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頭痛ってドクターに診てもらえるの? 痛みとうまく付き合うための頭痛対処法

(公開日2016年6月28日)

原因や仕組みがわからず人知れず悩む人も
頭痛の種類を知ることが上手に付き合うカギ

あまりにも一般的な症状のため病気だと思っていない人も多い「頭痛」。頭痛は健康上問題のない頭痛と問題のある頭痛に大別され、さらに問題のある頭痛は他の病気が原因で起こる二次性頭痛と、頭痛そのものが病気の一次性頭痛に分けられます。問題のない頭痛で代表的なのは、誰もが経験したことのあるかき氷を食べたときのキーンとくる感覚や二日酔いの後の痛み。これは反射的に起こる疼痛反応なので時間が経てば治まります。また、他の二次性頭痛は原因となる病気を治療すれば頭痛の解決にもつながります。
悩ましいのは一次性の頭痛です。痛みが起こるメカニズムもはっきりと解明されておらず症状も人それぞれ。痛みが過ぎれば普通に日常生活を送れることや検査では異常が出ないため、医療機関を受診する人も少ないのが現状です。
つらい頭痛と上手に付き合うために必要なのは、自分の頭痛のタイプを見極めること。まずはそこから始めてみましょう。

悩んでいるのはあなただけじゃない!! 頭痛体験談

「頭が痛い」と一言で言っても悩みのポイントは人それぞれ。
やり過ごせることもあればそうでないこともあり、頭痛持ちの数だけ頭痛にまつわるエピソードや疑問、
対処法があります。

  • 頭痛のときは遊びたがる子どもと一緒に動くのがつらいです。痛み止めをよく飲みますが、服用し続けても大丈夫?40代 女性
  • 食欲すらなくなってしまうほどの頭痛がよく起こります。体を動かすと落ち着く気がしてヨガやストレッチをしています。40代 女性
  • 週1回は頭が痛いと感じるかも。頭痛に効くというオイルを常備していて、痛いなと思ったらこめかみに塗っています。30代 女性
  • お酒を飲んだら必ず痛くなるので、結婚式の二次会など結構つらいです。同時に肩凝りもひどいけれど、これって関係あるの?30代 男性

どんな痛みを感じる?あなたの頭痛を確認

つらい頭痛と上手に付き合うために重要なのは自分の頭痛を理解することです。漠然と痛い時期をやり過ごすのではなく、まずは痛みの種類や痛む期間、二次的な症状などいつもの頭痛の特徴を一つ一つ整理していきましょう。もしかしたら、頭痛とは関係ないと思っていた症状が頭痛のタイプを知るきっかけになるかも!?

頭痛の頻度はどれくらい?

頭痛が起こる頻度は年に数回という人もいれば、月に1回程度という人、中には週3回以上と頻繁に起こる人もいてかなり個人差があります。これは頭痛の種類やその原因と考えられるストレスや病気などとも大きく関係しています。自分の抱える頭痛のタイプを判断するのに重要なポイントです。

どのあたりが痛む?

頭全体、こめかみから前、後、目の奥、顔のあたりと表現方法はさまざま。頭のどこが痛いか正確に把握するのはなかなか難しいものですが、実は痛む場所は頭痛の種類によって変わってきます。痛みが起こっていると思われる場所からあなたの頭痛のタイプがわかるかもしれません。

痛みが続く期間は?

数日間で治まる場合は乗り切れるかもしれませんが、だらだらと続く痛みは本当につらいもの。頭痛の頻度と同様に頭痛の種類によって個人差がありますが、痛む期間は少しでも短いほうがよいのは皆同じ。特に長期間続く痛みはもともとの頭痛とは別の要因が関係していることも考えられます。

何をすると痛みが和らぐ?

薬局にズラリと並ぶ市販の頭痛薬。気軽に手に入ることから利用者も多いのでは? 独自の対処法では冷やす、温める、アロマオイルを塗る、ストレッチやマッサージで凝りをほぐす、という方法を実践している人もいますが、中には痛みが治まるまで我慢するという人も。痛みが和らぐ方法も頭痛のタイプによって異なります。

頭痛が起こるタイミングは?

生理の前後に痛くなるという人、お酒を飲んだら必ず痛くなるという人、初対面の人との食事中、寝すぎたとき、残業続きのときといったように頭痛が起こるシチュエーションはさまざまです。男女問わず頭痛は緊張したシーンでもリラックスしたシーンでも起こります。いつ起こったのかを記録しておくと、自分の頭痛の特徴が見えてくるかも。

頭の痛み以外につらいのは?

光や音に敏感になる、吐き気がする、動くとつらい、じっとしているのがつらいといったように、痛みと同時に他の症状に悩まされる人が多く、ひどい場合には日常生活に支障を来たすこともあります。気分が落ち込みうつ状態を引き起こすなど、頭痛そのものより深刻な場合もあります。

頭痛の種類を把握しよう!

頭痛には頭痛自体が病気の一次性頭痛と、他の病気から起こる二次性頭痛の大きく分けて2種類があります。ここでは一次性の3つの代表的な頭痛と、二次性頭痛の概要をご紹介。あなたを悩ませる頭痛に思い当たる症状がないか確認してみましょう。

【一次性頭痛】

片頭痛

思春期から妊娠、出産、子育てをする世代の女性に多く、痛みは1~3日で収まりますが、動くと悪化することから生活に支障が出ることも。原因は特定されておらず、遺伝的な要素や女性ホルモンとの関係性も疑われています。

特徴

  • ドクドクと波打つような痛みがある
  • 吐き気を伴う。実際に吐いてしまうことも
  • 光と音に敏感になる
  • 動くと悪化してしまう
  • 生理周期に合わせて痛みが起こる
……など

予防&解決法

片頭痛は緊張していてもリラックスした状態でも起こります。突然明るい光を見たときや空気の悪い空間にいたとき、香水の強い香りなど誘因もさまざまですので、まずは自分の頭痛の状態を知ることが大切。痛みを抑えるには病院で処方されるトリプタン系製剤が効果的です。

【一次性頭痛】

緊張型頭痛

どんな人にも起こりうる頭痛で、男女や年齢の差はなく、このタイプの頭痛に悩む人が最も多いとされています。精神的なストレスとの関係が深いことから、長引くとうつ病に似た状態になることもあります。

特徴

  • 押し付けられたり締め付けられるような痛み
  • 動くと良くなる
  • 精神的ストレスが原因の場合が多い
  • 気分が落ち込みやる気がでない
  • 首筋が張って肩凝りを合併しやすい
  • ……など

    予防&解決法

    動くと良くなることから無理をする人も多いですが、ストレスの原因を解決し緊張をほぐすことが一番です。鎮痛剤は重症になれば効かないこともあり、ストレスが強い場合には抗不安薬や抗うつ薬を併用することも。医師の診断を受け適切な薬を飲むことが重要です。

    【一次性頭痛】

    群発頭痛

    20代半ば~40代の働き盛りの男性に多く、まれな頭痛のため理解を得られず人知れず悩んでいる人もいます。この頭痛と必ず関係しているのがアルコール。どうしようもない痛みで錯乱状態に陥ることもある激しい頭痛です。

    特徴

    • 群発地震のように群れをなして起こる
    • 一定期間、毎晩決まった時間に3時間ほど痛む
    • 痛みで目が覚める、半狂乱状態で動き回ることも
    • 目が充血し涙、鼻水が出て、瞳孔が小さくなる
    • 汗をかくなど自律神経の異常を伴う
    ……など

    予防&解決法

    群発期と緩怠期には個人差がありますが、激烈な痛みが起こるため、睡眠が取れず仕事を休む人もいます。お酒を飲むと起こる傾向にあるので、一度でもこの痛みを経験したらお酒は控えたほうがいいでしょう。

    二次性頭痛

    頭痛には他の疾患が原因となって起こるものもあります。一番多いのは、くも膜下出血など頭の中の病気によるもので、これらは放置しておくと命に関わるため、すぐに病院で検査し適切な治療をする必要があります。また、頭の中以外にも目や耳、鼻や顎関節の病気や、内科的な疾患が引き金となり痛みを併発していることも。まずはどこに原因があるのかを調べることが重要です。

    一次性頭痛との違い

    片頭痛などの一次性頭痛は検査をしても異常が出ないため原因の特定が難しいのに対し、二次性の頭痛はCTやMRI、血液検査などを受けることで原因となる病気を見つけることができます。その病気を治療すれば頭痛の解決にもつながるので、原因がある頭痛を疑った場合には早めに医療機関を受診しましょう。

    考えられる症状例

    神経内科、眼科、耳鼻科、歯科など、頭痛の原因となる病気によって受診する科も違ってきます。症状や既往症等と合わせて担当の診療科を上手に選択するのがポイントです。

    頭以外に原因

    ・緑内障 ・蓄膿症/副鼻腔炎 ・顎関節症 ・褐色細胞腫

    頭の中に原因

    ・くも膜下出血 ・脳出血 ・脳腫瘍 ・髄膜炎

    痛みは我慢せず医療機関へ相談を

    頭痛を日常的に感じている人こそ、単なる頭痛と思ってしまいがちですが、頭痛はそれだけでも1つの病気であり、また背景に別の重大な疾患が潜んでいる可能性も。自己判断せず、医療機関でしっかり診断してもらうことが大事。医師と上手にコミュニケーションを取って、痛みとさよならするための糸口を見つけましょう。

    ドクターに相談するときのポイント①

    頭痛の症状を細かく記録
    一目でわかる頭痛日記をつけよう

    一ヵ月のうち、いつ頃からどれくらいの期間、どんな痛みがあるか、生理周期との関係、光に敏感になるなど特徴を記録しておくと医師に痛みの状態が伝わりやすくなります。

    ドクターに相談するときのポイント②

    市販薬など服用中の薬の情報は
    きちんとまとめておくのがお勧め

    日常的に飲んでいる痛み止めなど常備薬について尋ねられても正確に答えられるように、薬を持参するか飲んだ薬のメモを用意しておくとよいでしょう。今後の服薬指導にも有効です。

    ドクターに相談するときのポイント③

    痛みがないときにこそ受診を!
    冷静に医師に頭痛の状況を伝えて

    痛みがあるときしか診てもらえないのでは? と考える人も多いですが、そんなことはありません。落ち着いて話せる状態で受診することが正確な診断につながります。

    薬の飲み過ぎに要注意!痛みを和らげるために飲んでいる鎮痛剤
    もしかしたらそれが頭痛の原因かもしれません

    頭痛に悩む人が多いことからそのニーズに応えるために薬局に並ぶさまざまな頭痛薬。市販のステロイド薬だけではなくトリプタン系製剤のような医師から処方された薬も、適切な服用をしなければ、痛みを抑えるどころか新たな痛みを引き起こす可能性があることをご存知ですか?

    中でも片頭痛と緊張型頭痛のある人で月に15日以上鎮痛剤を服用している人は要注意。それぞれの頭痛の特徴が消え、だらだらと続く痛みに変容していきます。

    また、痛いから飲むのではなく、予防内服として痛くなる前に飲むことを繰り返していると、薬の量はどんどん増え慢性的な痛みへと変化していきます。タバコのような中毒性はありませんが、本来、楽になるための薬を過剰摂取することで新たな頭痛を引き起こしてしまっていては本末転倒です。痛みのない快適な日常生活を送るためには、安易に薬に頼ることなく賢く付き合っていくことも重要です。

    頭痛と付き合うためのQ&A

    日常生活で頭痛を抱える中、痛みの種類や薬以外の対処療法など知りたいことはたくさんあるはず。
    同じ悩みを持つ人たちは頭痛とどう向き合いどう対応しているの? 
    頭痛に悩む人たちの素朴な疑問をまとめてみました。

    マッサージをすると痛みが和らぐ気がしますが本当はどうなの?
    緊張型頭痛などの場合、筋肉をほぐすことは良いのですが、一時的に効果があるだけで結局はまたすぐに凝ってしまいます。根本的にはいかにリラックスできるかということですから、何かストレスがある場合はその原因を探って解決するのがベストです。薬以外の対処療法としては、生活の中での原因を突き止め、痛みの引き金になる要因がわかれば、それを避けることで刺激を受けないようにすることがより効果的だといえるでしょう。
    生理前に片頭痛が……女性ホルモンと何か関係が?
    確かに生理のときに片頭痛が起こることはよくあり、女性ホルモンとの関係性も疑われています。しかし、更年期や閉経後も頭痛がなくなることはないことから、必ずしも片頭痛の要因と一致しないというのが現在の見解です。
    頭痛を招く食事はありますか?
    外国人の場合はワインを飲むことやサラミやチーズを食べることで症状が悪くなることもあるようですが、日本人には特に関係ないと思われます。赤ワインで頭が痛くなるという女性がいますが、頭痛の直接の原因とは考えにくいです。
    すぐに病院に行ったほうがいい痛みの種類はありますか?
    頭痛持ちの人は自分の痛みの特徴をわかっていると思うので、いつもの痛みと違うと思ったら受診することをお勧めします。また、お風呂に入ったときや、シャワーを浴びた瞬間に殴られたような痛みを感じたときは、RCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)のような血管の病気の可能性もあります。意識がなくなったり麻痺が残ることもあるので、雷に打たれたような痛みの頭痛(雷鳴性頭痛)の場合は、病院で検査をするなど早めの対応が必要です。
    高齢者にも片頭痛は起こりますか?
    高齢者の場合は二次性頭痛がほとんどです。ですから、老年期に起こる頭痛には注意が必要です。高齢者特有の頭痛以外に、頭をぶつけて硬膜下血腫を起こしている可能性もあるので、必ず早めに医療機関を受診しましょう。
    頭痛に慣れてしまったようでつい我慢してしまいます。
    単発で起こる頭痛ならばそれでもいいかもしれませんが、慢性頭痛はまた次に必ずやってきます。頭痛をなかったことにするのではなく、まずは自分に頭痛があることを知った上で上手に付き合う方法を探してみてください。
    お酒を飲んでいると痛みが!薬は飲んでも大丈夫?
    アルコール摂取時に薬を飲むことは好ましくありません。まずはアルコールが覚めるのを待ちましょう。ただ、お酒を飲んでいるときは何が起こっているか冷静に判断できないもの。もしも痛みが続くようなら医療機関の受診を。

    まとめ&先生からのメッセージ

    頭痛のために家庭や職場で100%の能力が発揮できないということは、人間関係や信頼関係、勤務評価に影響を及ぼすこともあります。約束を守れなかったり欠席が目立ったり、ご自身の評価がゆがめられてしまうほか、社会的なロスも大きいとされています。「私に頭痛さえなければ違った人生があったのでは?」と一度でも考えたことがあれば、それは日々の生活の中でそれだけ困っているということ。ぜひ医療機関を受診していただきたいですね。頭痛の症状は患者さんの数だけあります。初診で医師がすべてを知ることは難しいですが、頭痛日記をつけていただきコミュニケーションを重ねることで、一緒に解決法を探していきましょう。

    監修 慶應義塾大学病院神経内科 鈴木 則宏 先生
    • 慶應義塾大学病院神経内科教授
    • 日本内科学会認定総合内科専門医
    • 日本神経学会認定神経内科専門医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • 日本認知症学会認定認知症専門医

    イラスト:しおたまこ