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猪野 恵一郎 院長の独自取材記事

ツバキ歯科

(松山市/市坪駅)

最終更新日:2021/10/12

猪野恵一郎院長 ツバキ歯科 main

「ツバキ歯科」は椿神社として知られる伊豫豆比古命神社のほど近くにある。神社を右手に見ながら歩いて3分ほど、伊予鉄バスの椿団地前停留所で降りれば徒歩1分。真っすぐな通りに面し車でもアクセスしやすい。院長の猪野恵一郎先生は1980年にこの場所で開業し、以来長きにわたり地元住民を中心に多くの患者の歯と口の健康を守り続けてきた。かつては愛媛県歯科医師会の広報を務め、それまであまり用いられていなかったテレビコマーシャルやイベント企画など新しい試みを積極的に導入。県民の歯科意識向上の啓発に大いに力を注いだ。一人でも多くの患者に、一本でも多く患者自身の歯を残せるようにと日々診療に取り組む猪野先生に、クリニックの診療について話を聞いた。

(取材日2020年2月5日)

一人でも多くの患者のために、スタッフが一丸となって

こちらのクリニックと先生のこれまでの歩みを教えてください。

猪野恵一郎院長 ツバキ歯科1

開業は1980年です。当時この辺りは多くが田んぼで、田に水が入る季節になるとカエルの声がうるさいほどでした。今はどんどん家が建ち、すっかり様変わりしましたね。僕は南予地方の出身で、生まれは愛南町です。より多くの患者さんを診られるように県の中心の松山市で開業しましたが、本当は歯科クリニックがない生まれた場所でやるべきだったのではと、後ろめたいような気持ちをずっと持っています。祖父は呉服屋で、父は船乗り、僕は歯科医師になり、息子はまた全然違う仕事に就いていて、代々それぞれが自由に好きな仕事をしているという家系です。

広報の仕事にも力を注がれたと伺いました。

もう十数年前になりますが、愛媛県歯科医師会の広報を担当していました。それまで広報は歯科医師会内部へ向けた活動が主でしたが、僕は対外活動も重視したいと考えました。地元の新聞にコーナーを作って歯科情報を定期連載したり、歯のメンテナンスを勧めるテレビコマーシャルを流したりと、地域に向けた啓発に力を注ぎました。2004年に始めた「はぴかちゃん歯いく大賞」は特にインパクトがあったのではないでしょうか。歯と口に関する俳句を県内から募集するもので、現在も人気の企画です。初回は1000句も集まれば上出来だろうと想像していたところ約3000句が集まり、今では毎年約2万句も応募があります。いろいろな試みが、少しでも皆さんの歯や口の健康意識を後押しできていればうれしいですね。

このクリニックの特徴はどんなところでしょうか。

猪野恵一郎院長 ツバキ歯科2

僕のモットーは「より良い治療をより多くの人に」。ずっとその思いでやってきました。この地域は少し郊外なので、市の中心部で仕事を終えて帰宅してくる方が立ち寄れるように、開業当時から夜7時まで開けています。当時ほとんどの歯科クリニックが夕方5時か6時までで、遅くまで開いているのは珍しかったのです。長く通ってくださっている地元の患者さんが多く、市外へ引っ越されてもわざわざ来てくださる方もいますよ。そんなふうに頼っていただけるのは、スタッフたちのおかげだと思っています。自慢のスタッフたちです。仕事はもちろんのこと、いつも笑顔で、患者さんと冗談を言い合うほどの良い関係性を築いてくれています。そんなスタッフに恵まれて僕は幸せ者です。

自ら納得して行動に移し、自己管理を日常生活の習慣に

治療だけでなく、メンテナンスが目的の患者さんも多いですか?

猪野恵一郎院長 ツバキ歯科3

以前と比べると今はメンテナンスの意識が広く浸透し、そのためだけに来られる方も増えました。90代の方も元気に通院されています。皆さんは「ずっと良い状態が続いているのは先生のおかげ」と言ってくださいますが、僕ではなく、患者さん自身のおかげですよ。ご自分の歯が大事だと意識されているからです。メンテナンスというと歯のクリーニングを思い浮かべると思いますが、口の中の状態が悪い方向へ向かわないように手入れや管理をすること。何もしなければ少しずつ狂ってくるので、良い状態を維持するためにはメンテナンスが必要です。

予防について詳しく教えてください。

予防には3つの段階があります。まず第1次予防は、病気にならないための予防です。全身で例えれば、食事に注意したり運動をしたりすること。歯科では、砂糖の多い食物を控えることや歯磨きがこれにあたります。第2次予防は、病気になった時になるべく進行を抑えること。端的に言えば、早期発見、早期治療です。虫歯なら浅いうちに見つけて治療し、歯周病なら進まないうちに見つけてメンテナンスを含めた処置をすることです。そして第3次予防は、重くなってしまった場合に失われた機能のリハビリテーションをすることです。機能回復のための対処としては、歯科では、失った歯をブリッジや入れ歯で補ったりインプラント治療をしたりすることですね。

予防で大切なことは何でしょうか。

猪野恵一郎院長 ツバキ歯科4

歯科医院で行うメンテナンスも大切ですが、まず日常生活の中で、自分で行うことが肝心です。高血圧や糖尿病などは「生活習慣病」と呼ばれますが、歯周病もそう呼ばれるようになりました。やはり日常生活での自己管理が重要です。それを「努力」と思うと大変ですが、「習慣」になれば気負わず続けられると思います。今は簡単に多くの情報を得られる時代で、かなりの知識を持つ人も多いでしょうが、知識が行動につながらなければ意味がありません。行動に移すには、知るだけでなく、納得することが大切です。僕ら歯科医師が行う説明も、納得してもらってこそなので、そういう話し方ができているか、僕も常に自分に問いかけています。

歯科医師と患者がチームとなって治療に取り組む

納得してもらうための具体的な方法を教えてください。

猪野恵一郎院長 ツバキ歯科5

例えば歯周病の患者さんには、どういう原因で発症し、どう進行し、今後進行を抑えるにはどうすればいいか、図を見ながら時間をかけて説明します。病名は知っていても詳細を知らない人は多く、ただ歯磨きをしましょうと言ってもピンと来ません。でも「なるほど、そうだったのか」と納得すれば、メンテナンスに取り組む気持ちが芽生えてきます。正しい場所に毛先が当たっていなければ、1日何回歯磨きをしても効果はありません。力を入れてゴシゴシ磨くのではなく、歯ブラシを正しい場所に当てて、正しく動かさなければいけないのです。ただ歯と歯茎の境目の溝が深くなったポケット内には毛先が届きませんので、時々歯科医院で歯石や汚れなどをきれいに取ってもらうことも必要です。

長く現役で活躍されている先生の元気の秘訣はありますか?

やっている仕事が好きだということでしょうか。子どもの頃から運動オンチ、かけっこをすればいつもビリ。でも50代になって野球を始めました。異業種の仲間たちが集まる強いチームで、僕なんてとても試合には出られませんが、みんなでやる練習が楽しくて。シーズンオフの冬季にも、友人と河川敷で自主トレーニングをしています。古い友人たちと山登りも始めました。70歳を越えて思うのは、運動も仕事も、好きなことはいくつになってもスキルアップができるということです。仕事のウデも、いくつになっても磨くことができる。ゼロから始めた野球だって練習すれば少しずつでも上達します。仕事のためにも疲れにくい体を維持したいですし、やればやっただけ効果が現れ、それが仕事のモチベーションにもつながっています。これからもただ黙々とやるだけです。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

猪野恵一郎院長 ツバキ歯科6

患者さんの中には、歯がなくなるのは年のせいだと諦めてしまう人も多いのですが、決してそうではありません。「諦めない」というのは大事なキーワードです。自分の歯を残したいと思う気持ちを持つことがスタートです。その上で僕らもいろいろな方法を提案し、技術を駆使して治療をします。一本でも多く歯を残せるように一緒に頑張りましょう。僕も患者さんと同じように年齢を重ねてきたので、ずっと一緒に頑張っているという気持ちでいます。日常で自己管理を続けていれば治療の成果も出やすく、僕らにとってもうれしいことです。ぜひ僕らを喜ばせてほしいなと思います(笑)。

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