松岡英美 院長の独自取材記事
ライラック通り歯科
(大田区/久が原駅)
最終更新日:2021/10/12
東急池上線久が原駅から、買い物客でにぎわうライラック通り商店街を進むこと3分。2012年7月にオープンしたばかりの「ライラック通り歯科」を訪ねた。清潔感ある白を基調とした院内には、2面の窓から優しい光が差し込む。「患者さんにリラックスしていただきたい」と語る松岡英美院長が照明やインテリアなど細部までこだわった、居心地のいい空間だ。昭和大学歯科病院で14年、個人医院で5年の勤務経験を積んだ松岡院長の専門は、歯の根の中にある神経の治療を意味する歯内療法。歯を抜かずに治して、長持ちさせる治療である。一般歯科・予防歯科・ホワイトニング・義歯・矯正歯科・インプラントと、成人向けの幅広い診療を提供する一方、自身の育児経験を生かしたいと、小児歯科にも力を入れている。にこやかな笑顔が印象的な松岡院長に、めざす歯科医院の形、診療への思いなどを伺った。
(取材日2012年7月23日)
できる限り削らず抜かず、天然の歯を長持ちさせる
開院にあたり、久が原を選んだ理由を教えてください。
私は生まれも育ちも大田区・東急沿線で、開業するなら愛着のあるこの大田区がいいなと思っていたんです。久が原駅前のライラック通り商店街は、綺麗に舗装されて歩きやすく、街の皆さんも明るく親切な方ばかり。すごくいい所だなと思いました。物件も1階なので入りやすいですし、角部屋で2面に大きな窓があり、明るく開放的で、ゆったりとした雰囲気がすぐに気に入りました。目の前に内科、近くには薬局や眼科もあるので、地元の皆さんに安心して通っていただけると思います。
ご専門は歯内療法学でいらっしゃるんですね。
はい。昭和大学歯学部を卒業後、同大の歯内療法学教室に14年間勤務しました。歯内療法とは、できる限り歯を抜かずに天然の歯を長持ちさせるための、根管(歯の根の中の管・神経)の治療のことを言います。治療の多くは、虫歯が悪化して歯冠部(歯の頭の部分)が溶け、痛みが止まらない状態、または神経が死んでいて歯の根っこの先の骨に空洞ができて、膿が溜まっている状態から始まります。かぶせ物や金属の土台があれば外し、虫歯の部分を削り取って、根管の壁を少しずつ削りながら神経のラインを広げて、きれいに清掃し、症状に合わせたお薬を使っていきます。大学病院では、患者さんの症状や抵抗力・免疫力に合わせて、たくさんの薬剤や器具の中から適切な治療法を選ぶ研究や、根管治療にレーザーを応用する研究にも力を入れました。歯内療法は、文字どおり歯の根の中ですから患部が見えず、手の細かな感覚で進めていく、難しい治療です。それだけに、術前と術後のレントゲン写真を見比べて、天然の歯のカーブを崩さず、きれいに病巣を治せると本当にうれしくて、どんどん夢中になっていきました。
大学病院時代の、印象的な患者さんのエピソードをお聞かせください。
ある時、若いサラリーマンの患者さんが、上顎の真ん中から2番目の歯の治療でいらっしゃいました。歯の根っこが90度くらい曲がり、根管の先端に病巣ができている状態で、「開業医さんに『抜いてブリッジを入れましょう』と言われたけれど、前歯がなくなるのは嫌です」という訴えでした。時間をかけて治療した結果、天然の歯を残したまま治すことができました。その患者さんは、それ以来「ほかの歯も松岡先生に診てほしい。先生が『抜きなさい』って言うなら、諦めてどの歯でも抜きますから」とおっしゃって、何年も通ってくださるようになったんです。この方のように、開業医さんから紹介されて大学病院にいらして、症状が治っても、遠くから通い続けてくださる患者さんがたくさんいらっしゃいました。患者さんに信頼され、長く通っていただけたことがすごくうれしかったですね。
カウンセリングを重視した丁寧な診療を
開業を決意されたのはなぜですか?
患者さんお一人お一人と濃密なコミュニケーションをとって、ご希望を汲みながら治療したいと思ったからです。勤務医時代は、予約がたくさん入るのでどうしても慌しくなっていましたから。当院では、安心して通っていただけるよう、ゆったりとした診療を心がけています。ですから、初診の患者さんにはなるべく45分の時間をとって、じっくりとお話を伺います。また、リラックスしていただくために内装にもこだわりました。圧迫感なく広くすっきり見せたかったので、院内はソフトな色合いの白を基調にしています。受付から診療室へと続く大きな窓が当院の自慢なのですが、窓に白い強化和紙のブラインドを掛け、内側に間接照明も付けました。和紙に日光と照明が反射して、すごくやわらかい光が入るんです。これも、とっても気に入っています。
歯内療法を要する患者さんも多く来院されますか?
オープン早々、ご近所の男性が「何軒かの歯医者さんに抜くしかないと言われたんだけど」と来院されました。両側の奥歯の根っこに病巣ができて、歯肉に膿の出口があり、神経が死んで骨の中にも影響が出てしまっていました。今、順調に治療中で、片側はもう、膿の出口もなくなりました。ほかには、日本歯内療法学会のホームページから当院を探して来てくださった患者さんもいらして、歯内療法を求める患者さんの多さにあらためて気付かされましたね。
ほかに、力を注いでおられる治療はありますか?
予防歯科とホワイトニングです。特に、PMTCという、専用の器材を使用した徹底的な歯のクリーニングをおすすめしています。治療後、歯がツルツルになる感覚を覚えていただくと、患者さんはそのツルツルを持続したいと歯磨きを念入りにするようになり、それが歯周病・虫歯予防にもつながります。PMTCは欧米では当たり前の治療ですし、日本でも、半年に1回PMTCを受けるという習慣が広まってほしいと考えています。さらに、見た目にももっときれいな歯になりたいとお考えの方には、ホワイトニングをご案内しています。当院では、ポリリン酸ナトリウム入りの薬剤を使ったホワイトニングを導入しています。歯の表面のカルシウムを溶かすことを脱灰(だっかい)と言いますが、当院のホワイトニング薬剤は、脱灰をさせず、ラボベースの実験結果では歯の表面を再石灰化させる可能性を有するので虫歯の予防にもなります。さらに、ステインなどの沈着物を取り去ってコーティングもするという、すごくいいものなんです。しかも、従来のホワイトニングは痛みを伴うことが多いですが、当院のホワイトニングはほとんど痛みが出ません。薬剤にあてる特別な照射器も、お口全部を一度に照射できるものなので治療が短時間で済みます。保険外診療にはなりますが、自信を持っておすすめできるホワイトニングです。興味を持たれている患者さんも多いですね。
母親としての視点を、小児歯科に生かしたい
歯科医師を志したきっかけをお聞かせください。
外科医である父の姿を見て育ったので、自然と医師の仕事に憧れを持ち、高校3年で進路を決める際、昭和大学歯学部への進学を決めました。実は小さい頃、虫歯や矯正の治療で近所の歯医者さんにずっと通っていて、私自身、たいがいの歯科治療の痛みを経験しているんです。当時の歯科医療がどんなものだったかよくわかりませんが、歯学部生の時、初めて大学病院の先生に診てもらったら、「なんでこの歯抜かれちゃってるの?ここの神経も取らなくてもよかったのにね」なんて言われたりもして(笑)。神経のない歯は、栄養補給のない枯れ木のような状態ですから、経年劣化で10年も経てばいつ割れてもおかしくありません。私にも神経のない歯があるので、「いつ折れてしまうんだろう」という不安感がありますし、歯医者さんでの痛い経験、怖い思い出があります。だからこそ、患者さんの治療ではなるべく神経を残したいし、厚く丈夫な歯質を残したい。そしてなるべく無痛の治療をしたいと思っています。
設備面でのこだわりを教えてください。
子どもさんの患者さんがぐずったときなども手早く治療できるようにと、設備は最新のものをそろえました。麻酔は、痛みの少ない電動注射器や無痛針を使いますし、かぶせ物を固める照射器はLEDタイプで、数秒で効果が出るものです。パノラマデジタルレントゲンを導入していますので、少ない被ばく線量でのレントゲン撮影が可能ですし、レントゲン写真は診察台のテレビに映すので、鮮明にご覧いただけます。また当院では、かぶせ物や詰め物もいろいろな種類をご用意しています。保険適用のものはもちろん、セラミック・ハイブリッドセラミックなど、ご予算やお好みに合わせた選択肢をご紹介しているので、お口の中に金属を入れたくない方にも喜んでいただいています。
最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
いつまでもご自身の歯で楽しくお食事ができ、きれいな口元で素敵に笑える毎日のために、経験に基づく技術と知識でお手伝いさせていただきます。また、私自身が小学1年生の息子の母なので、お子さんの治療も得意です。お子さんの虫歯予防には、味付きのフッ素塗布も行っていますので、ぜひご活用いただきたいですね。診察台で楽しめるアニメDVDや、待合室にはおもちゃもご用意しています。歯科医師が嫌いなお子さんでも、「3つ数えて我慢してみようか。いーち、にーい、さーん」なんて声をかけて、あやしながらゆっくりと治療していけば、少しずつ頑張れるようになります。最初はわんわん泣いていた子が、治療の後半には、お母さんなしで一人で通院して、「ありがとうございました」って言って帰れるようになったこともあるんですよ。お子さんが精神的にも成長を見せてくれたりすると、「よかったな」とうれしく思いますね。これからも、ご家族皆さんで安心して通っていただける歯科医院をめざしていきたいと思います。