看護師・歯科衛生士・医療事務などの転職ならドクターズ・ファイル ジョブズ
求人情報 8,867件 掲載中! (2024年06月02日現在)

記事公開日:2023/08/21

最終更新日:2023/08/18

急性期病棟で働く看護師の仕事内容・役割・向いているタイプをご紹介

Pixta 64463977 m 1200px Pixta 64463977 m 1200px

これまでクリニックで看護師として働いてきた人の中には、キャリアアップや経験を積むことを考え、病棟での仕事に興味を抱いている人もいるのではないでしょうか。
ただ、ひと口に病棟といっても、急性期病棟や慢性期病棟、回復期リハビリテーション病棟などさまざまな病棟があり、それぞれ役割や仕事内容が大きく異なります。

この記事では、急性期病棟にフォーカスをあてて看護師の仕事内容や一日の流れ、やりがいなどについて紹介します。急性期病棟で働くことに興味がある人はもちろん、急性期病棟での仕事について知らないという人にとっても、看護師としての働き方のヒントになるはず。ぜひ参考にしてみてください。

急性期病棟の看護師の求人を見る

1 急性期病棟とはどのような施設?

「急性期」は、病気になって間もない時期や急に症状が現れる時期を指し、迅速な治療が求められます。そんな急性期の患者をはじめ、症状が不安定で集中的な医療介入を必要とする重症度の高い患者を受け入れて治療・処置を行う施設が「急性期病棟」です。
急性期病棟での基本的な看護体制は「7対1(1人の看護師が7人の入院患者を受け持つ)」ですが、入院患者への医療介入の必要度が7対1体制よりも低い医療機関などでは10対1体制を採用しているところもあります。

急性期病棟は幅広い診療科目や疾患に対応しているところが多く、救急搬送された重症患者や、ほかの医療機関や病棟で容体が悪化した患者など、緊急の治療・処置の必要な人たちの受け皿となっています。

急性期病棟には主に以下の3つの役割があります。

①重症救急患者の受け入れと迅速な医療の提供

夜間・休日を問わず、救急搬送されてきた重症患者、容体の悪化した患者などに対して、治療や処置を行います。生命の危機に直面しているケースでは、特に迅速かつ最善を尽くさなければなりません。
なお、急性期病棟での患者の入院期間は、症状によるもののおおむね2週間以内と、ほかの病棟に比べると短い傾向にあります。

②症状に応じた高度かつ専門的な医療の提供

急性期病棟では、脳神経疾患や冠動脈疾患、重症感染症など、さまざまな疾患や症状に対応できるように医療設備が整えられており、患者の症状に応じた治療・処置を行います。例えば急性期のがん患者の場合、腹腔鏡下手術や放射線治療、化学療法、抗悪性腫瘍剤の局所持続注入などです。

③退院・転院に向けた支援

急性期を脱した患者は退院または回復期病棟などへ転院となるため、スムーズに退院・転院できるようにサポートすることも急性期病棟の重要な役割です。
例えば、退院時のリハビリテーション指導、退院後の生活に関する説明や指導(介護支援連携指導)、在宅療養中に症状が悪化した場合や回復期病棟や慢性期病棟に入院が必要となった際の受け入れ先(後方支援病床)の確保などを行います。地域の医療・福祉機関と連携しながら患者の退院・転院後の生活も支えます。

ちなみに、急性期病棟と役割の近い存在として、高度急性期病棟があります。高度急性期病棟では、急性期病棟の入院患者よりもさらに症状の深刻度や緊急度の高い患者に対して、集中的に治療・処置を施します。
救命救急病棟や集中治療室、ハイケアユニット、新生児集中治療室、新生児治療回復室、小児集中治療室、総合周産期集中治療室などが該当し、さらに高度な医療が求められます。

2 急性期病棟の看護師が担う役割や仕事内容

急性期病棟での看護師の役割は、急性期の状態にある患者の診療補助、入院患者の全身管理、手術の準備など多岐にわたります。
以下で主な仕事内容と求められるスキルを紹介します。なお、対応疾患などによって違いがあることを留意しておきましょう。

●主な仕事内容

・重症患者の全身管理

容体が急変する恐れのある重症患者に対し、定期的なバイタルサイン測定や採血などで状態を見守りつつ、夜勤時には夜間巡回、ナースコールへの対応などにより、24時間体制で全身の観察・管理します。また、体動が困難な患者の場合、体位変換も行います。

・人工呼吸器やドレーン類、点滴ラインの観察・管理

急性期の患者の多くは、全身の状態を安定させるために、いくつものドレーンや点滴ラインなどが挿入されており、これらの観察や管理を行う必要があります。そこでドレーンに詰まりがないかを確認し、清潔な器具の提供に努めなければなりません。点滴については数種類の薬剤が投与されている患者もいるため、薬剤の副作用や相互作用に関する理解も求められます。

・周手術期に関する術前・術後の管理全般

手術前の検査や手術を受ける準備から、術後の看護に至るまで、患者が安心してスムーズに手術を受け、回復期へと向かえるようにケアします。
例えば、術前は、手術内容に応じて前日の下剤の服用による排便の確認、剃毛、飲食制限の管理などを実施。手術当日には、直前のバイタルサインチェックの他、指定の輸液管理、抗生剤投与を行うこともあります。術後は、創部やドレーンの観察・管理、フィジカルアセスメント、疼痛管理といった看護を行います。

・検査や処置など診療の補助

医師や歯科医師の診療の補助を行います。また、検査の準備や検査中の確認、管理も看護師が中心となって行います。

・入浴時や排泄時の清潔保持

入浴が困難な患者に対してタオルで体を拭く、髪を洗う、陰部を洗浄するなどによって、清潔な状態を保つようにします。また歯科医師や歯科衛生士と連携しながら、口腔ケアにも対応。これらのケアは合併症を予防するためにも重要です。
また、自分でトイレに行くことが難しい、あるいは排泄が困難な患者に対するおむつ替えなどのケアも実施。おむつやパッドに排便が見られる場合は、陰部の拭き取り、洗浄、皮膚状態のチェックなどを行います。ケアだけでなく、回復期へ向けて患者が自力で排泄ができるようにサポートもしていきます。

・医師やコメディカルとの連携

急性期病棟では、医師や各分野の専門知識を有する医療スタッフらと連携して患者の対応にあたります。栄養を経口摂取することができない患者の場合には管理栄養士、リハビリテーションが必要となる場合には理学療法士や作業療法士、言語聴覚士というように、患者の状態や症状に応じて関わる職種が異なります。
そのような連携体制で、患者の治療や手術、検査などがスムーズに進むように、患者の状態を観察している看護師が各担当者にしっかりと報告・共有します。

・患者や家族への精神的ケアや助言・指導

病状への不安を感じている患者本人や家族に対して精神的なケアを行います。また、退院・転院した後の生活や社会復帰に向けた助言や指導を担当することもあります。

●求められる資格

急性期病棟で看護師として働くためには、当然ながら看護師の資格が必要となります。そのほかに必須の資格は基本的にはありませんが、業務では高度な専門知識が求められるので、公益社団法人日本看護協会のがん看護専門看護師や救急看護認定看護師といった「専門看護師」「認定看護師」の資格を有する人、あるいは働きながら資格取得をめざす人もいます。

それ以外にも、BLS(一次救命処置)、ACLS(二次心肺蘇生法)、PALS(小児二次救命処置法)、急性期ケア専門士など、従事する領域や病棟に応じた専門的なスキルや資格を取得する人も少なくありません。

3 急性期病棟で働く看護師の一日の流れ

本項では急性期病棟で働く看護師の一日のタイムスケジュール例を紹介します。患者の状況に応じて臨機応変な対応が求められるため、日々のスケジュールは流動的になることが大半ですが、あくまでも一般的な事例として、仕事のイメージをつかんでみてください。
なお、急性期看護の場合、二交代制や三交代制など、職場によってシフトのスタイルはさまざまです。ここでは、「二交代制の日勤」というケースを紹介します。

急性期病棟で働く看護師の一日の流れ

【8:30】朝礼/夜勤担当者からの引き継ぎ

夜勤担当者に患者の状態や看護内容などをヒアリングし、業務を引き継ぎます。

【9:00】午前の病室ラウンド(バイタルチェック、検温、ケアなど)

担当患者の病室を見回り、検温やバイタルチェックを実施。輸液ポンプなどが不足していないかなど、患者一人ひとりに適したケアを行います。

【10:30】清潔ケア、入退院対応、転棟・転入患者の準備

シャワーのサポート、清拭、おむつ排泄の人のおむつ交換、陰部洗浄などを実施。手術患者がいる場合にはオペベッドの準備などを行います。

【11:30】昼食準備、片付け、口腔ケア

配膳、下膳、食事介助など、患者の昼食のサポート。歯磨きをするように声がけ、義歯の洗浄などを行います。

【12:30】休憩

至急の患者対応に応じられるように、スタッフは時間をずらして交代で休憩を取るようにしている職場が多いです。

【13:30】午後の病室ラウンド

午前と同様に担当患者の病室の見回り。午前中に行った処置の経過観察なども行います。

【15:00】カンファレンス、カルテを記載

各医療スタッフと患者の情報を共有し、看護記録を作成。患者の状態を踏まえ、必要に応じて看護計画の見直しなどを行います。

【16:30】夕礼/夜勤担当者へ患者に関する情報を共有

夜勤担当に患者の容体や留意事項などを申し送りします。

【17:00】患者へ交代のあいさつ

担当患者の病室を回り、夜勤の担当者に交代することを伝えます。

【17:30】退勤

患者の容体の変化や救急搬送などの突発的な対応により、残業が発生することも。

4 急性期病棟の看護師として働くことのやりがい・魅力

急を要する患者を看護していく急性期病棟での看護師の仕事。そのやりがいや魅力を紹介します。

・回復する様子が間近で見られる

患者の回復に貢献できることを、看護師としてやりがいと感じている人が多いのが急性期病棟の看護師。急性期病棟の現場では、時に刻一刻を争うような状況で看護に臨むため、切迫感や緊張感が大きいです。その分、生命の危機すら感じるほどの症状だった患者が回復し、元気になっていく様子を間近に見ることができたときは喜びを強く実感できるでしょう。
患者へのアセスメントやケアが、バイタルサインの数値の好転や症状の回復に向かう兆候につながるなど、目に見えて患者の変化が表れやすいという点も、「自分の看護が患者を救っている」という実感につながりやすいです。

・専門知識や技術が得られてスキルアップしやすい

急性期病棟では高度かつ専門的な医療技術や知識を身につける機会が多いことも、スキルアップやキャリアアップをめざしている人にとって魅力といえます。急性期病棟を設置しているような規模の大きい病院の場合、教育体制や中途採用者向けのプログラムが充実していたり、勉強会やセミナーを積極的に実施していたりするところも少なくありません。

・給与水準が高い

勤務先によってもちろん違いがありますが、急性期病棟で働く看護師の給与水準は、一般的な外来の看護師よりも高い傾向にあるといわれています。これは待遇面を重視している人にとって大きな魅力に映るでしょう。
給与が高い傾向にある理由としては、急性期病棟の場合、基本給に加えて患者の急変や救急搬送に対応するための残業手当、夜勤手当、緊急時の呼び出しに備えるオンコール手当など多くの手当が加算されやすいことが考えられます。また、急性期病棟を有する医療機関は規模の大きい病院が多く、給与水準が引き上げられやすいことも要因です。

5 急性期病棟の看護師に向いているタイプ

次に、どんなタイプの人が急性期病棟の看護師に向いているのか見ていきましょう。

・迅速に臨機応変な対応ができる看護師をめざしている人

急性期病棟では救急搬送の患者や重篤な患者への対応といった緊急性の高い場面が多いです。その分、迅速かつ臨機応変な対応力を身につけたい人にマッチしているといえるでしょう。

・多種多様な診療科を経験し、高度なスキルや知識を習得したい人

急性期病棟に入院する患者の症状や容体はさまざまで、看護師は幅広い疾患に対応していくことが求められます。診療科を限定せずに経験できる上、先述のとおり高度なスキルや知識を身につけやすい環境が整っているので、スキルアップを重視している人は満足感を持って働きやすいです。

・体力に自信のある人

急性期病棟では回復期病棟や慢性期病棟よりも受け持つ患者の数は少ないものの、予断の許さない状況での看護や容体の急変での緊急対応など、じっくりと休む時間がなかなか取れないことも。体力に自信があることは、急性期病棟で活躍しやすいポイントとなります。

・周囲と一丸となって仕事をしたい人

さまざまな症例と向き合う急性期病棟の現場では、周囲のスタッフの中にも「患者を救うこと」を第一に考えながら医療に対して高い見識と意欲を持って働いている人が多いです。そのような環境下で協力し合って働くことで、仕事と向き合う姿勢や高みをめざす意識など刺激を受け、学びを得ることも多いはず。周囲との連携を仕事において重視している人に合った職場環境といえます。

6 急性期病棟の看護師の求人を探すには

急性期病棟での仕事を望む場合、入院施設のある比較的大規模な病院などが主な勤務先に挙がります。求人サイトや転職エージェント、ハローワークなどに求人が出ていることが一般的です。

当サイト「ドクターズ・ファイル ジョブズ」では、急性期病棟の看護師の求人を多数掲載しています。
エリアや駅、雇用形態はもちろん、「ブランクOK」「子育てママ在籍中」「退職金あり」などのこだわり条件でも絞り込めるので、自分が重視している条件で求人を探しやすいです。ぜひ活用してみてください。

急性期病棟の看護師の求人を見る

◇    ◇    ◇

ここまで急性期病棟での看護師の仕事内容や一日の流れ、魅力・やりがい、向いているタイプなどを紹介しました。看護師としてスキルアップやキャリアアップをめざしたいと考えている人はもちろん、「患者を救う」という強い思いを抱いている人にとっても、急性期病棟は魅力のある職場です。転職先を考えるヒントにしてみてください。

関連記事

こちらの記事の執筆者
花野 静恵

ライター

大学卒業後、編集制作会社でレジャー情報に関する雑誌編集、ウェブサイトの立ち上げに携わる。紙媒体の企画から執筆まで一貫して携われるステージを求めて北陸・金沢の出版社へ。30歳を機にUターンし、名古屋の編集プロダクションへ。2011年からフリーランスのライター、エディター、ディレクターとして医療や介護、レジャー、教育、スポーツなど多分野の情報発信を手がける。

この記事に関連するタグ

  • facebook
  • twitter
  • line

関連記事

看護師
 %e3%82%a2%e3%82%a4%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%83%e3%83%81 pixta 91921555 m 1200px

【転職成功率UP】看護師のおすすめの転職時期は何月?何年目?

  • #転職準備
  • #看護師

2024/05/27

看護師
Pixta 75316912 m 1200px

健診センターで働く看護師の仕事内容・やりがい・志望動機の例をご紹介

  • #看護師の仕事シリーズ

2024/05/06

看護師
22752476 m 1200px

ケアミックス病院で働く看護師の仕事内容・メリット・志望動機事例をご紹介

  • #看護師の仕事シリーズ

2024/04/15