力などが必要です。「もう年だから治療はいい」とおっしゃる方もいますが、当院ではその必要性をじっくりお話しし、歯科治療と同時に唾液を飲み込む訓練も取り入れています。

唾液を飲み込む訓練を行うと、どのような変化が起こるのでしょうか?

石和田敏貴院長 いしわだ歯科クリニック4

喉の筋力を落とさないためのトレーニングなので、劇的な変化はありません。これは、あくまで将来後悔しないための予防なのです。要介護者がみるみる元気をなくしていく理由の多くは、きちんとごはんが食べられなくなってしまうからだと考えられます。歯がないなら入れ歯で代用できますが、飲み込む力を補助する道具はありません。ご家族に心配をかけないためにも、いつまでも食べる幸せを感じていくためにも、喉の筋肉を鍛えておくことは大切。当院では診療中だけでなく、家でも取り組んでいただけるようご指導しています。また、まだご自分の力でごはんを食べられる元気な方も、年を重ねれば誤嚥が多くなるもの。このトレーニングは誤嚥性肺炎のリスク軽減にも役立っていくのではと考えています。

患者の不安を受け止め、負担のない方針を一緒に考える

印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

石和田敏貴院長 いしわだ歯科クリニック5

一度だけ、患者さんに怒られたことがあります。勤務医時代のことです。院長に「痛みのある歯のかぶせ物を外して」と指示され、ある患者さんを治療することになったのです。実はその時、患者さんは抜いてほしいと思っているんじゃないかなと思ったのですが、院長の指示どおりにかぶせ物を外しました。すると患者さんに「痛いから来てるんだよ!」と怒られたのです。私が患者さんに直接確認しなかったことが原因でした。この経験以降、必ず患者さんに聞く習慣をつけました。患者さんは本当にどう思っているのかという真意をきちんと確かめることが何よりも大切。それに気づいた出来事でした。

研修生を教育するクリニックでもあるそうですね。

そうですね。東京歯科大学、日本大学、松本歯科大学と提携して研修生を受け入れています。少しでも若い歯科医師たちが成長できるチャンスになればと思っています。近年の傾向で専門性に特化した歯科医師が増えていますが、開業したいと願うならあらゆる知識・技術をオールマイティーに学んでいかなければいけません。いずれ専門の先生にご紹介しなければならない症例であったとしても、自分が行うべき治療とそうでない治療を知っているだけで、「治療の流れ」、つまり専門性同士のつなぎ部分の丁寧さが変わります。些細な違いに思えますが、ここが患者さんの安心感や満足度に大きく影響するところ。歯科医師になれたことがゴールではなく、歯科医師になってからどう学ぶかが一番大切だと伝えていきたいですね。

最後に読者へメッセージをお願いします。

石和田敏貴院長 いしわだ歯科クリニック6

誰もがいつかは年を取ります。皆さんには寝たきりになったり、施設に入ったりしても食べる喜びを失わないように、「今」頑張って治療に取り組んでほしいです。子育てに忙しかったり、働き盛りだったりする方は、歯科通いが負担になることもあるでしょう。経済的な理由で行くのをためらってしまう人や、「痛い思いをする」「思ったとおりに治療してくれない」とネガティブなイメージを持ち歯科に来たくないという人もいるはず。皆さんの声に耳を傾け、できる限り負担のないよう一緒に治療を考えていきますので、まずはご相談いただきたいです。これからも患者さんが気持ち良く通えるクリニックをめざしていきます。

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