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市川 博雄 院長の独自取材記事

昭和大学藤が丘リハビリテーション病院

(横浜市青葉区/藤が丘駅)

最終更新日:2019/08/28

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東急田園都市線・藤が丘駅から歩いて1分の「昭和大学藤が丘リハビリテーション病院」。その名の通り、リハビリに注力する病院の6代目院長にこのほど就任したのが市川博雄院長。関連病院の「昭和大学藤が丘病院」で脳神経内科医長を5年務めた後の抜擢。突然のことに驚きつつも、「院内外での医療連携をさらに緊密にしていきたい」とビジョンを掲げる。同院は一般病床と回復期病床を計197床備え、藤が丘病院で急性期の治療を終えた患者を受け入れて切れ目のない医療を提供している。脳卒中、整形外科疾患に加え、心臓疾患などの内部障害に対するリハビリも行っているのが大きな特徴。「スタッフが忌憚なく意見を言い合える雰囲気を」と語る市川院長に、病院の特徴や今後の展望などを聞いた。
(取材日2016年6月30日)

年中無休で絶え間のないリハビリを提供

院長に就任してから3ヵ月。どんな日々でしたでしょうか?

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本当にあッという間でした。私は歴代の院長の中でも若い方で、就任前は関連病院で近くにある昭和大学藤が丘病院の脳神経内科医長を務めていました。現役で診療しつつ、数人の医局員と入院患者さん30人ほどの病床を切り盛りするだけでも四苦八苦。そうした状況下で大きな病院を運用する立場になるとは予想もしていませんでした。院長職を打診された時は青天の霹靂で、言葉が出ず。ただ、少し時間がたった今では、与えられた職責を全うできるよう力を尽くそうと考えています。これから時間が経つにつれ、自分がやるべきこと、やった方がいいと思われることが見えてくるのではないでしょうか。

同院の概要についてお聞かせください。

当院は昭和大学病院の関連病院で、特にリハビリテーションに力を入れています。備える計197床の内訳は、緊急に治療が必要な急性期を脱し、リハビリテーションが治療の中心となる方のための回復期リハビリ病棟が67床。その他は、整形外科 52床、内科 44床、眼科 34床で、藤が丘病院の後方支援としての役割も担っています。藤が丘病院が急性期の治療に当たり、改善後に当院でリハビリを行うという連携により、切れ目なく患者さんを支えられる点が特徴です。命を守り、機能障害を改善することはもちろんですが、当院としては、患者さんが退院した後の日常生活を守ることにも重きを置いています。例えば心臓の病気で脳の血管に障害が起きている可能性があれば藤が丘病院を含めた他科で診療してもらい、合併症の早期発見や予防をめざす。診療面以外でも、市民公開講座を開いて病気の理解を深めてもらうことで、予防につなげていければと考えています。

注力しているリハビリの体制や特徴はいかがでしょうか?

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当院は1990年の開院以来、一貫してリハビリに力を入れていきました。当初は大腿骨頸部骨折などの整形外科疾患の患者さんをメインに受け入れ、その後、徐々に脳卒中などで体が不自由になってしまった方にも対応していくように。リハビリは早期からの継続が大切ですから「365日いつでもリハができる体制をつくろう」と、スタッフを増員。現在は理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といったその道の専門家が50人ほどにまでなり、日曜日を含めた365日のリハビリが実現できています。

ミーティングの充実で院内連携強化を

内部障害の患者へのリハビリも行っているとお聞きしました。

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そうです。それが当院のリハビリの特徴でもあります。内部障害リハとは、心臓や呼吸器、腎臓などの疾患で日常生活をスムーズに送れない人に行うもので、リハビリにより体に適度な負荷を加えることで臓器の機能の向上を試みます。医療の世界で心臓疾患のリハビリの有用性は認められており、藤が丘病院の循環器内科の医師が中心となって治療方針を立てています。心不全などの心臓の疾患は一度改善しても再発して入院を繰り返すこともありますから、急性期を脱した後に患者さんに合った運動プログラムを考案してリハビリを行うことが大事。弱っている心機能に負荷を与えて機能を上げた上で日常生活に戻ることで、患者さんやご家族の負担が減ります。脳卒中、整形外科疾患、内部障害のリハビリといった3本柱を据えていることが「総合的なリハビリ」を掲げている理由です。

藤が丘病院との協力のほか、院内でのチーム連携という点で取り組みたいことはありますか?

週に1回は職種関係なくたくさんのスタッフが集まる場を設けたいと考えています。今は月曜日の朝に各診療科の代表が集まって経営面に関する話し合いを行っているのですが、診療面などに関することも踏まえたディスカッションもしたいですね。これについては現在、リハビリチームのスタッフと協議をしている段階。当院はリハビリスタッフのほかに内科医がいて、リハビリに取り組んでいる患者さんに内科疾患が起きた時にスピーディーに診療できることが強みなので、診療面でのつながりをより緊密にしたいです。

先生ご自身のことについてお聞きします。そもそもなぜ医師をめざされたのでしょうか?

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子どもの頃の体験がきっかけです。私の生まれは練馬区なのですが、実家の近くにかかりつけのクリニックがありました。風邪などを引いたりした時はよくそこに行っていて。私の順番が回ってくると、女性の院長先生が診療室から出て来て呼んでくれるんですが、その先生の顔を見ると不思議と体調が良くなるんです。一見すると怖そうですが、実際はとても優しい方。「あれ、病院に行くと体が良くなるな」「先生と話すと病気が良くなる」と思っているうちに、「僕も大人になったらこんな人になりたい」という気持ちが芽生えていって。私の身内には医者が一人もいませんでしたが、だからこそ自分は違った職業に就きたいとも。中学、高校を経てイメージが具体化し、昭和大学医学部に進学しました。

藤が丘病院との共存共栄を図りたい

神経内科を専門にされた理由と医師になってみてのやりがいは?

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昭和大学病院の神経内科は1988年に循環器科を擁する第三内科から独立する形で誕生しました。神経内科は、簡単に言うと、脳卒中を代表とする脳神経系の疾患の診断と治療をメインに扱う科。当時は標榜する病院自体が少なく新しい分野でしたので、興味を覚えました。それと、血液検査ではわからない神経の症状を細かく診察することが多く、比較的に患者さんと接する時間が長いこと。脳卒中などの疾患は身体機能に影響を及ぼすことが多いので、診察でさまざまなことを話し、触診する機会が多いんです。医師になってみてのやりがいは、やっぱり患者さんからの「ありがとう」の言葉。神経疾患の治療は日進月歩ですし、後遺症もなく元気に帰って行かれる方もいます。その一方で、治せない限界を感じることも度々ありますが、良くなるために何とか方法がないか、治療以外にも何らかのサポートができないか、様々なことを模索することに変わりません。

長く医師を務めてきた中で、特に印象に残っている経験はありますか?

20年前、パーキンソン病の患者さんで腸閉塞をおこし、入院された女性がいました。治療により症状は改善し、パーキンソン病の薬も飲めるようになり改善傾向に。「数日後には退院できるかな」と思っていた頃です。その患者さんがこう言ったんです。「先生。ありがとうございました。昨日夫が来てお前もそろそろこちらに来いよと言いました。だから私は明日、いきますね。今まで本当にお世話になりました」と、にこやかな表情で。ご主人は既に亡くなっていました。パーキンソン病にしばしばみられる幻覚かなと思ったのですが、実際にその方は翌日に心筋梗塞を起こして亡くなりました。驚きました。前兆はなかったのですが、気づけなかった。医学で計り知れないことがあると思うとともに、それでも見抜けなかったことに悔しさを感じました。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

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藤が丘病院と共存共栄していきたい思いが一番。そのためには、よりスムーズに藤が丘病院からリハビリが必要な患者さんを受け入れる体制をつくることが必要です。今は受け入れ時にいくつかの部署を経由していますが、できれば段階を減らしてワンクッションでできるようにしたい。起点になる藤が丘病院の地域連携室の権限を強めることがその方法の一つ。医師を入れて治療的な判断をしやすくするなども考えられます。それと、パーキンソン病のリハビリにもより力を入れていきたいですね。内部障害に続く新たな特徴として打ち出せるようになれば、より多くの患者さんに貢献できるのではないでしょうか。

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