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池田 信之 院長の独自取材記事

医療法人社団 緑メンタルクリニック

(横浜市緑区/中山駅)

最終更新日:2023/04/14

池田信之院長 医療法人社団 緑メンタルクリニック  main

JR横浜線中山駅から徒歩5分、ビルの2Fにある「緑メンタルクリニック」。入るとクリニックの名前と同じ緑を基調とした落ち着いた待合室がある。長年、同じく精神科医の父親から継承した同院で診療を行っている院長の池田信之先生。にこやかで落ち着いた話し方が印象的な先生だ。不安障害や摂食障害を専門とするが、それ以外にも幅広い精神疾患に対応している池田先生に、クリニックでの診療と、患者について気づいたことなど、ゆっくり話を聞いてきた。

(取材日2023年3月24日)

新しい治療法を日々勉強している

池田先生が院長になられて長いですが、町の雰囲気や患者さんの様子はかなり変わりましたか。

池田信之院長 医療法人社団 緑メンタルクリニック 1

私は父が開業した「緑神経科」の院長を2002年から勤め、2008年に現在の場所に移転して「緑メンタルクリニック」と改称してから、ずっと同じ場所で診療しています。駅が新しくなったり、マンションが増えたりして、かなりにぎやかになりましたね。人口もだいぶ増えたようです。当院では成人の患者さんが多く来院されますが、新しく越してきた方もいれば、ずっとここにお住まいで長い間通い続けてくださる方もいます。また近くに企業も多いため、サラリーマンをしていて仕事で心の不調を訴える方も多くいらっしゃいます。そのご家族の患者さんも多いですね。

池田先生は不安障害や摂食障害の治療を得意とされているそうですね。

はい。不安障害や摂食障害は治療にたいへん時間がかかります。長ければ、5年、10年とかかることも。その間、患者さんとは治療内容を議論するなど、さまざまな局面があります。不安障害や摂食障害の患者さんは「学校や会社に行けない」など社会から隔絶されてしまう方もいます。ですから治療のゴールは病気が単純に治まったというだけでなく、その後いかに社会復帰できるかどうかです。10年くらい付き合ってもらって、社会復帰できた際にその喜びを患者さんと共有できれば、何にも代えがたい喜びだと思います。ただ、その2つの病気だけでなく「さまざまな病気を平等に診る」というのが私の鉄則です。うつ病や統合失調症、認知症などさまざまな病気の診療にあたります。

長いご経験の中で、治療法もかなり変わられたのではないでしょうか。

池田信之院長 医療法人社団 緑メンタルクリニック 2

そうですね、やはり新薬がかなり出ていますので。抗うつ薬、抗精神病薬、睡眠薬などさまざまです。それらがどういう作用があるのか、また副作用はどういうものがあるのか、といったことを日々本などを読んで勉強しています。中には「治療抵抗性」といって薬があまり効かない患者さんもいらっしゃるようですね。現在、うつ病などはいわゆる「認知行動療法」なども主流になってきました。厳密に言うと当院で認知行動療法は行ってはいないのですが、その概念を本などから自分なりに学んでいます。

目立つ認知症と成人の発達障害

先ほど少し認知症のお話が出ましたが、認知症の方は多いのでしょうか?

池田信之院長 医療法人社団 緑メンタルクリニック 3

超高齢社会になり、激増しているという認識です。今まで統合失調症だと思われていた患者さんがテストをしてみると認知症だったというケースもあります。また認知症には周辺症状というのがあるのですね。不安やうつ状態が認知症とともに症状として出てくるということです。認知症というか高齢者の方は薬の作用に敏感な方もいますから、できるだけ少量の薬で症状のコントロールを図るよう心がけています。また大事になってくるのが地域包括支援センターや訪問看護ステーションなどとの連携です。そういった介護の資源を利用しながら患者さんとご家族を支える必要があると考えます。

そのほか、成人の発達障害などの話題も最近聞きます。

長い間精神科の臨床をやってきた経験からいうと急に増えたわけでなく、いわゆるそういった発達障害の方は昔から一定数おられた印象です。ですが近頃になって「自閉症スペクトラム」といった新しい概念が出てきました。クリニックでもうつ病や双極性障害で診ていた患者さんが発達障害だったということもあります。薬もありますのでそれらを使った治療も必要ですが、私としてはまず患者さんに発達障害がどういうものなのかを知ってもらうことからアプローチします。ずっとうつ病だと患者さん自身でも思っていたものが、まったく違う病気であるというのは混乱されると思いますからね。

池田先生の長い臨床のご経験が治療に生かされているのですね。

池田信之院長 医療法人社団 緑メンタルクリニック 4

大学卒業後、岡山の精神科専門病院や、沼津中央病院の精神科で長らく勤務医をしていました。そういった勤務医の時の経験がなければ今の私はなかったでしょう。特に精神科病棟に入院されている患者さんと接したことが大きかったです。もしかしたら患者さんにとって、精神科病棟に入院するということは、自分はすごく重症で、怖いと思われる方もいるかもしれません。ですが自傷他害などの恐れがあって、外来ではどうしてもカバーしきれない患者さんはむしろ入院していただくと短期間で症状の改善をめざせることもあります。当院も5つの病院と連携していますので、必要と感じたら入院をお勧めさせていただいています。

心身に少しでも悩みがあったらぜひ相談に

最近、池田先生が患者さんについて気になることはありますか。

池田信之院長 医療法人社団 緑メンタルクリニック 5

やはり新型コロナウイルス感染症流行が患者さんに影響しているのを感じます。いわゆる「コロナうつ」という言葉も聞きますが、具体的には新型コロナウイルス感染症の影響で勤めていたお店が閉店するなどして仕事を失い、生活基盤をなくして心身の不調を訴える方が急増しているということは、当院だけでなくほかの医療機関でもよくお話を聞いていました。ですからそういった方には外来の予約時間を調整して、なるべく長い時間をかけてお話を聞くようにしています。またある種の「心気症」というか、「自分は新型コロナウイルスに感染したのではないか」と思い込んで過剰に不安になられて来院される方もいますね。

スタッフの方は患者さんにどういった対応をされていますか。

当院には公認心理師と精神保健福祉士が3人ずついます。公認心理師は患者さんへの心理テストを行うことがメインの業務ですが、当院の特徴として、具合の悪い患者さんが私の診療を診察室でお待ちしている間、公認心理師に先にお話を聞いてもらって、私の診療前に情報をまとめてもらうようにしています。これは当院独自のシステムですね。「話を聞いてもらえる」と患者さんの安心にもつながると思います。精神保健福祉士は、患者さんにとって複雑な行政などへの書類上の手続きを一手にお願いしています。

最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

池田信之院長 医療法人社団 緑メンタルクリニック 6

メンタルクリニックへの受診は以前に比べてかなりハードルが下がったとはいえ、「病院とかそういった所には自分は行きたくない」という方もやはり一定数いるかと思います。ですが精神疾患は、軽症か、それとも中等症のどちらのタイミングで受診するかで、その後の経過がまったくといっていいほど違うのですね。決して重症でなく中等症でも治療にかかる時間は延びてしまいますし、会社を休む必要も出てきます。また、軽症で早期治療できれば再発率が低くなることにつながるとも言われています。ですから、物忘れが多くなった、眠れないといった「病気かな、でも違うかも……」と悩まれているレベルでも診させていただきますので、ご相談する気持ちで遠慮なく当院にお越しいただければと思います。

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