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渡辺 励 院長の独自取材記事

渡辺医院

(横浜市青葉区/こどもの国駅)

最終更新日:2021/10/12

渡辺励院長 渡辺医院 main

静かな住宅街の一角にある「渡辺医院」は、40年以上にわたり地域の頼れるかかりつけ医としてこの地で診療を行ってきた。2代目院長の渡辺励(わたなべ・すすむ)先生が、父である先代院長から医院を継承したのが2008年。引き継ぎと同時に改装した院内は、患者が心からくつろげる医院にしたいと、暖色系の灯りがともり、まるでわが家に帰ってきたかのような安堵感が漂う。渡辺院長のやわらかな物腰、優しい笑顔もこの温かな雰囲気にしっくりと溶け込み、居心地の良い空間をつくりあげている。小児科、内科を看板に掲げる同院には、乳幼児から高齢者まで世代を超えて多くの患者が足を運ぶ。「幼い頃から困っている人を助けたい、そんな気持ちがありました」と話す渡辺院長に、診療に対する思いを聞いた。

(再取材日2018年10月14日)

どんな世代の人も安らげる、そんな場所をつくりたい

2008年にお父さまから引き継がれたそうですね。

渡辺励院長 渡辺医院1

父が43年ほど前に「渡辺小児科医院」をこの場所で開業し、10年前の改装と同時に父から継承しました。私はそれまで大学病院に勤務していたのですが、しだいに臨床以外の仕事が増え、患者さんと接する時間が減ってきているなあと感じていました。それで将来のことを真剣に考えた結果、地域に根差した医療をやっていこうと決断したのです。あと以前、体調を崩した父の手伝いをした時期があり、その時にご年配の患者さんから「私の家族はみんな小さい頃からお父さまにお世話になったのよ」と言っていただき、あらためてホームドクターの素晴らしさを感じたことも、ここを引き継いだきっかけの一つです。

とても温かみを感じる院内です。

この医院は私が生まれ育った場所でもあり、私なりに思い入れがたくさんあります。なので、改装にあたってはいろんな所にこだわりました。構想には1年半〜2年ぐらいかけたでしょうか。アットホームな雰囲気づくりはもちろんのこと、患者さんの動線やスタッフの働きやすさといった機能面についても、スペースを有効に活用できるよう知恵を絞りました。待合室の壁に飾っているピンクの象の絵があるでしょう? あの絵も一目ぼれして、改装したら医院に飾ろうと決めて購入し、開院のその日まで大切にしていたものです。ほかにも妻の友人が趣味のステンシルで待合室の壁に葉っぱの模様を描いてくれたおかげで、ただの白い壁が温かみのあるものになりました。どんな世代の方も安らげるような、温かい空間づくりはとても大切だと思っています。

長年続く地域のかかりつけ医として、世代を超えて通っている患者さんも多いそうですね。

乳幼児から高齢者まで幅広くいらっしゃいます。先日いらした患者さんも「先生、うちのおじいちゃん最近こうなのよ」なんてお話をされていたのですが、こちらから積極的に診療以外の話を聞くまでもなく、自然な会話の中でこういったお話ができるというのは理想的かもしれません。ここで生まれ育った私ですが、子どもの頃に父の職場に頻繁に出入りしたという記憶はあまりありませんが、自分が風邪をひいたり具合が悪くなった時に、すぐ隣に医師である父がいて診てくれる安心感やありがたみは常々感じていました。ですから困っている人がいたらすぐに助けてあげることができる医師になりたいという思いは、幼い頃から持っていた気がします。地域のホームドクターとして、何世代にもわたって診て差し上げたいという気持ちが強くありますね。

現在クリニックで多く扱っている疾患や、力を入れている診療について教えてください。

渡辺励院長 渡辺医院2

高血圧や糖尿病をはじめとする生活習慣病の診療を行うほか、睡眠時無呼吸症候群の検査や、CPAP治療(就寝中に鼻にマスクをつけ、空気を送り込む治療)に対応しています。あと、この地域にはご高齢の方も多いですから、骨折による寝たきりを未然に回避できるよう骨密度測定を行い、骨粗しょう症に対し点滴や注射といった内服薬以外の治療を行っています。

専門分野を生かしつつ、体の全体を診る医療を

先生のご専門は腎臓内科だそうですね。

渡辺励院長 渡辺医院3

皆さん腎臓内科と聞いてもピンとこないかもしれませんね。腎臓という臓器自体もどちらかというとマイナーな印象がありますし、腎臓の病気に関する知識は、あったとしても腎臓結石くらいでしょうか。でもこれも正確に言うと泌尿器科の分野ですから、ほとんどの方が腎臓に関して少ない情報・知識の中で生活されています。ところがこの腎臓という臓器はとても守備範囲が広く、腎臓が悪くなると全身にいろいろな病態が出てきます。さらに患者さん自身が腎臓の疾患によるものだと判断できるほど、その症状は特徴的ではありませんから、検査で初めてわかるということがほとんど。当然それを診る医師には幅広い知識が要求されるわけですね。

特に腎臓疾患では、地域の病院との密な連携も強みだそうですね。

近隣のクリニックや大規模病院と連携し、必要に応じて迅速に紹介していますが、特に私が専門とする腎臓疾患に関しては、より専門性の高い医療機関での治療が必要かどうかを適切に見極めています。また、患者さんの腎臓病が重症化した場合などは、私が週に1回外来を担当している大学病院に紹介し、私自身が引き継いで診療することも。病歴を把握している医師に診療してもらえるのは、患者さんの安心材料にもなっていると思います。

先生はそもそもなぜ腎臓内科を専門に選ばれたのでしょう?

渡辺励院長 渡辺医院4

医師として、一つ臓器の疾患だけを診るのではなく、体全体を診なければならないという思いがあったからです。ただ正直なところ、開業医として腎臓内科の特色を出すというのは難しい部分もあります。専門を知って来てくださる患者さんもいますが、やはり風邪などの一般的な症状がほとんどですから。しかし今までの経験が生かされているということは日々実感しています。

患者の言葉には治療のヒントが。しっかり耳を傾ける

ホームドクターとして心がけていることは何ですか?

渡辺励院長 渡辺医院5

忙しい時こそ重大な疾患を見逃さないよう、時間をかけ丁寧に診察すること。これは開院以来変わらない当院のスタイルでもあります。具体的には、とにかく患者さんの話を聞く。いわゆる問診ですね。これが検査より何より重要です。患者さんが話して私が聞く、このやりとりだけで不安が軽減されるという利点がありますが、それ以上に何げないやりとりの中で、たいへん重要なことが語られる場合が実に多いんです。患者さんの訴えには治療におけるヒントが隠されているんですね。そのヒントとなる言葉を導き出す技術をいかに磨いていくか。これは経験することでしか磨くことができないスキルなので、とにかく聞き続けるしかありません。

休日はどのように過ごしてリフレッシュしていますか?

休日は家で飼っている犬と遊んだりして過ごしてます。あとはスポーツですね。テニスは学生時代から続けていて、リフレッシュというよりはかなり本気でやっています(笑)。何か楽しめるものを持つと、それがエネルギーにもなりますし、体を動かしていると体調もいいですからね。この仕事は体力勝負みたいなところもありますから、健康の維持にも役立っています。そして何より、ボールを追いかけ力強く打ち合うあの瞬間は、ストレス発散にもなります。

今後の夢、取り組んでいきたいことはありますか?

渡辺励院長 渡辺医院6

父が行ってきた地域に根差した医療を継続しながら、現在行っていることを今後も続けることが今は一番大事だと感じています。理想像のようなものはきっと継続したその先にあるような気がしているんです。しかし、一人でなんでもするというのには、当然限界があります。地域の診療所と大学病院がうまく連携を取りながら一人の患者さんを診ていく病診連携も、これからますます進んでいくと思いますし、医師レベルでさまざまな分野の先生と協力していくことも大切です。地域医療の重要性が語られることもより増えてくるでしょう。そうした医療全体の変化や進歩の中にあっても、常に患者さんの近くにありたいと思っています。「ああ、それなら渡辺医院に行ってみたら」なんていう言葉が地域の皆さんの会話の中で語られるようになればうれしいですね。

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