生活習慣病と捉え、継続的な治療と管理を
睡眠時無呼吸症候群
公益財団法人日産厚生会 玉川クリニック
(世田谷区/二子玉川駅)
最終更新日:2021/12/08


- 保険診療
睡眠時にたびたび呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群。家族からいびきがうるさいと言われたり、昼間ついウトウトと眠ってしまったりといったことが自覚しやすい症状として挙げられるが、高血圧をはじめとするさまざまな合併症を引き起こす危険性もぜひ知っておきたい。また、肥満気味の人が発症しやすいイメージだが一概にそうと言えないそうで、「肥満は大きな要因ですが、日本人は欧米人に比べると太っている人ばかりとは言えません」と教えてくれたのは、「玉川クリニック」所長の長晃平(ちょう・こうへい)先生。睡眠時無呼吸症候群を専門的に診断できる長先生に、自覚症状やなりやすい人の特徴、治療方法、そして同院での治療の特徴などを聞いた。
(取材日2021年8月19日)
目次
基本的に治療はずっと継続を。夜に発症する生活習慣病と考えて長期に向き合う睡眠時無呼吸症候群
- Q睡眠時無呼吸症候群とはどういった病気ですか?
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A
▲睡眠時無呼吸症候群の治療を専門とする長先生
主に肥満などをきっかけとして、喉の奥のほうの上気道が狭くなります。睡眠時に仰向けになるとさらに狭まり、息を吸う際の陰圧で喉が閉じて、呼吸が止まってしまうのです。呼吸が10秒以上止まる瞬間が1時間に5回以上あると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。夜中に何度も呼吸が止まると、そのたびに脳が起きてしまったり、実際に目を覚ましたりして質の良い睡眠を取りにくくなります。すると昼間の眠気がひどくなり、交通事故などを引き起こすことも。現在、睡眠時無呼吸症候群は高血圧とも関係が深いと考えられ、高血圧を原因とする心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるとして、循環器科の医師からも注目されています。
- Q自覚できる症状などはありますか?
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A
▲さまざまな症状を引き起こす睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の方は寝つきがいい方が多いです。しかしながら、夜中に無呼吸とともに何度も覚醒するため、朝起きた時の爽快感は得られにくいです。逆に不眠症だと思ったら睡眠時無呼吸症候群だと診断されるケースもあります。どちらも質の良い睡眠が取れていないので、昼間に強い眠気を感じやすいです。眠気によって仕事に集中できなかったり、強い睡魔に襲われるようならば、睡眠時無呼吸症候群を疑ってもよいと思います。あとは隣で寝ているパートナーから、夜寝ている時の大きいいびきや、たびたび呼吸が止まっているという指摘があった際には、医療機関を受診しご相談いただくことをお勧めします。
- Q睡眠時無呼吸症候群を発症しやすい人の特徴はありますか?
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A
▲診療時はさまざまな資料を用いてわかりやすい説明を行う
肥満は睡眠時無呼吸症候群を発症する大きな要因と言えます。しかし、日本における睡眠時無呼吸症候群の患者は欧米に比べると太っている人ばかりとは言えません。首が長い人や顎が小さい人、特に女性の中にはどちらかというと細身に分類される体型の方もいます。年齢にはあまり偏りがなく、運動不足の学生など若年層の中にも睡眠時無呼吸症候群の患者さんは多いです。また、直接の合併症かはまだ定かではありませんが、高血圧を原因として大動脈解離になった方が入院中に睡眠時無呼吸症候群と診断されることもありました。高血圧をはじめとした生活習慣病のある方は、睡眠時無呼吸症候群を併せ持っている場合があります。
- Q治療はどのように行いますか?
-
A
▲早めに医療機関に相談し検査を受けることが大切だ
まずは検査を行い、睡眠時にどれくらい無呼吸の時間があるのかを示す無呼吸低呼吸指数を出し、そのスコアが高い方に治療を行います。治療は主に、小型の機械とチューブでつながったマスクを鼻に着けるCPAP(シーパップ)を用いています。わずかな陽圧のかかった空気を鼻から入れて気道を広げ、呼吸が止まるのを防ぐ方法で、その機械にデータが蓄積されます。患者さんには1~3ヵ月に1回の頻度でクリニックを受診していただき、数値をもとに指導やアドバイスをします。肥満が原因で治療中に減量がうまくいった方の場合は、もう一度検査をして問題がなければ治療は終わりますが、基本的にずっと続けていく必要がある治療です。
- Q玉川クリニックの治療の特徴を教えてください。
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A
▲複数の医師とともに患者の治療をサポートする
当院には私を含め呼吸器内科の常勤医師が2人で、睡眠時無呼吸症候群を専門的に診ることができます。CPAPなどの機械を導入して数値の話をするだけでなく、呼吸器学的な指標を駆使してさまざまなお話をしています。もう1点、通院のしやすさも挙げられます。睡眠時無呼吸症候群の治療は長く続くため、中には機械を購入したいという方もいますが、機械は薬と同じように医師の処方により使用が認められるため、定期的に医療機関を受診する必要があります。当院は土日祝日も診療を行うなど、専門の医師にいつでもアクセスできる体制が整っています。